SNH48初の短編ホラー映画『記念品』ストーリー解説(盛大にネタバレあり注意!)

SNH48初のホラー短編映画『記念品 souLvenir』(20mins)が2016/01/17(日)に公開されている。

出演は以下のとおり。

一期生タコちゃん(張語格)
一期生ワンワン(邱欣怡)
一期生Bちゃん(孔肖吟)
二期生ななし(馮薪朵)
二期生テテちゃん(黃婷婷)

↓まだご覧でない方はこちらからフルHD画質で観られるのでどうぞ。

筆者はあまりホラーやサスペンス映画を観ないので、ここからは中国の検索ポータル「百度 バイドゥ」の掲示板サービス「貼吧 でぃえば」のSNH48掲示板からのネタバレ注意!!

まずエンドロールから。この映画の監督、脚本が、SNH48のいろいろなイベントの司会でおなじみの「阿吉 アージー」こと張競(チャン・ジン)だということが分かる。

張競は、以前、SNH48のネットバラエティー番組『SNHello』で『UZA誕生秘話』という、SNH48の内輪ネタ満載で、SNH48ファンなら腹をかかえて笑うコメディーを監督していた。

このコメディを観たときに、阿吉(アージー)ってただの司会者だと思ってたけど、映像監督としてすごいと思ったら、今回の『記念品』もかなりスタイリッシュな作品。しかも脚本まで。

ちなみにエンドロールのキャストを見ると分かるけれど、中国の実写映画ではよくあることだが、吹き替えがされている。一期生Bちゃん(孔肖吟)の吹き替えは三期生メンヤン(許楊玉琢)、一期生ワンワン(邱欣怡)の吹き替えは三期生ウサギ(吳燕文)。理由は不明。

物語はパリで起こった24時間のできごと。

以下、役名だと混乱するので、メンバーのあだ名で。

最初のシーケンスは夜11時。ワンワンとテテちゃんが見当たらないと、タコちゃん、ななし、Bちゃんがパリの街を探し歩いている。

↓いきなり足元のカットが凝ってるなぁと思うけれど、じつはタコちゃんの赤いハイヒールがすでに伏線。
この直後の手持ちカメラのタコちゃん目線のカットも凝ってる。

次のシーケンスはその8時間前、つまり午後3時のパリ中心街で、タイトルロール。

この映画のタイトルは『SOULVENIRS』で、英語・フランス語で「記念品」の「SOUVENIR」の複数形に、わざと「L」をつけて「SOUL」「SOUVENIR(S)」、つまり「魂」「記念品」の掛け言葉になっているところが、また伏線。

冒頭2分51秒で決定的な伏線。タコちゃんが転んで、指先をケガして血が出てしまう。

↓テテちゃんがバンドエイドを貼ってあげようとすると、タコちゃんは「大丈夫、自分でやるから」と言う。ここも伏線。タコちゃんはテテちゃんに自分の血をつけるとまずいんです。

↓母親からの電話でイギリス留学が決まったと知ったワンワン。明日には手続きに出かけなければいけないので予定変更。
おめでたい話なので他の3人は笑顔なのに、タコちゃんだけ浮かない顔。この後のBちゃんのセリフ「じゃあ今晩は5人で最後の晩餐になっちゃうの」も伏線。

次のシーケンスは夜11:35、ホテル。

とうとうワンワン、テテちゃんが見つからないまま、タコちゃん、Bちゃん、ななしの3人はホテルの部屋に戻ってきた。

↓部屋に戻ってきてタコちゃんはいきなり不安げに窓の外を見る。タコちゃんとしては、テテちゃんは先に部屋に戻っているはず。ここでタコちゃんの「計画」に狂いが生じる。これも伏線。

続きのカットで、タコちゃんが部屋のドアを開けて廊下にテテちゃんがいないか確認するのも、同じ理由から。

↓タコちゃんが赤いハイヒールを撫でるこのクローズアップも良いカット。後で意味が分かると、すごく怖い…。

この次、ホテルのフロントから電話。自分たちのルームカードが入った財布を玄関で拾ったと。

5人が持っているルームカードは2枚。1枚はななし、もう1枚はテテちゃん。

Bちゃんが「良かった、テテちゃんが帰ってきた。迎えに行こう」と言う。

タコちゃんは「じゃあどうして部屋に戻って来ないの?外で失踪したのに、なんで玄関ホールに財布を落とすの」

このタコちゃんのセリフで、タコちゃんの顔がものすごいクローズアップになるのも、良いカット。タコちゃんは自分の「計画」が完全に狂っていることを、この電話で確信するから。

ななしは「これはワナだ」と。ななしは単に誘拐犯が自分たちを狙っているという現実的な恐怖を抱いているだけだが…。

↓タコちゃんのセリフ。「今から私たち3人必ずいっしょにいなきゃ。3人でいっしょに(フロントまで)降りていくの」で、タコちゃんの口元のクローズアップ。

実はいちばん不安なのはタコちゃん。テテちゃんがいないことが、まったく想定外だから。

タコちゃん(張語格)の演技が、ものすごく良い。

次のシーケンスは夜11:57。部屋。

3人でフロントまで降りて行って、テテちゃんの財布を受け取ってきた。中身がなくなっている。ななしはやっぱり金銭目当ての誘拐犯か何かだ、という現実的な恐怖を抱いている。

ところが財布の中からお金やクレジットカードは全部とられているのに、タコちゃんの写真だけが残っている。テテちゃんの財布に、タコちゃんの写真だけが…。

Bちゃんは、誘拐犯の本当の狙いはタコちゃんだ!と怖がって、すぐ警察を呼ぼうと言い出す。

しかしタコちゃんは「ダメ、ここでテテちゃんを待つの!」と言い張る。

ななしがタコちゃんをなだめている間に、Bちゃんはシャワーへ。

次のシーケンスは夜中00:00。バスルーム。

ここでBちゃんが、ななしの叫び声を聞く。何が起こったかは、ちゃんとあとでカットバックされる。

この後Bちゃんが明かりの落ちた部屋に入ると、床に何か落ちている。

ここで監督のアージーさん、ちょっとミスか?

これはタコちゃんの指に巻いてあったバンドエイドなので、血が付いていないとおかしい。というか、血が付いていないと、これがバンドエイドだか何だか、映像ではよく分からない。

この後、Bちゃんは部屋を出て、エレベーターが来ないので階段を駆け下り、ついにタコちゃんの正体が分かるカット。

↓タコちゃんがバンドエイドをはがして、血のついた指で、Bちゃんの顔に後ろから触れる。

↓するとBちゃんは、ピアスだけを残して消える。

↓そのピアスを拾って、ゆがんだ微笑みを浮かべるタコちゃん。演技が冴えてる。

こうしてタコちゃんは、大切な友人を「記念品」に変えて、自分の身につけて行く。

人間を「記念品」に変える力は、タコちゃんの血。血にふれた者はすべて「記念品」と化す。

「どうして逃げるの?おとなしく私のそばにいてくれれば何も起こらないのに。でもいいの。私には特別な方法があるから」

「親友は、永遠に私一人だけのもの」

この後のカットバックのシーケンスで、タコちゃんのバッグからテテちゃんのスマホを見つけてしまった、ななし。

↓タコちゃんはすぐに指のバンドエイドをはがす。ななしを「記念品」にするため。

↓ななしの最期の恐怖の表情も、大げさじゃなくて良い。

この後、タコちゃんの予定外が明らかに。

テテちゃんが部屋に戻ってきたタコちゃんを、割った花瓶の破片で刺す。

テテちゃんが昼間、橋の下でタコちゃんがワンワンを赤いハイヒールに変えたとき、じつはテテちゃんは、タコちゃんが血を使ったことまでは分からなかった。

とにかく何か特殊な力を使って、ワンワン、ななし、Bちゃんを「記念品」に変えてしまったことだけは分かった。

テテちゃんが血だと分かっていなかったことは、このタコちゃんのセリフで分かる。

タコちゃんを殺そうとしたテテちゃんが後悔して、今からでも止血すれば間に合うと、タコちゃんの傷に触れようとすると…。

↓「私の血に触れないで!」

なぜテテちゃんの財布に、タコちゃんの写真が入っていたのか。

実はこの2人だけが、特別な感情をお互いに持っていたことが分かる(百合ネタ)。

なのでタコちゃんは本来、永遠にテテちゃんといっしょいることだけを願っていた。

その他の「自分の元から離れていく」親友は、最初から全員「記念品」にして身に付けるつもりだった。

昼間のシーケンスで、バンドエイドを巻こうとするテテちゃんをあわてて止めたのは、テテちゃんだけには自分の血に触れさせたくないから。

ところがイギリス留学が決まり、「自分の元から離れていく」ことが分かったワンワンを「記念品」に変えた現場を見られ、タコちゃんは最愛のテテちゃんに見放されたと絶望する。

これがタコちゃんの計画の狂い。

タコちゃんは、Bちゃん、ななしも「記念品」に変えて、永遠に一人で生きるしかないと部屋に戻ってきた。

ところが、2人を「記念品」に変えた後、意外にもテテちゃんが自分を待っていた。ただ、テテちゃんは親友2人を奪われた憎しみの方が強く、タコちゃんを殺すために待っていた。

でもテテちゃんは、寂しさから親友を「記念品」に変えたタコちゃんの、孤独の深さを知って、タコちゃんへの愛情を取り戻す。

憎しみが愛情に反転して、タコちゃんの思いどおりテテちゃんと2人きりで生きていけると思った瞬間、またタコちゃんの計画は狂う。

テテちゃんはまだ気づいていなかった。タコちゃんの血が人間を「記念品」に変える力だということに。

そしてテテちゃんも、タコちゃんの血で、真っ赤なクマのぬいぐるみに変わってしまう。

真っ赤な「記念品」に囲まれ、タコちゃんは一人で死んでいく。

うすれていく意識の中で、タコちゃんは最初に自分の血で「記念品」に変えた人のことを思い出す。

「本当にこれが悪夢だったらって思う」

「みんな私に微笑んでくれてたんだ」

「たぶん、私が生まれたことが間違いだったんだね」

「でしょ?ママ」

最後の真っ赤なスーツケースのカット。

タコちゃんはスーツケースに向かって、「でしょ?ママ」と呼びかけている。

。。。

タコちゃんが生まれたときの産じょくの血で、タコちゃんの母親はスーツケースに変わってしまった。タコちゃんは自分を産んでくれた母親さえ、スーツケースという「記念品」に変えてしまった、孤独な呪われた少女だった。

。。。

というのが、現地ファンのがSNH48掲示板に書き込んでいた「読み」。

みなさんはこの脚本、どう解釈しましたか(汗)