広州GNZ48チームGオリジナル公演『双面偶像』のクオリティがAKB48を軽く超えてる件で全曲コメント(1)

広州GNZ48チームGとして初の全曲オリジナル公演『双面偶像』が2017/08/11(金)初日を迎えたが、AKB48用語でいわゆる「神公演」決定。

上海SNH48チームHII『Beautiful World』あたりから(個人的にこの公演は好きではないけれど)、SNH48グループの公演の舞台演出のレベルは、AKB48グループを完全に超えている。

楽曲の良し悪しというより、ダンスの振付け(本格的な現代舞踏やK-POPの要素の導入)、小道具や舞台セット(舞台劇のような凝り方)、液晶スクリーンの多用、オンラインでしか観られない遠方の視聴者のためのCG演出、劇場の舞台の広さや設備の利用、公演全体のテーマ性など、AKB48グループはすでに完敗している。

過去SNH48はAKB48公演をいくつも中国語でお下がりで上演してきて、例えばSKE48の神公演の一つと言われているらしい『手をつなぎながら』もSNH48チームHIIが上演済みだが、今のSNH48グループのオリジナル公演に比べれば、歴史的価値しかない「遺産」だ。

AKB48グループ全体の停滞感に比べて、SNH48グループは地下アイドルファンではない一般人の鑑賞に耐えうる公演を、少しずつ作り出しつつある。

ということで、1曲ずつ舞台演出上のポイントを中心にご紹介。

以下、わざとAKB48と比較しながらコメントするので、それがイヤな方は読まないで下さい。

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M01. Hot了Day

演出上の特徴:
・全員ストラトキャスタータイプのギターを持っている。
・間奏のスコットランド民謡とスコティッシュ・ダンス。

タイトルの読み方は「ホット・ラ・デイ」。パンクロック風。まさかの全員ストラトキャスター。さすがに有名メーカーではなく「Derulo」というメーカ製。それでも1本日本円で約1万円。意外にお金がかかっている。ギターを持っているので前半はマイクスタンドあり。

この曲の構成のポイントは、英国パンクロックを押し広げて、間奏でバグパイプ音色を使ったスコットランド民謡と振付けのステップもスコティッシュ・ダンス風という演出。

そこからディストーション・ギターのアドリブソロでハードロック側へ振っておいてから、最後のサビのリフレインとエンディングで、再びスコットランド民謡のリズム・パターンが戻って来る。

AKB48でいえば『前しか向かねえ』相当だが、楽曲構成や演出で完全にAKB48を超えている。

M02. 初夏之恋

楽曲の特徴:
・典型的なアイドルポップスと見せかけて、間奏がいきなりfuture bassとRAP。

最後のサビがいったん短い間奏をはさんで、もう一度リフレインに入る楽曲構成もたっぷりしていて手抜きがない。

M03. Fly

演出上の特徴:
・ワンコーラス目終わりのRAPで、衣装の早替え。

この曲のポイントは、ワンコーラス目終わりのRAPで、衣装の早替えがあること。上半身の衣装を下ろすとあざやかなブルーのスカートになるという。

GNZ48の衣装部がすごいことは以前から分かっていて、AKB48同様、いつも個々のメンバーで少しずつデザインの違う制服になっているが、ここまでの2曲で、まさか衣装の上半分が下ろせるなんてことを全く気づかせないのがすごい。

楽曲全体は、Bメロのリズムが「パーンパパン」になる典型的なアイドルポップス。48系ヲタがMIXとコールを出来るので、ヲタを喜ばせるためのサービス構成。ツーコーラス目のサビ前に1小節余分に入るところも、最後の間奏のギターソロがサビを反復、最後のリフレインの最初で伴奏が薄くなるのも、手抜きなし。

AKB48楽曲のアイドルポップスのレベルは軽くクリアしている。

M04. 回旋処(ラウンドアバウト)

演出上の特徴:
・天井からのロープで傘が昇降する演出。
・オンライン生放送の観客のための、ガラス窓を打つ雨粒のCG。

楽曲の特徴:
・Aメロ、Bメロのリズムパターンの変化が激しく、ヲタがMIXやコールができない。

広州GNZ48はチームNIII全曲オリジナル公演『第一人称』でも、現場の観客には見えず、オンライン生放送の観客にしか分からないCG演出をしている。劇場公演生放送が有償で、「在宅ヲタ」を軽視するAKB48とはまったく違う運営方針。

劇場の天井から下りてくる傘を吊り下げるためのロープは、チームGがSNH48チームSII全曲オリジナル公演『心の旅程(心的旅程)』をお下がり公演したとき、『潮流冠军』という曲でマイクを吊り下げる演出で使ったものの再利用。

楽曲としてはリズムパターンの変化が激しく、サビと間奏を除いてヲタがMIXやコールを打てない。複雑なリズムパターンになると、ヲタが突然コールができなくなる。

最近のSNH48グループのオリジナル曲にはMIXやコールができない曲がたまにある。

上海SNH48チームHII全曲オリジナル公演『Beautiful World』、チームSII全曲オリジナル公演『第48区』などが典型。

音楽制作陣が意図的にヲタのMIXやコールを拒否する楽曲を入れるようになっている。これもSNH48グループが48系のマンネリズムから離脱している点。ある種の曲では、たしかにヲタのMIXやコールは耳ざわり。

自己紹介MC

SNH48グループならではの、30分以上におよぶMC。今回の公演の特徴は、メンバーが全員、標準語と広東語の「二か国語」で自己紹介する点。

ここから7曲連続ユニット曲。ユニット曲がパート1、パート2に分かれている公演構成もAKB48グループのマンネリズムからすでに離脱している。

M05. 夢想珈琲庁(夢のカフェ)

演出上の特徴:
・メイドカフェの舞台セット(テーブル、椅子)。
・チームカラーに合わせたミントグリーンのメイド服。
・舞台左の花道で3人が小道具のコーヒーカップを後手にリレーする振付け。
・最後に次のユニット曲のメンバーがメイドカフェの客として登場する演出。

メンバーは、この種の「萌え系」楽曲でチームG最強のハナちゃん(謝蕾蕾)、だんご(陳雨琪)、リーロン(黃黎蓉)の3人。

楽曲の最後、次のユニット曲のアベル(張凱祺)が客としてカフェに入ってくる。メイドさん3人もちゃんとお辞儀をする(笑)。カフェの椅子とテーブルがそのまま次の曲のセットになる。

AKB48公演もここまでストーリー性のある舞台演出を、ちゃんと考えたらどうか。

M06. 9 to 9

演出上の特徴:
・振付けでキスが二か所もある思い切った百合演出。

楽曲の特徴:
・K-POPスタイルのディスコ。最後の間奏はdub step。
・リズムパターンが複雑なEDM曲で、ヲタがMIXやコールができない。
・脚韻ではなく頭韻を踏む歌詞。

「萌え系」の曲から、いきなりクールビューティーな百合曲。アベル(張凱祺)、つき(羅寒月)の2人。SNH48チームSII新公演『第48区』の『愛未央』同様、ヲタのコールを拒否する楽曲。

タイトルは夜の9時から朝の9時まで夜通し踊ろうという意味だが、「night to 9 to 9」「9 to 9 tonight」「night tonight to 9」と複数のパターンで頭韻をふんでいる。脚韻じゃなくて頭韻。

中国語は日本語と違って完全に押韻できるのがうらやましい。

M07. MC Queen

演出上の特徴:
・MCが始まると見せかけて、曲のテーマに沿った演出。
・普段のMCでは話題を表示する液晶スクリーンに歌詞がシンクロ表示。
・孤独を表現する歌詞の曲の最後に、液晶スクリーンがチームGの集合写真に変わる。

歌詞をわざわざ表示する理由は、この曲を歌っているキツネちゃん(高源婧)自身が作詞だから。楽曲は良くも悪くもないが、テーマ性や演出の勝利。

为何会不安 明明说了不散 惘然
笑声在耳畔 却没有你陪伴 眼前灰暗

从没有 试着想象过
只剩下我 独自在舞台
怎么会 你们都不在
颤抖地 双手攥着Mic
害怕 自己说独白

宁愿和你 一起孤单
也不愿意 独自狂欢
这风景再美 少了你 的陪伴
有什么好看
少了你唠叨好不 习惯

从没有 试着想象过
孤零零的 独自拿着Mic
剩我 一人在这舞台
怎么会 你们全都不在
oh 我好不习惯

宁愿和你 一起孤单
也不愿意 独自狂欢
这风景再美 少了你 的陪伴
有什么好看
有你的地方 才有…

有谁愿意 只影独单

宁愿和你 一起孤单
也不愿意 独自狂欢
这风景再美 少了你 的陪伴
有什么好看
有你的地方才有 温暖

ここまででユニット曲パート1終了。ここからユニット曲パート2。

(つづく)

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