アリババグループ、テンセント出資の華人文化ホールディングスがSNH48運営会社に相当規模の出資か

SNH48運営会社が大きな転換期を迎えたかもしれないし、そうでもないかもしれない、というニュース。

黎瑞剛(リー・ルゥェイガン)率いる華人文化がSNH48運営会社に資本を投入したとのこと。経済サイトのニュースになるくらいなので、おそらく今まで王子傑(ワン・ツージエ)の個人商店的な色が強かったSNH48運営会社が、初めて大きな外部の資本を受け入れたと思われる。

いちおう「財新網」の記事を下記に日本語試訳(かなりざっくりした試訳)しておく。

ただし、この黎瑞剛(リー・ルゥェイガン)氏は、SMG(上海東方メディアグループ)出身なので、これまでSMG傘下の上海東方衛星テレビや、看看新聞網、動感101FMなどと密接に仕事をしてきたSNH48にとっては、馴染みの顔ということになる。

なのでSNH48運営会社が突然別物に変わることはないと思われる。

でも面白いのは、この華人文化という持株会社に、中国どころか世界最大規模のEコマース企業アリババグループと、中国最大のインターネット企業テンセント(騰訊)が出資している点。

SNH48は本当に中国各地に姉妹グループで全国制覇しそうな勢い。

「華人文化”SNH48″運営会社に出資」(財新網 2016/04/14 17:32)


「(2016年)4月14日、黎瑞剛(リー・ルゥェイガン)率いる華人文化持株会社グループと華人文化産業投資基金(以下”華人文化”あるいは”CMC”と併称する)が今日共同で、絲芭伝媒(訳注:SNH48運営会社)への投資を発表した。

上海で起業した絲芭伝媒はインターネットSNS時代で中国の新世代アイドル文化とファン経済の領域の新たなベンチマークとなっている。3年で全世界の中国語圏最大の大型女性アイドルグループ”SNH48″を作り出し、現在170名を超えるメンバーを有している。

一年間の公演回数は300回を超え、中核のファン層は年間400%増以上、今後は全国各地に支店グループが生まれ、迅速に全国をおおう生態系と連盟化運営を実現しようとしている。

SNH48は上海にある専属劇場でそれぞれのチームが毎週小型ライブを何度も行っており、この他に一万人規模の大型コンサート、ファンとの握手会、全国各地の巡回コンサートなどを行っている。

公演はすべてインターネットでリアルタイム生放送され、毎年の公演は300回を超えている。毎回会場は満員で、ネット生放送も毎回の平均オンラインユーザ数は百万を超えている。SNH48星夢劇院は”2014年度中国中小劇場で最も活力のある劇場大賞”を受賞した。

SNH48のビジネスモデルの確信は”プラットフォーム化デザイン”、”養成プロセスがそのまま商品”、”インターネットのコンセプトによるファンの参入感に基づくこと”にある。

運営プロセスの全ては”ユーザすなわちプロデューサ”の理念が一貫しており、毎年の”年度アイドル人気総決選”(訳注:「総選挙」の言葉が避けられている)、”年度ベストヒット大賞”(訳注:リクエストアワーのこと)などの大型イベントを通じて、ファンと新たなユーザに耐えず進化し発展するスター育成体験と参加のメカニズムを提供している。

かつ、スター育成プロセス全体の商業化を実現し、そのビジネスモデルは国内エンタメ産業を転覆する意義を持っている。

SNH48はすでに中国のオフライン公演市場で宣伝効果を有する新勢力となっており、2016年度東方風雲ランキング”最も突破力のあるタレント賞”と”全国民に選ばれたグループ賞”の2つの音楽大賞を獲得している。また中国音楽産業にトレンドの音楽作品を大量に捧げ、今のところ、300曲を超える中国語曲と、22本のMV作品を発表している。

MV作品は各大型動画サイトで平均視聴回数が一千万を超えており、作品は国内の各大型音楽ランキングのTOPの常連になっている。

今に至るまで、SNH48は合計12枚のEPとアルバムを発売、とくに言及すべきは、最近発売した全く新しい中国語オリジナルEP『源動力』に象徴されるように、SNH48は音楽コンテンツの面ですでに基礎を完成させていることだ。外部のモデルを導入し、消化する段階から、オリジナルの段階へと発展しており、今後はさらにオリジナル制作の能力を推し進め、100%オリジナルの音楽コンテンツを一歩一歩実現していくだろう。

音楽の他にも、SNH48はオンライン・バラエティー番組や、映像作品、ゲームなどのエンタメ・コンテンツの領域でも迅速に力を発揮している。

絲芭伝媒とSMG(上海東方メディアグループ)、中国動画サイト最大手優酷土豆は共同で、国内初の生放送と全国からのインターネット投票を連動させた大型バラエティー番組、SNH48専用のアイドル育成リアリティーショー『国民美少女』を制作し、リアルタイムのオンライン視聴者数2,600万以上を獲得。

一回あたりの最高オンライン視聴者数は400万を超え、録画映像の総再生回数は4.1億回を超えている。新浪微博(訳注:中国ツイッター)の同番組タグの閲覧回数は3.4億回を超え、同時期に放送された中国国内の大型ネットバラエティー番組の中で第一位となった。

絲芭伝媒社長・王子傑(ワン・ツージエ)は次のように話す。

”インターネットとSNSの普及によってエンタメ・コンテンツの立体化が促進され、リアルタイム化と多層化された伝達が特徴となっている。

ユーザのエンタメ体験は単純にコンテンツをフォローすることから、さらにコンテンツの生産に参加するところまで向かい、それによって感情のつながりの方向に転移が起こる。

今の中国エンタメ産業の運営全体は依然として伝統的な方法に相当するため、プラットフォーム化、規模の拡大にもとづく運営、育成式のファンの経済というビジネスモデルには巨大な潜在力と、エンタメ産業の次の突破口となるチャンスがある。

私たちは華人文化がこの新産業の発展と形成の鍵となる段階に、絲芭伝媒への投資家としてこの領域の発展の中に入ってくることを歓迎する。

そして華人文化がさまざまな領域で協同して発展する機会を得るとともに、共同で新たな市場価値を創り出すことを期待している。”

ここ数年間、華人文化はメディアおよびエンタメ、インターネットとモバイル、生活方式の三大領域で多数の有名な企業に投資し、経営に参画している。例えば星空伝媒/燦星制作、正午陽光、体奥動力、香港無線TVB、東方夢工廠、旗艦影業、IMAX中国、微鯨科技、B站、微影/格瓦拉、Jaunt、Base FX、Imagine Entertainment、一線影業、引力影視、日月星光、昌栄伝媒、紫龍互娯、上海夢中心、(訳注:以下略)

華人文化董事長・黎瑞剛は次のように話す。

”華人文化はすべての創造的で画期的な消費エンタメモデルに対して非常に深い興味と執着を持っている。インターネットは今新たに若い世代の中国人の情感養成方式となり、審美眼の趨勢となっている。伝統的な芸能産業も商品から、サービス、体験にいたるまで抜本的な変革に直面しており、私たちは王子傑さんの経営するグループと提携し、この期待と活力に満ちた未来の市場へともに進めることを非常に喜んでいる。」