広州GNZ48新EPタイトル曲『SAY NO』MV予告編のたった40秒が相変わらずものすごい件

広州GNZ48の4th EP『SAY NO』タイトル曲MVの予告編が公開された。相変わらず広州GNZ48の映像制作チームは本当にセンスがいい。

広州GNZ48の運営会社とファンが素晴らしいのは、この『SAY NO』の選抜メンバーが第四回総選挙の結果と全く関係なく、いろんなメンバーにチャンスを与えるという考えで選ばれていること。

そしてファンがそれに対して、上海SNH48や北京BEJ48のファンのようにクレームを入れないこと。

北京BEJ48ファンにいたっては、今回のEP『百変驚嘆号』のジャケット画像が公開されたとたん、「ぱっと見てトップの段藝璇がどこにいるかわからないじゃないか!」「なんで順位の低い誰々がいちばん目に入る場所なんだ!」と、中国ツイッター(新浪微博)のコメント覧が一瞬で炎上した。結果、運営会社はすぐに画像を作り直した。

広州GNZ48は3チーム全体を底上げするという方針が明確で、だからこそ新公演を次々と打ち出せている。(だから筆者は広州GNZ48を応援している)

この曲のセンターの広州GNZ48チームNIIIナオナオ(盧靜)のアップから、カメラがゆっくりズームアウトではなくドリー・アウト(カメラを台車に載せて後ろに下がる)している。

そして彼女に当たっている照明がチラチラしているが、これも演出。細かすぎて分からないが、このチラチラする光の演出と、ゆっくり音量が上がる観客の声援だけで、体育館に大勢観客がいるように見せている。

実物のエキストラを使わずに(最後の部分で最前列の観客だけ写っているが)、照明と音だけで、体育館に差し込む外の太陽光が、おどり上がって応援している観客の様子を分からせているのだ。たぶんこれを観ている人のほとんどは、この演出に気づいていない。

上海SNH48の作る映像が、誰にでも分かる照明や画角の効果を使った、いわば典型的なハリウッドの商業映画だとすれば、広州GNZ48の映像はミニシアターでしか上映されないような、とても繊細な芸術映画だ。

上海SNH48が先日公開した、チームNII新公演『以愛之名』の予告編は、屋外ロケや室内のセット、かなり大きな予算を使い、さまざまなズームや画角を使い、細かくカット割りをして、スローモーションや、カメラをわざと揺らしたりなどなど、ありとあらゆる演出手法を使って、最後にすべてのカットを編集で整理するという商業映画の手法。

一方、広州の映像は、低予算ながら、考え抜かれた最小限の演出で状況を理解させる、徹底した「引き算」の映像。商業ベースにのらない芸術映画をたくさん観たことがない人にとっては、おそらく「なんだこれ?」という感想しか残らない作品。

で、最大のポイントは、ナオナオがなぜずーっとカメラ目線なのか、なぜ一人でそこに座っているのか、なぜほとんど無表情なのか、理由が全く分からないこと。観る人の理解を拒否するような演出も、普通は怖くて出来ない。

秀逸なのは、最後に「SAY NO」のタイトルがフェードインではなくカットインで入って来て、歓声だけが残るという演出。

たった40秒、しかもノーカットで(40秒ノーカットですよ!)、これだけ綿密に考えられた演出を詰め込み、なおかつ、この映像を観たほとんどの人が、その綿密さにたぶん全く気づかないだろうというところが、広州GNZ48の映像のすごさ。