上海SNH48三期生ナナコの演説と「池に落ちた犬を叩く」熾烈な総選挙

上海SNH48グループ第五回総選挙の最終結果発表2018/07/28まで、各姉妹グループ含めて劇場公演で各メンバーの演説会が行われている。

2018/06/28上海SNH48劇場公演で三期生ナナコ(張昕)の演説会の内容が印象的だったので、上田康太さんの日本語訳をご紹介。

上田康太さんは現在は姉妹グループ瀋陽SHY48を応援していらっしゃるようで、YouTubeにご自身で中国語動画に日本語字幕を付けたチャンネルをお持ちなので、ぜひフォローを!

上田康太さんのYouTubeチャンネル

以下、ナナコ(張昕)の演説。

張昕:私の目標はみんな知ってると思います。圏内に入ることです。4年間言い続けてきました。去年は67位という好成績を与えてくれてありがとうございました。某掲示板では圏外トップというあだ名を付けてもらいました。トップになれたことを嬉しく思います。私がSNHに来た時はみんなが言う「選ばれた人」としてチームを引っ張っていくような存在でしたが、今でもまだこんな状態です。

あとちょっとだったから来年は大丈夫って言ってくれる人もいます。それから圏内には入れなかったとしても変わらず運営推しだと嘲笑う人もいます。毎年新しい人が来るけど、会社に推してもらいたいとは思いますよね。そういう意味では、組閣の後Hllを強いチームにしてもらったことに感謝しています。もう以前のような不人気チームではありません。

私ももう順位もなく、ファンに認められてもいないのにむなしくセンターに立つこともなくなりました。以前は舞台の端っこの人に見られないところに立ちたいと思うこともありました。新公演の練習の頃には毎日練習室にいて自暴自棄になることもありました。家族に、友達に、それから某掲示板のみなさんに感謝しています。「圏外トップ」というあだ名を付けてくれてありがとうございました。

ここに来て初めて自分の存在を確認することが出来た気がしました。そして67位だって残念な順位じゃないと思うことが出来ました。最近変わったって言われます。この前大学の卒業証書も受け取って本当の大人になりました。以前はバカで何も考えていませんでしたが、今では自分が将来何をしたいのかと言うことを考えるようになりました。それからこの場所にいることの意味も。圏内には入れない。人気がない。頑張っても効果がない。

この場所で頑張り続けていく必要があるのかな?これは私が悩んでいたことで、たくさんのメンバーも同じように考えていると思います。ファンの人もそういう風に聞いてくることがあります。私張昕はこの場所で大きな声で宣言します。張昕は諦めません。死ぬまで諦めません。総選挙から逃げたりません。去年私はたくさんの時間を割いて、ダンスのレッスンに通いました。お金も使いました。

人気がないと言うことは、努力が役に立たないんじゃなくて、私にまだ不十分なところがあると言うことだと思います。自分の得意なことを続けていれば、いつかきっと輝ける日が来ると思います。私は舞台が、舞台の上の自分が好きなんです。私は諦めません。だからみんなにも見捨てないでほしいです。圏内に入ることは、ただの願望ではなくて、私が立ち向かわなければならない現実だと思います。ここに立つ上での望みです。

上海SNH48三期生ナナコ(張昕)の最大の特徴は、チームHII三期生でデビューした当時、前田敦子に似ているということで上田康太さんの日本語訳で「選ばれた人(天選之人)」だったこと。つまり運営会社が強力に推しているメンバーの一人だった点だ。

ただ、今年の「大組閣」でチーム間で大幅なメンバー入れ替えが行われる前の旧チームHIIが参加した第三回、第四回総選挙で、彼女はいずれも最終結果では圏外のままだ。(去年の第四回では速報第19位、中間第52位)

今年の第五回総選挙の各メンバー応援会の投票資金収集状況でも、今日2018/06/30時点で第98位、28,934人民元、票数換算でたったの877票、投票済みが231票と、圏内66名に入るのは非常に厳しい状況となっている。

ナナコの演説会の後、さっそく中国5ちゃんねるに彼女の去年と今年の投票資金集め状況をグラフで比較するスレッドが立って、全然ダメな状況を嘲笑されている。

上海SNH48と姉妹グループ全般に言えることだが、そうとう神経が図太く、メンバー側は戦略的に動かないと総選挙で上位を狙うのは難しい。

中国5ちゃんねるの掲示板では人気のないメンバーは同情されるどころか、逆に人気のないことを嘲笑される。池に落ちた犬はたたくものだ。応援会の組織力、資金力がすべてで、日本人的な同情心は通用しない。

例えばファンと私的に連絡を取るなどスキャンダルがあっても、それを乗り越えられれば人気メンバーになれる。逆境とそれを乗り越える図太さのギャップが大きければ大きいほど、現地ファンの注目を集めて総選挙で上位に食い込める。

いまは卒業してソロ活動しているキクちゃん(鞠婧禕)も、彼女の単独のドキュメンタリーで話していたように「四千年に一人の美少女」ネタで日本でも注目を集めた時、本人はそのレッテルと現実のギャップに苦しみ、今でも悔しさで涙を流すほどだ。

しかし、である。

そういうスキャンダルこそが良くも悪くも現地ファンの注目を集めて、人気メンバーにのし上がる絶好のチャンスになる。

筆者が思うに、ナナコがとてももったいないことをしたのは、デビュー当時の「前田敦子に似ている」という絶好のスキャンダルを利用しなかった点だ。

彼女のデビュー当時、SNH48はまだAKB48の正式な姉妹グループだったし、運営会社も確信犯で彼女を三期生に合格させたはずで、このネタは利用しようと思えばいくらでも利用できたはず。

そうしなかったのは多分、彼女の性格が良すぎたから、正直すぎたからだと思う。日本のAKB48の状況は筆者は分からないが、上海SNH48グループでただ人柄の良いメンバーは、よほど突出した実力がない限り人気は出ない。

そして上の演説の内容を見てもわかるように、ナナコは今でも真面目で正直な性格のメンバーだ。その結果は第五回総選挙の現時点の集金状況に現れている。

今年の第五回総選挙は北京BEJ48、広州GNZ48の追い上げも激しく、瀋陽SHY48トップメンバーに集中するSHY48の富豪ファンの票数も伸びるだろう。重慶CKG48のトップメンバーの集金状況も、SNH48のナナコの水準のメンバーを軽く超えている。

残酷だけれど、上海SNH48グループ全体の事業展開のスピード感は、姉妹グループ含むメンバーの人気の入れ替わりのスピード感にも反映され、一度バスに乗り遅れると再び乗ることは難しい。

あとは運営会社の判断で彼女にチャンスが与えられるかどうか、そこに望みをかけるしかない。