上海SNH48第四回リクアワで発表された「大組閣」の余波とSNH48の今後

上海SNH48グループ第四回リクエストアワーで発表された「大組閣」の余波について。

上海SNH48と広州GNZ48「予備生」の違い

まず今回の「大組閣」で上海SNH48に新設された「予備生」について。今回SNH48チームSII正規メンバーから「予備生」に降格されたチュエチュエ(成珏)が、握手会でファンに具体的に話したらしい。

↓こちらの握手会レポートの下半分。

(SNH48チームSIIから降格された)3人の予備生について

もうしばらくしたら(公式アプリ)Pocket48と中国ツイッター(新浪微博)のアカウントは没収されるけれど、十期生がデビューしたら返してもらえる。予備生の昇格条件はPocket48のデータ+中国ツイッターのデータ+握手会のデータ+総選挙の成績の合計で、全部が上がらないと昇格できない!

だから持久戦になる。私たちは全力で頑張るから、みんなもお願いね。

この上海SNH48運営の手法は自分で自分の首を締めている。

九期生は今回の「大組閣」でお披露目されたばかりなので、SNH48十期生デビューとともにチュエチュエが中国ツイッターや公式アプリでのファンと交流を再開できるのは、数か月先になる。

*)2018/02/06追記:この直後SNH48運営会社は予備生に公式アプリ生放送を許可した。

姉妹グループのうち「予備生」制度があるのは広州GNZ48だけだが、広州GNZ48の予備生は、中国ツイッター、公式アプリも使用可、劇場でも予備生の定期公演『アイドル研究計画』に出演でき、ファンとの交流手段は正規メンバーと区別がない。

正規メンバーと同じ条件下でこそ公平な競争が成り立つのに、上海SNH48はただでさえファンの少ないメンバーをより不利な状況に追い込むことで、中期的に自分に不利な状況を作り出す。

今回の大組閣で周縁メンバーを予備生に降格させた弊害は以下のとおり。

(1)育成系アイドルはファンの応援がアイドルにとって最大の原動力になる仕組みで、ファンの応援も金銭的なものだけではない。

ファンの応援とアイドルのモチベーションの好循環が、最終的には個々のメンバーを会社にとって「儲かる商品」に育てる。SNH48も現在のトップメンバーは今までそうやって「儲かる商品」になった。

今回の大組閣はこの好循環を否定し、ファンから「人気のないメンバーを応援して育てよう」という動機づけを奪った。

(2)300人を超えるメンバーを抱える利点はロングテールにある。トップメンバーは売上も高いが維持費(ギャラ等)も高い。周縁メンバーは売上は低いが、将来人気メンバーになる期待を与えることでギャラを極限まで低く抑えられる。

しかし周縁メンバーは期待を裏切られた。違約金が払えないため、やる気のないまま在籍するメンバーになるか、家庭が裕福で違約金を払って退団するかどちらかになる。前者を餓死させるわけにはいかないので、ロングテールのテール部分は赤字になる。

また、違約金を払って退団したメンバーは外部で運営会社の社会的評価を落とす、マイナス効果の口コミを流す。

(3)SNH48に入団したいという少女の家族は、入団に反対する理由を手に入れる。入団して人気が出なければ、あんなふうに降格させられて入団した意味そのものがなくなると、娘を説得して入団をあきらめさせることが、今まで以上に容易になる。

これはSNH48のオーディション応募者を減らし、中期的な競争力を蝕む。

これだけさまざまな中期的な損失が予測されるにもかかわらず、たった数名の正規メンバーを予備生に降格させた行為が経済合理的だとはとても考えられない。

少なくとも上海SNH48本部の運営会社は48系の本質を完全に失ったと言える。ファンのみなさんは北京BEJ48、広州GNZ48など、姉妹グループへどうぞ。

ちなみに第四回リクアワ感謝握手会では、チュエチュエの応援会が無料で握手券を配って彼女と握手してほしいと、現場のファンにお願いしたり、チームSIIキャプテン・ダイモン(戴萌)が自分のファンに、握手券に余裕があれば彼女のところへ握手しにいって励ましてあげて、と呼び掛けたりしていた。

最人気のチームNII改組の余波

旧チームNIIから主要メンバーの李藝彤、シャオスー(林思意)、ナナちゃん(萬麗娜)が新チームHIIに異動したことの余波が、どうやらかなり尾を引きそう。(八期生・馬凡もチームFtに異動だが新人なので影響は小さいようだ)

まず、チームNII全体の応援会が組織しなおされるらしい。

しかし新チームHIIに異動した元主要メンバー3人の応援をまだ続けるかどうかでもめている。「大組閣」の後、チームNIIにとどまることになったメンバーが、「旧チームNIIメンバーはどこへ行っても私たちといっしょ」という意味の発言をしているためだ。

また、旧チームNIIの女性ファン応援会が解散した。

そして、シャオスーの複数ある応援会の一つが、彼女の名前に「SNH48」を付けることを止めようと提案した。運営会社への抗議と思われる。

他にも筆者がフォローしきれていない、各応援会の動きがあると思うが、この夏の第五回総選挙に向けた資金集めもそろそろ始まり、とくにチームNII応援会の内輪もめは尾を引きそうだ。

こちらもこちらでトップメンバーの処遇面で、最大の顧客層からの信任を傷つけた結果になった。

周縁メンバーに対しても、トップメンバーに対しても、短期的に過剰に合理的な対応をとることで、中期的には逆に不合理な結果を生むリスクを高めている。

上海SNH48は意図的に「育成系大型女性アイドルグループ」という中核事業をつぶすつもりなのだろうか?