中国国営テレビ公式サイトにSNH48と小米スマホの比較記事

SNH48に関する記事が、なんと中国中央テレビ公式サイトのエンタメニュース欄に登場した。

SNH48を明らかに褒めすぎであることや、AKB48の姉妹グループである点にひとことも触れていないなど、ネタとして面白いので全文を試訳する。原文はこちら

例によって筆者の中国語は独学なので細かい誤訳はご容赦を。


SNH48のインターネット運営は中国エンタメ産業のルールの書き換えを考えている

先日、『中国好歌曲』の審査員エミール・チョウ(周華健)がメディアに対して、今中国語圏の歌謡界がもの寂しいのは、新人タレント自身の努力が足りず、短時間でしぼんでしまうためだと語った。


周華健は音楽界の環境の悪さを指摘する前に、歌手たちが自分自身の実力を反省すべきだと考え、「観衆は愛しく、偉大だが、残酷でもある」と語った。

今日、若者世代の観衆の消費は参加型になっている。ただ見た、聴いたというだけでなく、参加していっしょに成長できる必要がある。このことは消費需要に重要な変化が起こっていることを意味している。つまり受け手の需要が初めて製品そのものを超えたということだ。製品のモノとしての性質だけでなく、さらに社会的な性質にまで広がっている。

受け手の心理の変化はそれに応じて多くの「サブカルチャー」の誕生を「うながし」、急速に成長する「ダークホース」となっている。人気スマホ「小米」がこの方法論を実践している。そして最近、中国語圏音楽界のレコード産業は一匹の「ダークホース」を刺客として送り込んだ:SNH48だ。4枚目のEPはオンライン予約でたった5分間で2万枚の売上を突破するという奇跡を成し遂げ、低調な中国語圏レコード産業に強心剤を注射した。

SNH48は2012年10月に成立した中国にローカライズされた大型女性アイドルグループで、中国エンタメ業界のグループが2~6名という人数の規律があるのに対し、デビュー一年もたたずに一期生、二期生を募集してチームSIIとチームNIIにチーム分けし、グループ総人数は48人の巨大な規模になっている。

今年1月にはすでに三期生の募集を開始。このように膨大な陣営はイノベーションワークス社に冗談めかして「エンタメ業界のNBA」と称されている。人数の多い超大型グループであることはSNH48の最も「スリリングな」特色では決してなく、「内部対決」の対戦型運営モデルも非常に目を引く。今年1月18日上海での一万人規模コンサートは「紅白対決歌合戦」をテーマにしていた。

SNH48は「会いに行けるアイドル」という常識をくつがえすコンセプトを打ち出しており、今までのお高くとまったエンタメ業界のアイドルの役割と比較して、インターネットを使った「インタラクティブ」な考え方から、ファンとの親密な接触、交流を非常に多くすることで、さらにファンが運営側の施策にも影響を与えられる方式を打ち出している。

SNH48は全国各地で定例の握手会を行い、ファンはCDを購入して握手券を入手すればSNH48と握手でき、ファン一人ひとりがすべてのメンバーと握手して話ができる。SNH48が間もなく打ち出す「総選挙」は制度上さらに重大な革新となり、ファンがCDシングルを購入して投票券を入手し、自分の好きなメンバーに投票することで、シングルの選抜メンバーと順位が決まる。

これだけでなく、SNH48全体の業務体系と規則が、単純なパッケージングだけでなく、選抜、昇格、卒業制度や、オフラインの劇場、オンライン動画握手会、豊富なネット上のバラエティー番組など複雑な業務方式をもっている。

SNH48も「スター育成方式」の長い長いオーディションの過程であり、このオーディション全体が体系化されたプラットフォームになっているにすぎず、最後には真のスター製造工場となることを目標としている。新世代の受け手を最も感動させているのは、SNH48が会いに行けるアイドルであり、ファンが彼女たちと共に成長し、歩んでいく点である。

SNH48はデビューしてまだ一年余りだが、すでに3枚のCDを発売し、4枚目のニューEP『ハートエレキ』も昨日予約が始まった。通常の歌手のアルバム発売手段と異なるのは、SNH48が自前の販売手段を運用し、自前のネットショップ形式でアルバムを発売、ファンと直接ネット上で取引しており、レコード会社や第三者を通じた大量販売を行なっていない点だ。

アルバム以外にも、写真集、スティックライトなどSNH48専用のグッズ、SNH48専用星夢劇院や大型コンサートを行う際のチケットなども全て、オンラインショップで販売される。SNH48ネットショップが販売チャンネルを開いてたった5分で、4枚目のニューEP『ハートエレキ』の予約枚数はすでに2万枚を突破し、サイトが何度かつながりにくい状態になり、「ゲット」できないファンが出てくる局面もあったとのことだ。このような小米のスマートフォン同様の「ハングリー・マーケティング」の状態が、現在のアイドルグループで現れたのは初めてのことである。

このことは新しい世代の若者の受け手たちの消費心理が「体験型」から「参加型」のサブカルチャーへ重大な変遷をまさに証明している。参加しているという感覚は、一種の感情の相互作用と価値を認める新しい消費需要に基づいており、小米のスマートフォンがすでに「サブカルチャー」マーケティングで巨大な成功を経験している。

そして今SNH48は新しい世代の受け手のエンタメ需要に順応している。つまり、結果に注目することより、成長過程に注目すること。そして青春無敵のプラスのエネルギーをもつアイドルへと今まさに急速に成長している。

SNH48の運営理念はサブカルチャーのマーケティングの考え方に立脚しているだけでなく、O2O(訳注:オンライン・トゥー・オフライン)の新しいモデルをエンタメ業界で極限まで進めている。

オフラインではSNH48星夢劇院の定例公演、大型コンサート、定期開催のオフライン握手会を基盤とし、同時にEPのデジタル配信とデジタル握手券をともに進め、オンラインの劇場生中継、オンラインの動画握手会、オンラインでの人気投票などの新しいメディアゲームの方式も開始している。

同時に、新世代のユーザー群が楽しんでいる、断片化されたライトな娯楽アプリやゲームアプリも積極的に開発中で、2014年には10種類以上のライトなエンタメアプリを発表する予定になっている。

SNH48はいま爆発的なスピードでインターネットの概念を用いて、エンタメアイドル産業の伝統を創りだして統合しようとしており、サブカルチャーの生態系を育むことでポップカルチャーの注目点となっている。

SNH48は小米のスマートフォン同様、サブカルチャーをスタート地点として、巨大勢力へと急速に成長し、中国の従来型のエンタメ文化産業のルールを書き換えつつある。


以上、SNH48に関する大げさなコラムが中国国営テレビの公式ニュースサイトのエンタメ欄に載っていた、というネタでした。