「量」の差は分かるが「質」の差が分からないファンがSNH48を終わらせる

SNH48第五回総選挙参加メンバーと、いま中国でネット放送中の中国版『Produce101』練習生のファンが、クラウドファンディング・サイトで投票資金集め対戦をやっているらしい。

中国版『Produce101』は中国三大ネット企業テンセントが韓国から正式に権利を購入して放送中で、中国ツイッターのタグ・ランキングやネットの話題性ではSNH48グループを遥かに上回っている。いま中国で「pick」はバズワードになっている。

そこで、誰が企画したのか知らないが、クラウドファンディング・サイトで投票資金集め対戦をやろうということになったらしい。

下図が2018/06/10 10:40の各メンバーの資金集め状況で、資金を提供したファンの人数と集金金額だ。金額の小数点以下は切り捨てる。

『Produce101』
賴美雲 3012人 229,260元
孟美岐 5609人 500,276元
傅菁 2048人 218,373元
張紫寧 1485人 85,180元

SNH48グループ
黃婷婷 3342人 326,894元
陸婷 1307人 138,147元
戴萌 514人 47,595元
許佳琪 662人 53,625元
陳珂 256人 35,454元
韓家樂 138人 23,532元

この数字を見て、『Produce101』がSNH48の人気を圧倒した、SNH48はもうダメだうんぬんの議論している現地SNH48ファンが少なくないのだが、お前らアホかと言いたい。

SNH48はAKB48にならってもう五年も総選挙をやっていて、五年前と今では資金集めの方法は変わっているが地道に同じイベントを続けている。

一方『Produce101』は中国で第一シーズンの放送が始まってまだ2018/06/09で第8回だ。(そもそも一般人の投票でメンバーの順位が決まるという発想自体、韓国『Produce101』がAKB48から借りたものだ)

しかもこの資金集めの対戦企画以外の集金合計額は2018/06/09現在以下のとおり。『Produce101』メンバーが今回の企画で集めた金額よりはるかに多い。

黃婷婷 4,227,921元
陸婷 1,241,127元
戴萌 787,187元
許佳琪 1,013,386元
陳珂 372,327元
韓家樂 317,097元

そもそも48系と『Produce101』では運営方式がまったく違う。48系は年に一度の総選挙だけでなくリクエストアワーなど他にも投票イベントがあり、また「会いに行けるアイドル」という基本コンセプトがある。

『Produce101』のトップメンバーは握手会もハイタッチ会もツーショット会もしてくれない。従来のアイドルやスターと同じく画面の向こう側で輝いているだけ。ライブに行っても客席で遠くから眺めるしかない。

かりに中国で48系グループが本当に『Produce101』に負けてしまうとすれば、それは何事も金額の大小でしか物事を比較できない現地ファンの拝金主義がきっかけになるだろう。

(SNH48運営会社はそういうファンからの収益に依存する体質を改めるために、ネット映画・ドラマ制作によるIPビジネスなど資金を短期間で回収できる事業に多角化を進めているわけだ)

48系と『Produce101』の間にあるのは「質」の差であって「量」の差ではない。

筆者は中国版『Produce101』の放送を毎回観ているけれど、ほとんど「導師」である元EXOタオ、ショウ・ルオ、Ella、張傑、胡彥斌、王一博などのプロのタレントの才能と(特に韓国で鍛えられたタオと台湾のショウ・ルオとEllaのバラエティー感)、企画そのものの面白さで視聴者を獲得しており、従来の全国放送人気バラエティ番組とファンの獲得方式に何の変わりもない。(筆者は本家韓国のプデュのことは知らない)

それに対して48系は有名タレントの人気を借りることなく、SNH48にいたっては秋元康のような芸能界の大御所の力も借りずに、一年365日の各メンバーの日常の活動と、毎週の劇場公演、毎回の握手会などなど、すべてが各メンバーの個性だけで支えられている。

それをファンが自分の好きな無名のメンバーを必死でPRしたり、いろんなスキャンダルをほじくり返したり、メンバーとファンで作る365日のリアリティー・ショーにファンが参加できるからこそ、新たなファンを獲得できている。

現地SNH48ファンが本気で『Produce101』と48系を「量」で比較でき、「質」に違いはないと考えるほどアホなのだとすれば、SNH48グループは遅かれ早かれ墜落するだろうし、AKB48の中国再上陸のAKB48 CHINAにも未来はない。

現地SNH48ファンが48系の「質」の違いを理解して、有名タレントに頼らず自分たちファンがメンバーの作るドラマを支えているんだという意識を持ちつづけてくれると願いたい。

あと、結局どっちも他の国からフォーマットを借りていることを忘れないでね(汗)。