ベトナムSGO48現地運営Yeah1はインドネシア、タイ、フィリピンに独自進出計画

2018/06/21にAKB48運営会社AKSがベトナム姉妹グループ「SGO48」の結成を発表したが、やや不思議なことになっている。

『ベトナムにおけるローカル48グループ「SGO48」プロジェクトの開始について』(2018/06/21 ジオブレイン)

SGO48はAKS、日本企業の東南アジア進出支援事業を手がけるジオブレイン社、ベトナムのメディア企業グループYeah1 Groupの3社が、それらの頭文字をとったYAG Entertainmentという会社をベトナムに設立して運営開始される。

ところが、Yeah1 Groupを取り上げた下記のNIKKEI ASIAN REVIEWの記事はYeah1が独自の動きをすると読める。

‘Vietnam company sets stage for Japan-style girl groups – Yeah1 Group’s listing builds war chest for Southeast Asia expansion’ (NIKKEI ASIAN REVIEW 2018/06/22 22:04 JST)

この記事の冒頭が問題の部分。日本語試訳する。

ベトナムの大手エンタテインメント・ネットワーク企業Yeah1グループは、木曜日(2018/06/21)、日本の超人気女性グループAKB48の背後にあるビジネスモデルを複製するために、日本企業2社とジョイントベンチャー契約に署名した。

AKS、ジオブレイン社とのパートナーシップにより、Yeah1はグループ育成とともに、アルバム、チケット、イメージ、ノベルティの販売を加速させるビジネスも手掛ける。「これはベトナムのエンタテインメント産業にとって新しいモデルです」、Yeah1グループ社長Nguyen Anh Nhuong Tongは語る。「しかし、日本のパートナーの支援と経験で、私たちはより多くのベトナムの芸能人を国際的なステージへ送り出します。」

同ベンチャー企業の最初の女性グループは今年末までにデビューするとNguyen氏は語る。

Yeah1は他の東南アジア諸国へも拡大すると話している。タイ、フィリピン、インドネシアも、M&A戦略を通じたターゲットとしている。

ちょっと待った。

AKSが東南アジアに結成した姉妹グループとして、タイではすでにBNK48が活動中、フィリピンのMNL48はすでにオーディションが進んでおり、インドネシアではご承知の通りJKT48が国民的アイドルグループとして大成功している。

ところがYeah1はこの3か国にM&Aを通じて、今回のAKS、ジオブレインとのパートナーシップによるAKB48のビジネスモデルを複製した女性グループを展開すると言っている。

これって、JKT48、BNK48、MNL48のライバルグループを作りますという宣言にしか聞こえないのは筆者だけだろうか。

この記事の続きではYeah1の順調な資金調達状況について書かれている。Yeah1はエンタメ企業として初めてホーチミン市証券取引所に上場する予定とのこと。日本のキャピタルアセットマネジメント社も含め、20の投資家からすでに1億ドル以上の資金を調達している。

同社はインターネット・コンテンツサービスに注力する計画で、同事業は今年の売上高の75%に達する見込みとのこと。競合のYanTVミュージック・チャンネル社が今年2018年4月に倒産し、Yeah1がベトナムで唯一、若者向けエンタメを提供する企業となったらしい。

Yeah1の女性グループ、つまりSGO48はコンテンツの収益化ではユニバーサルミュージックと提携、楽曲をSpotify、Apple Music、YouTube、Vevoなどで配信するとのこと。

AKB48の海外事業について筆者がいちいち心配する必要はないのだが、Yeah1社と同じベンチャー企業との提携で結成されたSNH48の前轍を踏まないことを願いたい。SNH48運営会社のような新興国のベンチャー企業は、日本企業よりはるかに動きが速いからだ。