SNH48チームX全曲オリジナル公演『ドリーム・フラッグ(夢想的旗幟)』にいちいちツッコミを入れてみる(3)

SNH48チームX初の全曲オリジナル公演『ドリーム・フラッグ(夢想的旗幟)』が2016/10/28初日を迎えた。SNH48グループとしては3つめの全曲オリジナル公演。

引き続き楽曲に好き勝手ツッコミをいれてみる。

(追記:この記事を中国語訳して下さった現地ファンがいた。こちらを参照

アンコール後の3曲、『閃亮加冕』『夢想家』『未来寄語』。

ちなみに筆者の曲解説にいちいちAKB48のディスりが入っているという指摘があるけれど、筆者はAKB48ファンではない。純粋にSNH48フォロワー。

ときどきAKB48について批判的に書くのは当然なので、あらかじめこのブログの右上に「AKB48オタクでない人向きです」と明記していある(笑)。

EN1. 閃亮加冕(きらきらティアラ?)

えらく安っぽいEDMイントロで始まるので、アンコール後にガクッと期待を裏切られる。

Dメジャー。伴奏にあるピロピロピロピロピロピロと上がっていく音が、あちこちに入ってくるのがわずらわしい。『PPAP』のアウトロを思い出すのでやめてほしい(笑)。

Bメロでいきなりサビ。DメジャーからEメジャーへ謎の二度転調。コード進行もきわめて凡庸。きっとこの曲は衣装替え後のメンバーの休憩のための曲なのだろう。

最後に別メロディーが入るけれど、凡庸なEメジャーのコード進行に乗っかっている凡庸なメロディーなので特筆すべきことは何もない。

それからアンコール前の『星座』につづいて、この曲も曲終わりが「X」字型のフォーメーション。ちょっとやり過ぎでウンザリ。

この曲だけ極端にクオリティが下がるので、そうとでも考えるしか理屈が合わない。クレジット情報が手に入ったら、この曲の作曲者の名前は絶対にチェックしたい。

EN2. 夢想家

典型的なJ-POP風アイドル曲。MIXを打つためだけに存在するかのような典型的なAメジャーのイントロ。

イントロからAメロのBメジャーへ、またまた謎の二度転調。これで先ほどの『閃亮加冕』と作曲者が同じだったら、この公演を最後に来てぶち壊している責任はこの作曲者にある(笑)。

二度転調に意味があるのは、サビの最後のリフレインで盛り上げるためくらいで、曲の途中、ましてイントロからAメロで二度転調する意味はまったくない。意味がわからない。

BメロからサビのCメロのつなぎは、E⇒D#m7⇒Em7⇒A7⇒Dで、てっきりDメジャーに転調すると思ったら、E/D⇒C#m7⇒F#mでイントロのAメジャーにもどっている。

サビのメロディーそのものは悪くない。

間奏はそのままイントロと同じAメジャー。ツーコーラスめのAメロでまたBメジャーに二度転調。

ツーコーラス終わりの間奏と最後のサビのリフレインもAメジャーのまま。曲終わりはトニックのAではなくC#。転調が自己目的化している悪いお手本のような曲。

EN3.未来寄语(未来への伝言)

最後の締めのバラード。イントロはきれいなピアノ。Gメジャー。

Aメロがトニックコードで始まらず、Bmから始まっているところは抑制が効いていて良い。

サビのBメロでやっとトニックコードのGが登場するので、このGの明るさが際立つ。しかも9thつきのテンションコードG9。

その後のコード進行はあまり自信がないがG9⇒Am7/C⇒Em⇒CM7など。間違っていたらごめんなさい。その後はBm7⇒Em7⇒Am7⇒D7と王道のコード進行。

とにかくこのサビのメロディーの最初の4小節は素晴らしい。

ブリッジのCメロは同じ音型のくり返しで控えめなのは、その後伴奏がすっと消えて、テンポが遅くなり、サビのメロディーのアカペラになるという、凝った構成が待っているためだろう。

最後のこの曲はこのクオリティの高い公演全体を締めくくるのにふさわしい、素晴らしい曲。

以上、好き勝手書いたけれど、この公演も『心の旅程』と同じく、AKB48本部に持ってきても全く恥ずかしくない楽曲ばかり。アンコール後の2曲だけが、残念なことになっているけれど。

それにしてもSNH48チームNII全曲オリジナル公演『専属派対(僕らだけのパーティー)』を上演しなきゃいけない北京BEJ48チームJ(と、おそらく広州のチームZ)は大変だと思う。

『専属派対』はSNH48チームNIIのように、メンバー一人ひとりのキャラがすでに立っている状態でないと難しいからだ。

楽曲そのものが思い切りK-POPのEDM寄りに作られており、長さも4分に満たない曲ばかりなので、そもそもMCがチームNIIなみに面白くないと間違いなく観客は飽きる。

そして楽曲の内容も、例えば『Shake it! Shake it!』なんてチームNIIメンバーのキャラでないと「組頭」(笑)どうしの対立というストーリーが成立しない。『白日夢』もユーミー(趙粵)のドSキャラでないと、ムチを持っていても面白くも何ともない。

『あやつり人形(木偶)』もカチューシャ(李藝彤)でなければ成立しない。彼女が着るロリータ・ファッションは、北京BEJ48チームJの同曲のように、衣装部が作った衣装ではなく原宿のBABYの本物のロリータ・ファッションだからだ。

そういう『専属派対』に対して、『心の旅程』『ドリーム・フラッグ』はメンバーのキャラに依存しないので、チーム名違いで演出・振り付けを変えれば、姉妹グループが上演しても成立する。

オリジナル公演のコストパフォーマンスから見て、『専属派対』はSNH48チームNIIメンバーのキャラに強く依存し、かんたんに使いまわしが効かない分、運営にとって高くついている。

AKB48ファンの考え方から言えば、例えばチームK公演はチームKでなければ成立しない、という考え方で正しいのかもしれないけれど、SNH48運営は広大な中国本土でいくつもの姉妹グループにオリジナル公演を上演させる必要がある。

姉妹グループのチームごとにオリジナル公演を制作するのは、明らかにコストに見合わない。

なので本来オリジナル公演は、できるだけ特定のチームのメンバーの個性に依存せず、使いまわしの効く内容でなければならない。

筆者がこんなことを心配する筋合いはまったくないんだけれど、姉妹グループの『専属派対』公演は、それぞれの土地のファンに受け入れられるのか、とっても心配。