SNH48二期生エンジェル(唐安琪)「東楚晩報」インタビュー記事試訳

SNH48チームNII二期生のエンジェル(唐安琪)が、地元湖北省の新聞『東楚晩報』の取材を受けて記事になった件。現地ファンが記事の文字起こしをしていたので、日本語試訳する。

エンジェル(唐安琪)の父親が10歳のとき亡くなっているのは初耳だった。


忙しい忙しい忙しい、これが唐安琪の第一印象。最初に予定したインタビュー時間は2014/04/22 14:00(現地時間)だが、新公演のリハのため、夜までずっと時間を捻出できなかった。翌朝10:00に予定変更したが、11:10になってやっと時間ができた。

礼儀正しい、これが唐安琪の第二印象。インタビュー時間が伸び伸びになりお互い明らかに焦っていたが、電話にでる時はいつも彼女の柔らかい声が聞こえた:”すみません”、”ごめんなさい”。

唐安琪、この黄石市出身の女の子はまだ22歳だが、すでに中国大型女性アイドルグループSNH48(日本の女性アイドルグループAKB48の海外姉妹グループ)のメンバー。去年の年末から劇場公演の形式でデビュー。たった数か月で、彼女はすでに中国ツイッターのフォロワー数が数万のアイドル歌手に成長している。


父親と同じく歌が好き

唐安琪のツイートより。
「十二年前の今日私は肉親を亡くしました。今まで幾度となく夜夢の中で会いました。でも失ったもの全ては別のかたちで帰ってくると信じています。まさにこうして同年齢の人が持っていないような独立心と強さを持てるようになりました。もちろん何年たっても忘れられませんし、変わることはありません。」

唐安琪が10歳の年、父親は病気で永遠にこの世を去った。父親が彼女に残した最も深い記憶は歌を愛していること。李谷一の『郷恋』が、父親の十八番だった。彼女はいつも父親が楽しげに歌うのを聴いていた。その歌を聴くうちに影響を受け、小さな頃から黄石港で育った唐安琪も歌が好きになった。軽くハミングするだけで、父親の面影がかすかに現れる。

唐安琪が大学4年生の年、彼女はSNH48二期生募集のニュースを見た。もともと唐安琪は日本のグループAKB48のファンで、自分のアイドルと同じような舞台で活躍できるかもしれないと思い、これを逃してはいけないと自分に言い聞かせた。そして写真と履歴書を今のマネジメント会社に郵送した。

一次選考、面接試験、最終選考……初めてオーディションに参加した唐安琪は、最終的に47,976名の少女の中から頭角を現し、SNH48の一員となった。


舞台のために何度もくり返し

唐安琪のツイートより。
「今録音中で、レコーディングの先生が私の録音を何度もくり返し聴いてる。こういう感覚はまるでBサイト(訳注:ニコニコ動画に似た中国の動画サイト「bilibili動画」のこと)で鬼畜動画を見てるみたい。全身が気持ち悪くなってくる。全身柱に釘で打ち付けられてバラバラに切り刻まれるのを大勢に見物されているみたい。いちばん鬼畜なのは自分の声。笑いたくても笑えない。」

ファンはいつも、Angel(唐安琪のあだ名)は自分たちにプラスのエネルギーをくれると言う。でもファンが知らないのは、唐安琪がマイナスの気分を爆発させる時、ファン全員が彼女の最も強い後ろ盾になっているということだ。

順調に入選したからといってスターへの道が平坦とは限らない。SNH48メンバーは多く、努力しなければ舞台に上がれないということを意味している。優秀でなければファンは姿を見ることができない。

何年もダンスをしたことがない唐安琪にとって、グループに入った後最大の問題は手脚をうまく動かせないことだった。この欠点を克服するために、毎日数時間前にレッスン室に入り、鏡に向かって絶えず動きを正した。他のメンバーがレッスンを終えて食事しに帰った後も、残って練習を続けた。

グループの中で彼女の出場する時間は最も少なかった。練習、練習、また練習。何度くり返しても依然として良くならなかった時、彼女はやめたいと思った。しかしファンからのコメントを一つひとつ読むと、また気持を奮い立たせた。


乱れ飛ぶウワサを受けとめる

中国ツイッターのツイートより。
「騒ぎ立てるにもほどがある。ロングヘアー版の李宇春(訳注:中国大陸の人気女性歌手)だって?清純な女神だって?見てみたらわざとらしくて、春春(訳注:李宇春のあだ名)とは完全に比べ物にならない。春春がとんなヘアスタイルをしたってあの”感動で泣けるほど美しい”娘よりずっと美人だよ。」

一定の人気があり、自分のファンがいるとはいえ、唐安琪がより多くの人に熟知されたのは実は自分で撮った一枚の写真だった。3月のある日、唐安琪がツイートに貼った一枚の自分撮り写真が、ここまで”炎上”するとは思わなかった。

ネットユーザーの一部が彼女の写真が李宇春に激似だとツイートし、”ロングヘアー版李宇春”と呼ぶと、中国ツイッター(新浪微博)のトピックランキングに載り、検索のホットワードになった。こういうレッテルを貼られて、当初唐安琪本人はおかしいとおもった、自分では全く李宇春に似ていないと思っていたからだ。

しかし事はそれほど穏やかに収まらなかった。すぐに、一部の”玉米”(李宇春ファンのあだ名)が唐安琪のツイートのコメント欄で、彼女を攻撃し、売名行為だと言い、このことが唐安琪を苦悩させ、なすすべのない状況になった。本来は自分のファンとの交流のための小さな場所が、すでにさまざまな悪口雑言に満ちていた。

”私は売名行為なんてしていませんし、私をこう呼び始めたのも悪いことをするアカウントで、まったく私が自分で望んだことではありません。”唐安琪は悔しい思いでそう話した。その後だんだんとこの事件については心を広くもって、気を楽にするようになった。彼女は自分に言い聞かせた:”自分がすべきことをやっていればそれでいい、人の流言飛語を気にすることはない”。


いちばん恋しいのは故郷の黄石のラーメン

唐安琪のツイートより。
「今日実家の入口のラーメンを食べた、うずまきナルトがいちばん好きな一楽ラーメンみたい。このお店は私が小学生の頃から今までずっと食べてる。店長の奥さんも私を知ってるよ。毎回休みに実家に帰るたびにラーメンを食べに来ると、いつも特別に麺を多くしてくれて、いっしょに来た友だちの麺はすごく少なくする。だから誰も私といっしょに食べに来ないよ。」

年越しの時期、唐安琪は実家に帰って母親と年を越した。毎回帰るたびに、いつも真っ先にすることは実家の1階にあるラーメン屋でラーメンを一杯食べること。これは彼女がいちばん愛するグルメで、三度の食事がすべてこのラーメンでも飽きないという。

しばらく彼女に会えなかった店長の奥さんは、唐安琪を見ると特に喜んで、すぐ彼女を褒めて「大きくなったね、綺麗になったね」と言い、大量の麺を入れてくれるという。彼女が頑張って食べても食べきれないと、そのせいで、”不平等な待遇”にあった友だちは少なからず抗議したらしい。

唐安琪は辛いものが好きだが、吹き出物ができたことはないという。上海に行ったばかりの頃、上海の食事に慣れないせいで、いつも満腹にならなかった。すいたお腹を満たすために、食が進むように、彼女はいつも食事にたくさん老干媽(訳注:辛味調味料の商品名)を入れる。

しかし彼女の体型は多くの女性が羨むような食べても太らないタイプで、しかも彼女は自分のダイエットの秘訣を持っているという。それは、食べ過ぎたと思ったら、舞台に上る前に味全(訳注:乳酸飲料の商品名)を買いに行って、飲み終わると必ずお腹を下すのだ。”これって、当然みなさんは真似しないようにしてくださいね、体にとって健康がいちばん重要ですから。”唐安琪はみなさんに注意することも忘れていない。


将来は全国民のアイドルになる

唐安琪のツイートより。
「毎回みなさんと会うたびにかくれんぼをしているみたいだけど、みんなが私のことを分かってくれて私を愛してくれて心から感動してる……これからも必ずもっと気力をもってもっと自信をもって舞台に立って、みんなが私を誇りに思えるようにする。」

唐安琪が大学で学んだのはホテル経営で、SNH48に入選したため、一年間休学している。ファンの応援が彼女が今の道を歩んでいく最大の原動力となっている。

毎回握手会が開催されるたびに、少なからぬファンが唐安琪にこう話す。”君のことを知ってから僕の生活にたくさんプラスのエネルギーをくれた””君がいるから僕らは幸せを感じられる”……唐安琪はその言葉を聞くと自分の努力の全てに価値があると思う。

将来について、彼女も悩んでいる。舞台は好きだが、一年間の休学期間が間もなく終わる。年齢を重ねるにしたがって、卒業するかどうかの問題に突き当たるだろう(グループメンバーの卒業とはグループを離れることを意味する)。しかしたとえ卒業してもそこで舞台を離れることはない。彼女はこの舞台を深く愛しており、いつの日か本当の全国民のアイドルになりたいと渇望しているからだ。