中国ツイッター(新浪微博)のネット映画情報アルファブロガーが『中国はC-popガールズグループを育成できるのか?』というかなり良質なコラムを発表したので、ご紹介。
「骨朵網絡影視」というネット映画情報アカウントでアイドルグループとは直接関係ないアカウント。元記事はこちらで読めるが、引用しつつコメントしてみる。
なおこのコラムは筆者の意見ではなく「骨朵網絡影視」の文責であり原著者「骨朵網絡影視」からの掲載停止依頼の他は一切受付けない。原著者以外から掲載停止要求があった場合、以下の日本語試訳を削除すると同時に誰がどのような手段で停止を要求したかを記載することとする。
ファン経済学を操ることに熟練し、運営時間もかなり長く、人数規模も大きく、つねに様々な大規模イベントで存在感を示し、鞠婧禕(チュー・チンイー)のような新世代の女性スターを輩出したことで、中国では現段階で「育成系ガールズグループ」の運営システムを維持している代表となっている。
SNH48というグループを全く分からない人でも、名前は聴いたことがあるし、SNH48と「育成系」運営を結びつけるだろう。
今回のSNH48の「意外だけれど納得感のある」選択について、中国では育成系ガールズグループはとっくに停滞期に入っていると認める人は、さらに多いだろう。
日本式「地下アイドル」の中国式の浸透
2005/12/08、AKB48は東京のヲタクの聖地秋葉原で誕生。2009/09発売の14枚目のシングル『River』で日本の権威あるランキングOriconの頂点に登りつめて以降、国民的な人気になった。
AKB48の日本での成功は決して偶然ではない。当時日本で比較的人気だったガールズグループは、エレクトロ・ポップの三人組Perfumeのような歌手タイプのグループの他、1997年成立のモーニング娘。がいた。
そのマネジメント会社が育成系を最初に始めて、ファンにアイドルの成長を見せ、絶えず卒業メンバーと新人を交代させていったが、依然として「地上アイドル」の発展モデルに属していた。
日本のアイドル業界はざっくり「地上アイドル」と「地下アイドル」に分類できる。広く知られた状態でテレビ番組でデビューし、テレビに出演して、成立当初からある程度国民に知られている女性アイドルは「地上アイドル」とみなされる。
同じように中国、韓国、欧米で「スター」とみなされる大多数のアイドルもこのタイプで、比較的よく見られ、ファンとの間に幻想を抱かせるような距離を保っている。
AKB48は東京秋葉原のショッピングモール、ドン・キホーテ8階に250席の劇場で、毎日1回から3回の劇場公演を行い、一回の公演は約2時間で統一された規格となっている。
ファンは小劇場で近距離からアイドルのパフォーマンスを見ることができ、公演が終わった後、劇場入り口で待っているファンとハイタッチができる。
当初国民的なテレビ番組に出演することがほとんどなかったAKB48は、深夜に放送されるグループのバラエティー番組と劇場公演でずっと生き延びていた。劇場から出て広く人気と認知度を得るのは難しいため、これが典型的な「地下アイドル」の形態だ。
2010年後半、AKB48の人気が中国にも伝わってから、地方の劇場公演を拠点とする中国の「地下アイドル」も爆発的に生まれた。最初は広州、上海といったオタク文化との接触が比較的多い都市を拠点とし、2011年に広州でサファイアガールズが結成され、上海のLunarメイドカフェからはLunarが誕生した。
すでに大スターの時代は終わっており、日本の地下アイドルのモデルは、中国でも新たに浸透しているように見えた。
2010年、AKB48が日本で爆発的に国民的人気を得たとき、九遊ネットの設立者で、上海久尚タレントマネジメントの社長である王子傑は、傘下のファッション誌『mina』六周年のとき、AKB48の主要メンバーが社内の記念パーティーに招待され、パフォーマンスを行った。
同時に王子傑はAKB48のマネジメント会社AKSと、中国で海外姉妹グループを結成する最初の交渉を始めた。
いせきによってこの2名は完全にAKB48からSNH48に異動になり、中でも宮澤佐江は長期間、総選挙のトップ12位に入り、CD発売時にジャケットやPR番組に参加する人気メンバーだった。
同時にAKB48の経験豊富なトップクラスのマネジメント責任者である山本学氏もSNH48に派遣された。これだけでもAKB48のSNH48に対して最大限のサポートをしていたことが分かる。
しかし、外国人が中国で芸能活動をするビザ取得の問題などで、2名の日本人メンバーは決してSNH48といっしょにパフォーマンスする機会が多くなく、公演への傘下も数回だけ。
SNH48はAKB48の大型コンサート数回と、日本へ行き見学の機会を得たほかは、決してJKT48のように日本の舞台に上がることはなく、本当の意味でAKB48グループのコンサートに参加したこともなかった。SNH48はAKB48グループ全体の中で最も疎遠な感じのあるグループになった。
ついに2016/06/09、AKSは声明を発表、SNH48の一方的な契約違反とした。翌日、SNH48公式サイトで、SNH48は完全に独立した、自主経営の中国で現地化した大型女性アイドルグループであり、インターネットのコンセプトに基づくスター製造プラットフォームで、AKB48とは提携関係にあるだけで、決して契約違反ではないと発表した。
表面上の論点は、シングル発売や劇場公演の楽曲はすべて一貫してAKB48のレパートリーを二次的に中国語化したSNH48楽曲を利用しており、姉妹グループを設立すれば、さらに楽曲の権利使用料を二つ分支払う必要があり、SNH48は費用が高すぎることを理由に提携を終了させ、オリジナル楽曲制作を始めたことだった。
事実上、絲芭グループは決裂前に、SNH48運営に対してAKSの指導を通す必要があり、絲芭グループは代理店のようになっていた。SNH48はすでにAKB48を通じてファンを引き入れることと運営モデルのコピーを実現したが、すべての利益を得られないと見て、絲芭グループは待ちきれずにこの大きなパイを”独り占め”した。
中国版『Produce』からの逃避
SNH48は”内輪の盛り上がり”?
SNH48のこの”解放”で、AKB48の中国市場進出はまた一歩遅れることになった。今年2018/01/08、AKB48はようやく彩度中国にAKB48-Chinaの身分で上海艾愷文化伝媒有限公司を設立し、2018/04/10正式に中国姉妹グループの募集をもう一度開始した。
注目に値するのは、SNH48が独立運営と称しながら、姉妹グループを設立させる方式、パフォーマンス、オフラインでのファンとの交流、グッズ、映像作品の制作など大部分の運営モデルはいまだにAKB48グループ系の方式を取ってきていることで、以前の紛糾の事情を知らない普通の観衆から見ると、依然としてAKB48姉妹グループと黙認されているということだ。
AKSは法律的な支援を希望しているが、国境をまたぐ案件の処理の何度は極度に高く、早期にやめている。今年改めて中国で海外姉妹グループを募集する際、ルール通りのネーミングはSNH48に占用されているため、AKB48 TeamSHの名義で姉妹グループを成立させざるをえなかった。
SNH48は今回の”女性グループ・フェスティバル”としての中国版『Produce101』に面して、全く動きを取らなかったことは、理解できないように見えるが、実は理由のあることだ。
SNH48グループは現在すでに中国国内の独立した大会社と言え、かつAKB48運営モデルを”見習って”6年運営してきており、早期にAKB48ファンを引き入れてファンの更新をくり返し、今では純粋なSNH48ファンを持つようになっている。2017年の総選挙投票によって絲芭グループは2億人民元(約34億円)を超える利益を得ており、すでに経済力のある固定ファンを多数有している。また絲芭影視を利用してネット映画を撮影し、キャッシュフローの拘束な循環を実現しており、対外的にネットドラマと提携することで絶えずメンバーをディスプレイへと送り出している。
中国版『Produce101』に参加している女性アイドルグループの大多数は、すでにデビューし、パフォーマンスの経験のあるメンバーだが、中韓でかなり活躍している宇宙少女や、『RAP IN CHINA』に参加したYamyなどの人気選手以外、大多数は比較的無名だったり、日本系地下アイドルだ。すでに解散した1931、ATFのメンバーや、絶えず組織変更をくり返しているチェリーガールズ、蜜蜂少女隊などが、比較的大型のイベントを通じて国民化への歩みを急いでいる。
しかしSNH48グループのパフォーマンスは、通常男性が多数を占めるファンに向かって行われ、そのスタッフが以前我々に率直に語ったように、”ファンが見ているのはパフォーマンスではなく、成長物語です”。したがってたとえパフォーマンスの能力が十分でなくても、ファンは依然として”彼女はいつか成長する”という考え方を持ち続けている。
AKB48からかつてSNH48に移籍していた宮澤佐江は、自分が参加できない公演の前に、先輩の身分としてSNH48メンバーにレッスンを行っていた。しかしかつて日本のNHKで放送されたSNH48に関するドキュメンタリーで、宮澤佐江は中国人メンバーの態度が散漫だったため叱りつけるという場面があった。当時反省を示したメンバーは少なくなかったが、その後SNH48は普段の有償公演で、パフォーマンスの完成度の品質が劣る問題はいまだに存在し続けている。
他にも、グループの人数が多いため、人気の階層がバラバラの状態で、メンバーの収入も二極化しており、十分な生活をするのが難しいメンバーも少なくない。同様の問題はAKB48にも存在するが、早くからメンバーのタレントマネジメントを開放し、外部のタレントマネジメント会社に契約を希望するメンバーを選択させることを許している。それによってもう一つの仕事の保障を得たメンバーも少なくない。
SNH48は当初AKB48と分岐したとき、実質的な理由は絲芭グループがSNH48に対して絶対的な運営権を持つことだった。SNH48は最初から最後まで全てのメンバーの契約をしっかりと握っており、極めて強い管理浴を持っている。中国版『Produce101』で最終的にデビューする11名は、元のマネジメント会社と特定の期間経済的な契約を共有する必要があり、共有ではなく独占を望んでいる。おそらくこのことがSNH48グループが中国版『Produce101』を欠席したもう一つの大きな理由だろう。
しかし成立四年に満たずしてすでに国民化路線を歩んだAKB48にとっては、成立六年経ってもわずかに知名度のある鞠婧禕一人しか輩出していないSNH48グループは明らかにすでに”脱出する”ことが難しい内部の悪循環に陥っており、遅かれ早かれ弱体化するだろう。
C-Pop?中国新時代の女性グループ?
”内輪での盛り上がり”から抜け出せないSNH48とは離れて、中国版『Produce101』も現状のモデルを打破し、全く新しい育成型女性グループを創造できるだろうか?
中国版『Produce101』の第三回放送は16人のチームが対抗戦パフォーマンスを行う形式で展開され、番組の長さは今までにない3時間13分にも及んだ。番組を毎回見ている海外の視聴者でさえ映像を開いて見た瞬間に唖然としたという。
中韓が協力して結成した女性グループ宇宙少女は、デビュー二年を超え、かつ中韓でつねにランキングに現れており、すでに安定したファンを有し、中国版『Produce101』に二名の選手、吳宣儀、孟美岐を参加させて番組を盛り上げている。同様に豊富な舞台経験を持っているため、この二名の選手は素晴らしいパフォーマンスを見せている。
吳宣儀をセンターとするチームは、『Sugar』を歌った李子璇をセンターとするスウィート系チームに投票で負けたが、孟美岐がセンターのチームは同様のセクシー路線の傅菁をセンターとするチームを撃破するとともに、大きな異彩を放って称賛を得た。
投票結果が発表される前、メンターがまず”盛り上げる”。
Ella:まず音楽総監の胡彥斌さんに拍手。編曲がすごく良いよね?
黃子韜:本当に、君の編曲は本当にすごく良いよ、君の編曲は本当に良い。
胡彦斌:ありがとう、タオくん。君の言う国際化したC-Popだよ。
黃子韜:International, C-Pop。
胡彦斌:You’re C-Pop King!
広い意味でC-Popは中国語のポップスと定義され、黃子韜が以前C-Pop Kingの名前を携えて中国に帰国し以降、新たに再出発したまさにそのとき、実はミュージシャンが自分なりのやり方でC-Popを特色ある、より広く受け入れられるものに書き換える試みを行っていた。
しかし中国版『Produce101』の中で、どのメンターにしても、”C-Pop”とひとこと言って黃子韜の自認する”C-Pop”の名にぴったり来るのはそれほど簡単ではない。
女性アイドルグループの環境が比較的弱い勢力の中国で、”育成系女性グループ”を生み出すことで切り込んだ中国版『Produce101』は、最初から有望と見なされていない。第三回放送に至るまで、ネットの注目度は高まり続けており、希望の光が見えたように思える。
しかし夜が明ける前、すべての人の最大の争点は依然として”この番組は一体どういうスタイルなのか?”という点にある。
おわりに
中国語圏のポップスをずっと有してきた中国は、アイドル時代になって、一体どうやって自分自身のC-Pop女性グループを育成できるのだろうか?
エレクトロポップを主要な売りにしたSING女団は、最初の黃子韜の審査で”僕らが作る女性グループは必ず中国スタイルでなければいけない”という評価を得た。チーム対抗戦の中で、強東玥の率いるチームの蘇州小調をオープニングにした『爺爺泡的茶』と、Yamyチームの『中国話』の二曲は中国スタイルが濃厚な曲で、審査委員の絶賛を得て対戦に勝ち残った。
音楽を主体とする女性グループのスタイルの確立は、ふつう歌、ダンス、運営モデルの三種類の方式のうち、少なくとも一つはブレイクスルーになる新しいスタイルを確立しなければならない。中国版『Produce101』はすでに一定の実力のある選手を有しているが、これから新しいブレイクスルーを考慮しなければ、SNH48と同じように、ボトルネックの中を徘徊し続けることになる。
最後に筆者の意見。
なぜ中国の論者は日本や韓国の芸能界の「特殊性」にここまで無知なんだろうか。こういう論評を読むたびに思う。
日本と韓国のマスメディアは戦後米国の占領政策で、極端な左派言論を排除するために寡占化されている。逆に言えばマスメディアをつかみさえすれば国民的タレントになれるし、つかめなければ永遠に「地下タレント」のままだ。
その文脈を無視してAKB48とSNH48を比較したり、黃子韜のようなK-POPスターが語るC-POPを真剣に論じたりすることに意味はない。
上の文章にも中国芸能界と日韓芸能界の文脈の違いが全く言及されておらず、単にパフォーマンスのスタイルの違いという表面的な議論しかない。
なぜ表面的な議論しかできないのか?それは中国が一党独裁で芸能活動が厳しい検閲の下にあるからだ。
その点を論じない限り、中国は中国国内でしか通用しないサービス(シェアサイクルやスマホ決済を含む)やエンタメは生み出せても、海外でも通用する第三次産業は海外からビジネスモデルを借りない限り生み出せない。
それはこれからの中国版『Produce101』を見ていれば分かる。