SNH48を厳しく批判してきた中国人AKB48ファンが東京を離れSNH48運営スタッフ入り

この記事はたぶん、日本ですでにSNH48ファンになっている人たちや、これからSNH48のファンになる人たちには、ほぼどうでもいいことだと思うので、以下、読みたい方だけどうぞ。

中国現地のAKB48系グループのファンの中で非常に有名な「海爾凱特」というハンドル名のファンがいるらしい。このファンがSNH48運営スタッフに参加することを、正式に中国ツイッター(新浪微博)の自身のアカウントで発表した

なぜ中国大陸の一人の熱心なAKB48ファンがSNH48運営スタッフになることが、それほど現地AKB48系グループファンの話題になるのか。

彼はAKB48結成当初からのファンで、東京大学に籍を置いて、今まで東京に住んでいたこともあり、AKB48の活動を中立的な(?)観点から中国のファンに伝えるチャンネルの役割を果たしていたらしい。


当然、日本のAKB48グループが出演したテレビやラジオの番組に中国語字幕を付けて、中国国内の動画サイトに「違法に」アップロードするファンたちと共同歩調を取りつつである。

ただ、この「海爾凱特」氏の特徴は、AKB48グループの「歴史」を個人のブログで『AKB48―21世紀のみにくいアヒルの子伝説』というタイトルで、延々と連載を続けていることなど、ある種AKB48グループを一種の研究対象として観察していたことらしい。

海爾凱特的東京快遞(新浪博客)

さっきから文末が「らしい」ばかりだが、じつは筆者も彼の存在を知ったのはつい最近、中国2ちゃんねる(百度貼吧)のSNH48掲示板で、彼がSNH48の運営スタッフに入るのではないかというウワサが立ち始めてからだからだ。

なぜ彼がSNH48運営スタッフに入ることがそれほどの騒ぎになるのか。その理由は、2012年秋のSNH48結成以来、彼がSNH48を最も痛烈に批判してきた中国人AKB48ファンの一人だからだ。

中国のSNH48ファンには、当然の流れとして、元AKB48ファンだった人が多い。ただし中国のAKB48ファンにはSNH48の強力なアンチが多いことも事実だ。

「海爾凱特」氏が現在のAKB48の運営水準を基準にして、SNH48運営のダメさ加減を批判してきたことは、中国大陸のAKB48ファンにとっては「その通り!」と言いたくなる内容だっただろうが、SNH48ファンにとっては「なんだこの野郎!」と思わせる内容だっただろう。

その彼がSNH48運営スタッフになるために、日本を離れて上海に行くというのだから、現地のAKB48グループのファン、SNH48ファンの間で、騒ぎにならないはずがない。

前置きはこれくらいにして、「海爾凱特」氏のSNH48運営スタッフ加入発表長文ツイートのうち「まじめな話(正事儿)」以下を試訳する。長文ツイートの原文画像はこちら


わたくし海爾凱特は、現在既に東京の悠々自適の遊侠生活(全然ヒマじゃなかった!)を終え、上海に到着、SNH48運営チームの一因となった。

特にここに公告する。

今後みなさまどうぞよろしく。

以上。

まじめな話は終わり。

君が今どう思うかは分からない。

実は……最近しばらく、毎日自分でこの仕事を受けるべきか悩んで、当惑していた。

事情を知っている人は、分かってくれると思う。

僕にとって、これは退路のない仕事だ。ひいては、自分にこの仕事を受ける資格があるのかどうかもはっきりしない。

だから、ここしばらく、見たところ奇妙なツイートを深夜にしたり、昔のことを掘り起こしたり、前しか向かねえだとか、自分はファンと言えるかみんなに質問したりしてた……

ファンはスタッフになってはいけない。というのはスタッフは個人の感情を捨てる必要があるからだ。特にメンバーと対面する時、ファンが運営に入ると結局面倒をかけるだけになる。

そして友達が僕に、「君は観察者であり評論家だと思う」、「君は単に興味のあることをフォローしているだけだ」、「君は中立の立場だ」……等々と言うのを目にした。

みんなありがとう、僕を素早く冷静にしてくれて、そして自信を恢復させてくれて。

話の前後がつながらないああいう深夜のツイートを見て、少なからぬ友達が僕の精神の健康を心配してくれて、本当に申し訳なく思ってる。事が重大だから、最初のうちははっきり話すことができないし、前もって事情を暴露することもできなかった。本当にすまない。

ここで、特に感謝しなければならないのは、ずっと僕のツイートと連載をフォローしてくれていたSNH48運営チームのみなさんだ。

(訳注:ここで「連載」と言っているのは、上述のAKB48に関するブログ記事と思われる)

みなさんは知っていると思う。僕の(SNH48)運営に対する批判は以前からずっと非常に尖鋭で、情実を排して、情け容赦なかった。僕は今の成熟したAKB48を標準にして、創設されたばかりで、万事まだこれからという新生グループを評価していた。事実上、”巨人の肩の上に立っている”ように見えるけれども、SNH48は48グループの中国本土化の模索に直面し、運営チームの調整と改善に直面し、異文化伝達の障害に直面し、大型タレントグループが中国大陸で生存する困難な環境に直面し……ほぼすべての問題が全く新しいものだ。SNH48はNMB48やHKT48のように、生まれた途端に天を突破するような優秀な成績を収めることはできない。

このグループの存在そのものが、すでに天に背いているとさえ言える。

けれども、たとえそうであっても、尖鋭で、厳格な批判は依然として必要だ。批判そのものが一種の深い関心と言えるからだ。

こうした理由で、実は運営はずっと理解していた。いわゆるアンチは貴重なリソースだということを。

運営の意思決定者は想像を超える大きな器と、深い洞察力と、”時我を待たず”の気魄を持っていた。彼らは僕がもともと物事を見ており、人を非難していたわけではないと分かっていた。そこで、僕の発言がときに考慮に足りないものであるのに、彼らは”誤りがあれば改めるが、そうでなければ自らを励ます”という態度で虚心で意見を聞いてくれていた。

最終的に、今年になって僕にスタッフに入ってほしいとの誘いがあった。

今に至るまで、僕とSNH48はただ立場が違うだけで、目標は完全に一致していた。

僕たちの望みは、SNH48がいつの日か順調に大きく発展し、早くメンバー一人ひとりの夢を実現するだけでなく、僕らに注目してくれるより多くの人が自分の夢をかなえ、夢のために奮闘する徹底した自信をもてるようになることだ。

僕たちの望みは、SNH48がいつの日かアジアと世界各国の友人たちに中国の若い世代を理解する窓になることだ。

僕たちの望みは、SNH48がいつの日か中国文化のネット時代の伝承者として、中国の新生文化の実力の重要な部分になることだ。

 ……

そして星夢劇院の舞台や舞台裏で一日中多忙で、メンバーの管理に直接関わっている同僚のみなさんに感謝したい。みなさんの団結と、懸命な努力があるからこそ、初めて劇場公演がしだいに佳境に入り、僕らの今後の仕事の発展のために、非常に堅実な基礎を作ってくれた。同僚のみなさん、僕はまだ到着したばかりで、酒の力に負けているけれど、どうか大目に見てやって下さい!

しばらく今後の具体的な仕事の内容をみなさんに明かすことができない点はご容赦頂きたい。また、運営の一員になり、これは立場が一変することになるので、今やっているような日本のメディアのニュースを好き勝手に紹介するようなことや、各字幕組の作業の成果を転載したり、公式ではない各種の声を拡散したりすることは、もう出来なくなる。ラジオ番組終了の本当の原因、実はこれもこの変化のためだ。みなさんをこれほど長くごまかすようなことをして、本当に申し訳ない。

(訳注:ラジオ番組というのは、AKB48グループ関連ニュースをナレーションと紙芝居形式で紹介する自主制作動画のことと思われる)

でも、僕は僕だ(訳注:この部分は日本語)、この人間を変えることはできない。僕は依然としてツッコミばかりするおしゃべり好きで、依然としてみなさんがよく知っている海爾凱特で、遠慮なく口に出す話は、僕がそうは思っていないという意味ではない。分かってくれるよね。

みんな、親友の間にある無条件のお互いに対する信頼が非常に重要なこと、僕はずっとそれを分かっている。

かつて常に運営を厳しく批判した観察者の身として、僕もSNH48に注目し、SNH48を監督し、運営業務の改善のために、メンバーの穏健な発展のために惜しみなく意見してくれる友人がますます多くなってくれることを今後は期待している。いろいろな批判や意見は熱烈に歓迎する!僕個人の中国ツイッターのアカウントにある”非フォロー者のダイレクトメッセージ”や”コメント”の機能は原則としてこれからも永久に開放するので、SNH48の運営に対する意見、メンバーの発展に対する提案があれば、何でもいつでも中国ツイッターを通じて僕に言ってもらって構わない。君の意見がとてもとても重要だから。

このコミュニケーションチャンネルが長期にわたって活発で、有効であってほしいと思っている。

【ついでに言ってよければ】君の意見を発表するときは、(1)人を批判するのではなく物事を批判すること、(2)できるだけ正確な言葉づかいで表現することで、誤解を招かないようにするのが最善だと思う。OKかな?

王陽明とピーター・ドラッカーの信徒として、僕はSNH48で”知行合一”の精神を貫き、科学的な計画と決然たる執行力で、全力を尽くしてSNH48の成長を助け、著しい成果を収める優秀なグループにするつもりだ。

上海で、僕に退路はない。

SNH48にも退路はない。

前しか向かねえ。(訳注:この部分は日本語)

以前SNH48に批判の意見を出した時、ときどきネット友達がコメントで「やれるものならやってみろ」と書いているのを読んだ。

わかった、僕はやる。

みんなも誰であれ撤退は許さない!

SNH48も同じように君を必要としているからだ。

みなさん、お早う!

君が今日僕を受け入れてくれるかどうかにかかわらず、君の心の中の朝日に向かって、僕らの共通の夢のためにがんばろうよ!

海爾凱特

2014年4月29日

PS:連載については、引き続き穴埋めするから。安心して~


以上、日本語試訳終わり。

で、この「海爾凱特」氏のSNH48運営スタッフ加入声明に対して、中国ツイッター(新浪微博)でSNH48公式アカウントが次のようにリツイートした。

SNH48「私たちは過去を変えることはできないけれど、未来を変えようと試みることはできる。」(2014/04/29 21:10

そしてこのツイートに対するSNH48専用劇場「星夢劇院」の常連ファンのみなさんの連続リツイートが面白い。

ファンA:未来を変えたいと思うなら、まずコイツを蹴り出せ//ファンB:未来を変えたいと思うなら、まずコイツを蹴り出せ//ファンC:未来を変えたいと思うなら、まずコイツを蹴り出せ//ファンD:未来を変えたいと思うなら、まずコイツを蹴り出せ(以下略)

やはりSNH48ファンの中に「海爾凱特」氏に対する反感は根強い。

今までは中国大陸のAKB48ファンがSNH48運営を厳しく批判していたのが、これからは逆にSNH48のファンがSNH48運営を厳しく批判し始める可能性もある。

ただ、SNH48運営会社が自ら同氏をスタッフに招聘することを決めた以上、同氏に対する個人攻撃をしても意味はない。

当面は、SNH48運営スタッフの発表する、ファンクラブやチケット販売、劇場運営などの各種施策がどのように変わるか、あるいは大して変わらないかに注目すべきだろう。