GNZ48 2nd EP『BOOM!BOOM!BOOM!』が名曲ばかりですごすぎる件

広州GNZ48全曲オリジナル 2nd EP『BOOM!BOOM!BOOM!』が軽いノリのタイトルとは裏腹に名曲ばかりですごすぎる。

広州GNZ48の1st EP『あなたの知らない私』のメイン曲『あなたの知らない私』は、Bメロからサビへの転調部分にメロディーがあるという、かなりぶっ飛んだ作曲だった。

今回の2nd EPは、メインの旧正月曲『新年好 A Happy New Year』は狙いがはっきりした普通のニューイヤーソングだが、他の曲が名曲すぎるのでじっくりご紹介。

曲のコード進行なんてどうでもいいと思うかもしれないけれど、インスタントラーメンのスープと、一週間かけて豚骨やらかつお節やら煮込んでとったスープの違いで、出来上がったラーメンの質が全く違うということ。

02.拆封未来(未来を開封)

イントロからAメロは跳ねたリズムのBメジャー。Bメロでリズムが突然跳ねなくなってお決まりの「パーンパパン」になったかと思うと、サビの直前でまた跳ねて、サビは三度転調でG#メジャーへ。

サビはさらに変態的で、バッキングのリズムは8ビートなのに、メロディーが三連符で跳ねている。ベースラインも何気にカッコいい。

次の間奏はチェンバロ音色のバロック風でF#経由で無理やりBメジャーに戻る。バロック風というよりたぶんディズニーのエレクトリカルパレードなのかも。同じ間奏のメロディーのままハーモニカ音色になる意味が分からない(笑)。ここまで来るとすでにプログレッシヴ・ロック。

ツーコーラス目の後、Dメロ(ミドルエイト)へ入る前のコード進行も、アイドルポップスとは思えないくらい洗練されている(筆者の音楽知識ではコードが分からないけれどたぶん分数コード)。

このDメロも前半はシャッフルで跳ねたリズム、後半は8ビート。伴奏にストリングスのトレモロが入ってまるでクラシックで、複数のジャンルの音楽が詰め込まれている。ものすごく凝った編曲。

最後はG#maj7でこれまたカッコいい。

03. 青春不敗

典型的なボカロ曲風EDMが来る。新年EPなのでペンタトニックをベースにした旧正月っぽい味付け。サビのメロディーの洗脳反復もいかにも「らしい」作曲。最後のサビのリフレインは半音上がってテンポも速くなり、ますます洗脳される。

ニコニコ動画ではちゅねミクがネギを振ってそうな「鬼畜」狙いの曲としては本当に良く出来ている。

04. 夢飛船(夢の飛行船)

この曲はイントロがチームZのコールで始まり、8ビートでサビが16ビートになる普通のアイドルポップスかと思っていると、Aメロにまたアイドルポップスらしからぬコード進行が出て来る。

C#メジャーだが、Aメロの5小節目からA⇒B⇒Eと、いったんEメジャーに経過的に三度転調している。ここまでコード進行に凝らなくていいです(笑)。GNZ48は『あなたの知らない私』を代表として難しい歌を歌わされる(笑)。

Aメロの伴奏も、音数はあえて少なくして、ていねいに作られた良心的な編曲。

Aメロの後半はごくごく普通のコード進行でBメロへ。Bメロは「パーンパパン」のリズム。ベースラインが半音ずつ下がるクリシェ。後半で8ビートに戻ってサビへ。このあたりも典型的な作りだが編曲が安っぽくなくて良い。

サビへのつながるコード進行は、普通ならF#⇒G#⇒C#だけれど、D⇒G#⇒C#と、Dをサブドミナントの代替コードにしているなど、異常に編曲の芸が細かい。

サビそのものはC#メジャー典型的な循環コードでいたって普通だが、サビのメロディーもトニックのC#に戻らず三度のFの音のまま終止感がない。この辺りは作曲の上手さ。

ツーコーラス目終わりの間奏は、後半、サビの最後のリフレイン前にまたFマイナーへの経過的な転調がある。間違っているかもしれないけれど。

・・・⇒G#⇒F7⇒A#m⇒G#⇒Gm-5⇒G#dim⇒C7⇒Bm7⇒G#⇒C#

このコード進行だけでサビが成立しそうなカッコよさ。とにかくこの曲は目立たないところでコード進行に凝りすぎ(笑)。最後はお約束どおりメジャー7th。

個人的にはものすごくレベルの高い名曲だと思う。

05.回家(帰宅)

この曲は以前の記事で触れたけれど、間奏のチェロ音色(生なのかもしれない)含めてストリングスの編曲が一級品。

他の中国の48系スタイルの女性アイドルグループが、ここまでの音楽レベルに到達するのはムリだろう。

楽曲は外から買っているにしても、どうやって広州GNZ48運営が、こういう良質な楽曲を選別できるミミの肥えたスタッフを雇えたのか、とても不思議だ。