明日2017/10/01が国慶節ということで、上海SNH48が今年は『歌唱祖国』アレンジ版のMVを公開した。
AKB48運営が中国で中国人メンバーの姉妹グループを作れば、このような愛国歌を歌う必要がある。そのとき日本のAKB48ファンは何を思うだろうか。
今年の『歌唱祖国』はウィキペディアで調べると「第二の国歌」と言われている革命歌。
去年SNH48が国慶節に独自アレンジ版でMVを公開した『我和我的祖国(私と私の祖国)』という曲は、1985年発表とかなり最近の曲で、政治色のない祖国を慕う抒情歌。
今年の『歌唱祖国』は1951年、政府令によって各種公式行事で開幕、閉幕時に演奏するために発表された歌らしい。ただ歌詞は抗日戦争の勝利を喜び、国民の団結を訴える部分を除いて、意外に平和。
ところでSNH48運営は、この革命歌の政治色を弱めるために、絶妙の工夫をしている。
このMVの主演、二期生チームNII愛ちゃん(易嘉愛)の冒頭のセリフ。
「子供の頃、お母さんがこの曲を歌っているのを聴いていた」
「お母さんが歌っていたのは、お母さんの青春」
そして愛ちゃんがピアノの前に座ると、この曲のオリジナル版が遠い記憶の中から勇ましく響いてくる。これはお母さんの青春時代の『歌唱祖国』。
↓三期生メンヤン(許楊玉琢)、四期生スイスイ(楊冰怡)、五期生(姜杉)
そしてMVの最後のキャプションは「今日、それが歌ったのは私たちの青春。」
この「它唱的是我们的青春」の「它(ター)」が同じ発音の代名詞「他(彼)」でも「她(彼女)」でもなく「它(それ)」になっているのがポイント。
「他」や「她」だと、誰か人間が『歌唱祖国』で「私たちの青春」を歌っていることになるが、「它」だと特定の人間ではなく『歌唱祖国』という曲自体が「私たちの青春」を歌っている意味になる。
つまり、SNH48メンバーが自分たちの青春を歌うためにこの曲を歌ったのではなく、この曲自身が、世代を超えて青春の思い出の彩りに過ぎず、それ以上の意味はないと、遠まわしに言っている。
政治とのこの絶妙の距離感。
ところでこのMVに出演している子供は上海小熒星芸術団という児童芸術学校の生徒さんだが、この学校は上海東方衛星テレビと同じ企業グループ。
SNH48は上海東方衛星テレビとは設立当初からのお付き合いで、この芸術団の生徒さんたちは今年の第四回総選挙コンサートにも出演している。
このMVのメイキングはこちら。
くり返しになるが、AKB48が中国で中国人メンバーの姉妹グループを作り、全国区を狙うなら、抗日戦争に関連する日には中国ツイッター(新浪微博)で「歴史を忘れるな」というツイートをし、国慶節には愛国歌を歌う必要がある。
そのとき日本のAKB48ファンは何を思うだろうか。