AKB48運営の上海記者発表会の内容を現地ファンの中国ツイッター(新浪微博)からご紹介。
なぜ「再失敗確定」なのかは後半で。
AKB48 China設立
秋元康氏ビデオメッセージでAKB48 China設立、将来は劇場開設等48グループ同等の展開を発表。
ネットドラマの制作
中国映画監督協会・北京栄信達(ROSAT)影視芸術有限公司と提携し、都市、キャンパス、愛情、青春、日中友好をテーマとするネットドラマ。制作顧問は中国映画監督協会会長であり同社創立者の李少紅。
劇場建設
2015年フォーチュン500の258位不動産ディベロッパー・緑地集団が劇場建設。
オフィシャル・スマホゲーム
上海東方明珠迪爾希文化伝播有限公司と提携、2017年にSNS形式ゲームを発表。
なお同社はすでにAKB48運営と提携済み。2016年夏の中国最大のゲームショー「China Joy」にAKB48メンバーを招待している。
またRPG『消滅都市』の中国イメージキャラクターとして2015/11/12にすでにSKE48の松井珠理奈、松村香織、須田亜香里を採用している。
ここからは個人的なツッコミを入れさせて頂く。
お気楽な掲示板のみなさんは予想どおり「全面戦争」と盛大な勘違い。
(A) 記者発表会後のファンミーティングについて
記者発表会後のファンミーティングは開始が一時間以上遅れた上に、一時間足らずで終了。アンコールもなし。
司会者はAKB48を理解しておらず、空回りのトーク。ライブのMC中にマイクがたびたび故障。舞台と客席の間は鉄柵で完全防御。
生放送サイト「一直播」の視聴者数は20万人強。(SNH48公式中国ツイッターのフォロワー数は461万人)
(B) AKSの基本戦略について
広大な国土の中国では、劇場中心の活動で利益を出すのはムリ。
学生は自分の車がなく、ふつうに100kmは離れている大都市間の移動は高速鉄道か飛行機を使う必要があるが、交通費も大きな出費。
ある程度、版権に目をつぶったオンライン・コンテンツや二次創作の展開が必須。
また、各メンバーの応援会を地道に育て、人気メンバーがテレビ出演や大手企業の営業の仕事で地道に知名度をあげ、最終的に毎年の総選挙など大イベントで資金回収する。
現地ファンの応援会が拡大して組織化されると、日本と違って強い権利主張を始めるため、彼らと良好な関係、適度な距離を保つのは現地運営会社でもかなり困難。
さらにマスメディアが言論統制されているため、現地ファンがコネを総動員してメンバーのスキャンダルを探したり、あらぬウワサを作り出す力が異常に強い。ファンやアンチの決定的な反感を買わず、かつ、会社の利益を守る絶妙なバランスが必要。
これでやっと今のSNH48運営レベルだが、AKSはそれ以上の現地スタッフを見つけられるか。
(C) ネットドラマ企画について
AKB48自体が日本政府と密な関係にあるため、中国でも北京の映像制作会社(北京栄信達)との提携。
ドラマのテーマに「日中友好」があるのが致命的。
現地の若者が中国のニコニコ動画的サイト(ビリビリ動画、AcFun)でツッコミを入れながら笑えるようなドラマにならず、AKB48を知らない若者に見向きもされない文芸作品になる可能性大。
今回「日中友好」を入れてしまったため、政府間の関係が悪化すると破談になるのは必至。
日中政府の関係が、目立った衝突のない今以上に良くなるとは考えづらい。
(D) 劇場建設について
緑地集団はたしかに優良企業だが、単なるディベロッパーでタレントマネジメント会社ではない。箱モノになる可能性大。
重要なのは現地スタッフが集客のために地道な仕事をすることだが、AKSはSNH48で現地スタッフの動機づけに失敗している。
AKSが何かを学んだなら、SNH48運営との関係が決定的に悪化する前に修復できたはず。
(E) オフィシャル・スマホゲームについて
現地AKB48ファンはすでに「非公式」のAKB48ゲームをやり終えている。
彼らがAKB48ファンになるきっかけだったメンバーの多くが卒業しており、新しい公式ゲームを「有料で」遊ぶ可能性は小。
また、スマホゲームはユーザ選択的で既存ファンしか遊ばず、ファン層は広がらない。
しかも今回の提携相手は、2015年からすでに提携済み。結果的にAKB48の中国でのファン層拡大に貢献しなかった。
なぜまた同じ提携先なのか意図が不明。
(F) 音楽コンテンツについて
AKB48ニューアルバム『ハイテンション』が酷狗音楽で独占配信されるが、酷狗音楽とはSNH48と決裂する前からすでに提携しており、既定路線。
今後も中国国内で厳重な版権管理にこだわる限り、SNH48との提携と同様、失敗は目に見えている。
(G) 具体的なグループ展開について
現地ファンの事前予測は、上記「酷狗音楽」傘下唯一の女性アイドルグループ「SING女団」がそのままAKSのマネジメント配下になり、北京に「BJN48」広州に「GZH48」設立発表、だった。
しかし具体的なグループ展開の発表は全くなし。中国企業経営のスピード感にすでに乗り遅れている。
結論
AKB48が中国で知名度を得るため、今のSNH48運営路線と違う方法をとる場合、中国政府とのコネでいきなり国営メディアや大手テレビ局に出演するしかない。
しかし今回の記者発表には在中国日本大使館大使、つまり日本政府関係者しか出席していない。
記者発表の内容は、現在のSNH48運営路線と同じ。
AKSが何をしたいのか全く不明。