上海SNH48運営会社、平日劇場チケット売れ行き悪化の挽回企画

上海SNH48と比べて、姉妹グループのファン層はまだまだ薄く、注目されていないのでかえってネガティブなネタが少ないが、本部の上海SNH48はネガティブなネタがいくらでも出てくる。

上海の劇場チケットの売れ行きが一時期の盛り上がりと比べると最近あまり良くないようで、運営会社がいろんな策を打ち出しているがあまり効果が出ていないらしい、というネタ。

その一つは、最近始まった企画で、メンバーが劇場カフェでソロのミニライブをするというもの。

そして二つ目は、秋冬のファン感謝祭として、下図のようなイベントをするようだ。

イベント1:ハズレ無しのガチャガチャ

2017/10/17~12/31までという長期間。水曜日から金曜日の公演チケットを、4週間の間に6回購入したファンに限って、ガチャガチャの抽選イベントに参加できるというイベント。

場所はSNH48劇場併設カフェ。期間は2017/10/17~11/12、11/14~12/10、12/12~12/31の3期間に分かれている。

これらそれぞれ4週間の間に、平日公演チケットを6枚購入すると、ハズレなしのガチャガチャの抽選に参加できる。

抽選で当たる賞品は以下のとおり。それぞれ当選確率が決まっているが、現地ファンの誰が信じるだろうか…。

1. SNH48オンラインショップでブラックリストに入れられたユーザを解除できる権利。当選確率10%。

他人のためにも使えるとのこと。オンラインショップは海外向けチケット販売を除いて、基本的に中国国内の銀行に口座がないと買い物できないので、筆者はこれが何を意味するのかわからない。

とにかく何らかの「ルール違反」をしてグッズやチケットを購入したユーザが復活できるということだろう。そこまでしてユーザを取り戻したいか?という気もする。

2. 劇場公演チケット抽選が必ず当たる権利。当選確率20%。

抽選制の公演に限って利点がある賞だが、何を意味するのかよく分からない。抽選制の公演は人気がある公演なので、この賞にとても魅力があるのだとすれば、人気公演をエサに、平日公演のチケットを売ろうという目的だということになる。

ただ、この賞品の抽選率を本当に20%で維持するのは難しそう。この権利を行使するユーザが増えれば、抽選制のチケット販売自体が破綻するので。

3. カフェ・ミニライブ入場資格。当選確率20%。

この賞が当たって以降一か月以内に開催されるミニライブのうち1回の入場資格。具体的なミニライブと有効期間は引換券に記載。

自分がファンでもないメンバーのミニライブを、わざわざ劇場まで観に行きたい現地ファンがどれだけいるのか不明。あまり魅力がなさそうな賞品。

4. カフェの飲み物1杯。当選確率30%

有効期間1か月。たぶんこの賞品はほぼ無意味。

5. 応援への感謝。当選確率20%。

毎月当選者名簿を作り、任意のメンバーが舞台上で当選者のIDを言ってお礼するという賞品。これも自分がファンでもないメンバーにお礼を言ってもらって何がうれしいのか分からない。

イベント2:連番チケット購入権

水曜日から金曜日の公演の実名制チケット販売に限って、連番チケットを2枚購入する権利を獲得できる。常連ファンが友だちを誘って新しいファンになってもらおうという企画。

この企画はじつは広州GNZ48の方が早く、ファンの意見を取り入れてすでに実施している。複数の面で広州GNZ48運営会社は上海本部より進んでいる。

イベント3:毎週水曜日、その週の水曜日から金曜日のチケットを劇場で販売

イベント期間中、毎週水曜日12:00から劇場で、オンライン販売で余ったチケットを販売。その週の水曜日から金曜日のチケットに限るが、実名制ではない。現場で売り切れになるまで、とのこと。

実名制ではない、とのことなので、ダフ屋との駆け引きが微妙になりそう。これでダフ屋も食い付かないとなると、かなり悲惨な感じ。

イベント4:”リクエストアワー”曲目特別賞

2017/10/18~12/20の期間、毎週水曜日から金曜日の通常公演(新公演初演、巡回公演、誕生日記念公演を除く)の終了後、”リクエストアワー大賞”特別賞のコーナーを追加。

SNH48メンバーたちが自由な組み合わせで自分たちのいちばんやりたいユニット曲を、現場のファンのために3曲連続で歌うという企画。このコーナーの部分は通常のオンライン生放送はせず、一週間後に録画をオンライン公開する。

これは実際に劇場に足を運んだファンだけの特典という意味。

2017/10/18(水)~10/20(金)の特別賞のプログラムは以下のとおり。

2017/10/18(水) チームX公演
『おしべとめしべと夜の蝶々』天草(王曉佳)ニュース(孫歆文)
『Love Letter』炭酸(張丹三)
『口移しのチョコレート』ソクちゃん(汪束)パパ(洪珮雲)ムームー(張嘉予)

2017/10/19(木) チームSII公演
『Love Letter』レンレン(吳哲晗)
『天使的圈套(天使のワナ)』マオマオ(李宇琪)みらい(蔣芸)
『關不掉』ダイモン(戴萌)

2017/10/20(金) チームNII公演
『夢の河』Yuriko(江真儀)
『禁じられた2人』チューツ(劉菊子)シャオイェン(許逸)
『降落傘(落下傘)』愛ちゃん(易嘉愛)

チームNIIはこれをやらなくてもチケットは完売する。他のユニット曲はおそらく聴き飽きたものばかり。選曲として一番いいのはYurikoの『夢の河』だろう。

聴き飽きたものばかりということは、メンバーが一から振り付けを覚える必要がない曲、ということだ。

SNH48運営会社が上演権をまだ持っていると思われるユニット曲は、無数にあるはず。

『逆上がり』『RESET』『青春ガールズ』『パジャマドライブ』『恋愛禁止条例』などから、普段ほとんどやらないようなユニット曲を掘り出して歌わない限り、特別コーナーと言いつつ、何も「特別」にならないのではないか。

イベント5:SNH48劇場公演アンケート

公式アプリ「Pocket48」でSNH48劇場公演についてアンケート調査を実施。劇場でQRコードをスキャンすれば、アンケートに回答して、公演に対する自分の意見や提案を出せる。アンケート期間は別途公表。

これもどうなんだろう、という感じ。普段から現地ファンは応援会経由で運営会社にいろいろと意見やクレームをつけているので、わざわざ意見や提案をするために、劇場まで言ってQRコードをスキャンしてアンケートの回答権をもらうことをするだろうか。

それに意見や提案をしたからといって、採用されるとは限らないわけで…。

以上、どれも水曜日から金曜日の集客にほんとうにつながるのか、微妙な企画ばかりで、運営会社の危機感だけが伝わってくるイベント。

結局、SNH48運営会社は、公演の楽曲や衣装、ダンスの品質、MCコーナーのおしゃべりの面白さ、オンラインではMVの品質などが、集客にいちばん効果があるという、ごくごく基本的なことを理解していないのでは?

広州GNZ48が最近突然注目を集めたのは、確実に全曲オリジナル公演『双面偶像』の圧倒的なクオリティーだし、広州GNZ48が制作するMVなどの映像作品は、すでに本部のSNH48が制作するものを超えてしまっているという現地ファンの声も少なくない。

最近のSNH48公演の受けが悪い最大の原因は、音楽総監督の「滕少」さんが典型的な48系アイドルポップスから、K-POPへシフトし過ぎたことにある。この意見に現地SNH48ファンの大半が賛成するのではないか。

SNH48チームNIIの全曲オリジナル新公演『以愛之名』を、48系アイドルポップへ戻したところで、チームNIIにはもともと分厚いコアなファン層があるので、極端な話、チームNIIはどんな公演をやろうがチケットは売れる。

チームSIIは、チームNIIについでファン層が厚いので、同じくどんな公演をやっても週末ならチケットは売れる。ただチームNIIよりファンは少ないので、平日公演のチケットの売れ行きは厳しい。

チームHIIの『Beautiful World』は、SNH48音楽総監督がアイドルポップから大きくスタイルをシフトさせた最初の公演だが、この方向性の変化は集客に失敗している。メンバーのモチベーションも下げている。

チームXの『ドリームフラッグ(夢想的旗幟)』は、J-POPスタイルの公演で評判は悪くないが、長くやり過ぎで、すでに飽きられている。

瀋陽SHY48チームHIIIがこの公演をお下がりで公演したが、そちらはすでに終わったのに、上海でまだ続けているというのは、一体どういうこと?という感じだろう。

チームXIIの『コードXII』は、あまりにエレクトロポップ寄りで評判が悪く、『コードXII 2.0』とし、新曲をいくつか入れざるをえなかった。

その新曲うち『人間規則』が、現地で評価の高い作詞家・甘世佳さんの詞のクオリティもあって評価が高かったが、改善と言えたのはその一曲くらい。依然として公演全体の評価は高くない。

同じ公演を広州GNZ48チームZでさえ、地元の広州に密着した改変版『コード林和西』としてお下がり上演をせざるを得ないくらい、『コードXII』のクオリティはそもそも低すぎる。

チームNIIの人気メンバー・カチューシャが同公演の『她和她(彼女と彼女)』を、四期生ランラン(宋昕冉)と自前の企画でMV制作するという、助け舟を出さざるをえないほど、公演自体のクオリティが低い。

チームHIIメンバーは人気メンバーを次々失ったし、チームXはキャプテンの李晶の牽引力があまりになさすぎるし、チームXIIはニモ(費沁源)やパパ(洪珮雲)など、人気メンバーがいるのに、公演『コードXII 2.0』が彼女たちの魅力をまったく活かせていない。

本来のパフォーマンスの品質という原点に立ち戻らず、こういう小手先のチケット販促活動をやっている限り、上海SNH48劇場にかつての客足は戻らないのではないか。