広州GNZ48運営会社の映像制作チームが、いつもながら良く出来たPR映像を作っている。今週2017/09/15(金)初日を迎えるチームZの全曲オリジナル公演『コード林和西(代号林和西)』のPR映像。
この公演は上海SNH48チームXIIが上演中の『コードXII(代号XII)』の広州版。
このPR映像、本当は日本語字幕を付けたいところだが、時間がないのであらすじだけご説明。
チームZメンバーがアンドロイドという設定は上海SNH48チームXIIと同じ。
「握手会モード」のアンドロイドの主観目線には、目の前のファンの過去データがすべて表示されている。
左上にID「桂花」とあるが、このファン役はシエちゃん(陳桂君)。左側にFANS DATAとして過去のイベント参加履歴、2017/08/27握手会でルイツ(龍亦瑞)に握手券150枚を出したとか笑える。
右下にはリアルタイム・ポイントとして84点のファンということ。
シエちゃんの最初のセリフは実は重くて、「神様が人間を作ったとき、一人ひとり全員にキズを残したっていうけど、あなたに会って、どうしてあなたはそんなに完璧なの?」「それはあなたが私の長所しかみてないからよ。その人の長所しか見ていなければ、当然完璧に見えるわ。でも私から見ると、あなたもとても可愛い女の子よ」
博士役はチョンチョン(王炯義)。チームXII版のPR映像ではアキちゃん(劉增艶)だった。
博士が冒頭語っているのは、偶像の歴史。偶像の重要な存在意義は心理的な慰めを得ること。それが科学技術の発展によって、アイドル崇拝(偶像崇拝)は神秘的な体験ではなくなり、人工降雨のようなものになった。アイドルにとって最高の神性は、理性になった。
ルイツ(龍亦瑞)のナイピン(農燕萍)との握手。
「あなたのアドバイスに従ったら、入社面接に合格したわ。今日最初の出勤日だったけど、途中で困ったことがあったの。どうしていいか分からない」
次は博士の独白。
「完璧偶像プログラム」は全世界のあらゆる業種のビッグデータの80%にアクセス可能、計算速度はスーパーコンピューター「天河三号」に匹敵、知らないものは何もない神のような存在。世界のあらゆる問題に瞬時に答えを出すことができる。客観的に言えば、このシステムを金融投資に使えば、世界全体の金融システムを崩壊させることもできる。
ちなみに「天河三号」は実際に中国が開発したスパコンで、かつ、広州GNZ48星夢劇院のある林和西通りは広州市「天河区」という良く出来た脚本。
そして「あらゆる問題に答えを出せる」というセリフで、フラグが立っている(=伏線になっている)。
↓定番の「百合」カットはこちら。チョンチョン(王炯義)とルイツ(龍亦瑞)
先ほどのナイピンと、アンドロイド・ルイツの対話のつづき。
「さいわい地下鉄に席が見つかったの。でも次の駅で、お母さんが子供を抱っこして乗ってきて、私のことを見たの。きっと席を譲ってほしかったんだと思う。ためらわずに立ち上がったとき、地下鉄が突然急停車して、彼女と子供は地面に倒れてしまった。子供は大声で泣いて、車両の全員が私の方を見ていた。その瞬間、地下鉄がそんなに混んでいないことに気づいて、どう釈明したらいいか分からなかった。私は席を譲るべきだったのかな」
アンドロイドのシステムが出した答えは、譲る、譲らないが50/50になってしまう。「この質問には回答しないこと。ファンが最善の結果ではない行為をするよう導くことを避けよ」というのがプログラムからの命令。
「ごめんなさい。この質問には答えられないわ」
すべての問題に回答できるはずのアンドロイドが異常をきたしたことに、周囲のアンドロイド・アイドルたちが一斉にルイツの方を見る。
次に「生活モード」のルイツが地下鉄で、仲間のアンドロイド・アイドル、エイプリル(王偲越)に会う。エイプリルも先ほどの問題には答えられないと言う。
そして「握手会モード」でルイツはナイピンと再会。
「この間の質問にまだ悩んでる?」「えっと、私毎日早起きして早い電車に乗るようにしてる。妊婦さんを見るのが怖いから」
「あなたが席を譲ることを選んだのはまったく間違っていない。でも席を譲ることが必ずしもよりよい結果になるとは限らない。交通機関の緊急停車は発生率の非常に小さい事。今回のようなことが次に起こるのは、明日かもしれない、十年後かもしれないけど、必ずまた起こる。こんなふうに考えたことはある?」
「分かった。私は同じような状況をもう見たくないと思って、毎日早起きすることを選んだ」
「あなたが席を譲ることで、緊急事故が起こったときの負傷率を高めるかもしれないことを知っている。もしラッシュアワーの電車に乗った赤ちゃんを抱いた母親が、全員席を譲ってもらえるとすれば、彼女たちがその時間に外出することの励ましになるかもしれない。でも礼儀正しくない方法を選んで母親たちにその時間をズラして出かけさせるようにしても、彼女たちの子供はより低い負傷率を受けることになる」
席を譲らないという礼儀正しくない選択をしても、結果として母親たちがラッシュアワーを避けて外出するようになれば、子供の負傷率は抑えられ、あなたは適切な選択をしたことになると、相手を慰めている。
「分かった。でも席を譲るのを断った後、周りの人の視線がきっと耐えられない。あなたなら、どうする?」
ここでルイツはアンドロイドを動かすプログラムから解放される。
「一日悪い人になることで、子供が負傷する確率は50%。一生いい人になることで、子供が負傷する確率も50%。この問題は、私にもどちらを選べばいいか分からない。でも思うの。ときには選択自体は重要じゃなくて、自分の選択にあなた自身がどんな気持ちをこめるかだと思う」
・・・というのがこのPR映像の内容。
「ええ話や」と思うのは、たぶん日本人的な感性。
このPVに複数の現地ファンがツッコミを入れていたのが「地下鉄の公共広告か!」
席を譲る譲らないについて、こんな真面目なPVを作るなよ、ということ。
筆者としては、とにかく広州GNZ48の映像制作チームは、映像の作り方が丁寧で、映画撮影の基礎がすべてきっちり抑えられている点に感心する。
キャストの演技の付け方も素晴らしいと思う。こういうPVを作ると、下手な監督は、演技の経験のないメンバーが大げさな芝居をしてもそのままにするかもしれないが、広州GNZ48の映像制作チームの監督は、メンバーに徹底して抑えた演技を付けている。
結果的に地下鉄の公共広告になってるけれど(笑)、あとは公演自体がどうなっているかが楽しみ。