SNH48運営会社の株式保有構成図

個人的にどこかではっきり理解しておきたかった、SNH48運営会社のお金の話。

アイドルはファンに夢と元気を与えてくれる存在だけれど、霞を食べて生きる仙女ではなく、生身の人間なので、生活できるだけのお給料をもらわないと僕らに夢も元気も与えられない。

アイドルが活動するにはそれを支えるスタッフも必要で、スタッフが生活できるだけのお給料をもらわないと、アイドルもまともな活動ができない。

そういうわけでSNH48運営会社にとってもお金は大切。

とは言え、ファンやメディアからの売上だけでは会社の運転資金をまかなうことは当然できない。誰かから資金提供を受けなければならない。

なので、SNH48にいったい誰が資金を出しているのか。SNH48運営会社の現在の株の保有関係を、現地ファンが図解して中国の検索ポータル最大手「百度 バイドゥ」の掲示板サービス「貼吧 てぃえば」にアップしていた。それをもとにいろいろと調べてみた。

↓SNH48運営会社をめぐる株の所有関係の全体図はこちら。

上図の左半分は中国大陸、右半分は香港の登記会社。

矢印の元が株主(中国語で「股東」)で、矢印の先が所有されている側の企業。

左上から見てみよう。

↓「深圳城蓝资产」とある企業の正式名称は「深セン市城藍一期基金管理中心」という投資ファンド。

こちらの深セン市城藍一期基金管理中心の紹介ページに資金額があり、5000万人民元(約9億円)。設立日は2015/02/11。つい一年前と比較的最近のこと。

その右に「联想控股」「君联资本等」とあるのは、だいたいお分かりのように、どちらもパソコンやスマートフォンメーカーとして有名なレノボ(聯想)の持株会社とその傘下の投資会社。

なんとSNH48運営会社の株主をさかのぼると、レノボ(聯想)の持株会社にたどりつくというのは、ちょっと驚き。レノボほどのグローバル企業がSNH48に間接的に出資していたわけだ。

联想控股 レジェンド・ホールディングズの公式サイトはこちら
君联资本 レジェンド・キャピタルの公式サイトはこちら

↓そしてこのレノボの持株会社と投資会社が資金を出しているのが「星澈投资」。正式名称は「上海星澈創業投資合夥企業」。

そしてこの「星澈」を含めた複数の株主が、SNH48運営会社である「上海丝芭文化传媒」に出資している(=株を保有している)。

「丝芭」というのは中国語で「四八」と同じ発音なので、48系グループを意味している。社名を無理やり日本語にすると「上海48文化メディア」という感じ。

↓「上海48文化メディア」の企業情報はこちら。住所はSNH48専用劇場「星夢劇院」と同じ。

ちなみに「上海48文化メディア」の資本金の推移は以下のとおり。

2014/08/20 100万人民元⇒1000万人民元
2015/06/30 1118万5546人民元
2015/08/31 1356万0698人民元(約2億4000万円)

2014/08/20に大幅な増資をしていることが分かる。SNH48第一回総選挙の翌月で、三期生チームHII結成の直前。

この「上海48文化メディア」に出資している株主を左から見てみる。

↓「创新方舟」とあるのは正式名称「北京创新方舟科技」。2009/11/06設立、資本金2700万人民元のIT企業。

次に既述の「星澈投资」をとばして、「王女士」とあるのは個人株主で、上の「上海48文化メディア」の株主欄にある「王靖」という人物。

次の「其实」は実名が公表されていない個人株主。「东方财富?」とあるのは、上海の投資情報サイト「東方財富網」の運営会社のことなのか、同サイト経由の個人株主という意味なのかは不明。

↓次の「上海丝尚」とあるのは正式名称「上海絲尚資產管理合夥企業」。

この会社は、上記の「王靖」という個人株主が出資しているファンドらしく、設立は2015/06/26と、やはり最近。

そしてこの「王靖」という個人株主の矢印を右へたどると、香港の「Everstar海外控股」という持株会社にたどりつく。

この「Everstar」という持株会社の情報はネットに見つけられなかったが、図では株主が「王子殿下」とある。これはSNH48運営会社の社長・王子傑の、SNH48現地ファンの間でのニックネーム。要するに王子傑氏が保有する会社ということ。

面白いのはここから。右半分の香港の会社群。

「首現控股」という持株会社はネットで情報が見つからなかったが、株主は「Office48社長」の芝幸太郎。

「東京線圏」とは「東京コイルエンジニアリング」のことで、AKB48のディープなオタクの方ならご存じかもしれないけれど、元AKS社長・窪田康志の父親が経営する電気機器メーカー。

つまり、王子傑、芝幸太郎、窪田康志の3氏が、「亚洲明星四八(香港)」という会社に出資している。正しくは「明星四八亞洲控股」。

「明星四八亞洲控股」有限公司の情報はこちらのページなどにある。設立はSNH48一期生オーディション開始時期の2012/04/19。

中国の質問サイト「知乎」のこちらのスレッドに、なぜか3氏の出資比率まで書いてある。「亚洲明星四八(香港)」への出資比率は、王子傑:窪田康志:芝幸太郎=62.2%:21.0%:16.8%とのこと。

そしてこの会社は持株会社らしく、「上海星四芭音乐文化」というSNH48の歌うAKB48楽曲の、中国での音楽版権管理会社に出資している。

この版権管理会社だけは、他の上海にあるSNH48関連企業とちがって「台港澳法人独资」とある。「台湾・香港・マカオにある法人の100%子会社」という意味。資本金の表記も「1100万米ドル」と米ドル表記。

資本金だけ見ると音楽版権管理会社の「上海星四芭音乐文化传播」は、SNH48運営会社の「上海丝芭文化传媒」よりも数倍の規模。

そして、じっさいにSNH48のこれからにとって重要なのは、図の左下にある「上海丝芭文化传媒」の子会社群。

北京、南京、成都、瀋陽(沈阳)、長沙、ハルピン(哈尔滨)、広州と、中国国内の各大都市にすでに運営会社ができている。これらの会社の登記情報は以下のとおり。広州を除いて設立はここ半年以内と、つい最近のこと。

↓北京48の設立は2015/08/06。許可日は2016/02/19(つい昨日の話)。資本金1000万人民元。

↓江蘇省の南京48の設立は2016/01/15。許可日は2016/01/15。資本金50万人民元。

↓四川省の成都48の設立は2015/12/07。許可日は2015/12/07。資本金50万人民元。

↓遼寧省の瀋陽48の設立は2015/11/26。許可日は2015/11/26。資本金50万人民元。

↓湖南省の長沙48の設立は2015/11/12。許可日は2015/11/24。資本金50万人民元。

↓黒竜江省のハルピン48の設立は2015/11/09。許可日は2015/11/09。資本金50万人民元。

↓広東省の広州48の設立は2015/07/22。許可日は2015/12/09。資本金1000万人民元。

資本金を見ると、北京と広州だけが1000万人民元となっており、この2か所だけで専用劇場の建設が進んでいる背景がよくわかる。

↓最後の「杭州进击文化」の正式名称は「杭州进击文化传媒(杭州進撃文化伝媒)」。

この会社の営業内容はバラエティー、テレビドラマの制作、芸能マネジメントを除くモデルマネジメントとある。設立は2015/10/14、許可日は2016/01/22と、やはりつい最近の話。資本金も300万人民元とそれなりの規模。

面白いのが会社の住所が浙江伝媒学院の中であること。浙江伝媒学院と言えば、元二期生の徐言雨、元三期生の李豆豆が在学中の大学。おそらくこの大学の卒業生をスタッフとして採用し、SNH48が出演するコンテンツを制作する会社と思われる。

...というか、SNH48がすでにこれだけの企業グループになりつつあるってことは、日本のAKB48本部、プラス、姉妹グループを超えるのも、もう時間の問題かも。