AKB48 Team SH「愛国化」不可避、一部AKB48ファンが過激化、SNH48を「精神的日本人」と罵倒

日本のAKB48運営会社がAKB48 Team SHとして中国再上陸し、2018/07/24に一期生をお披露目したことはご承知のとおり

しかしかなり危険なニオイがしつつある。以前からSNH48の存在を嫌っていた現地AKB48ファンの一部が今回のAKB48 Team SH結成に勢いづいて愛国主義的な方向へ過激化しつつあるのだ。

大部分のファンどうしは友好的で問題ないが、AKB48 Team SHが劇場で定期公演を始めれば、これら一部の過激派との間で劇場付近で小競り合いが起こる可能性がある。

この種の小競り合いがたびたび起こると現地の公安に目をつけられるため、AKB48 Team SHの現地運営会社はビジネスの妨げにならないようにSNH48運営と友好な関係をもつ必要が出てくるだろう。

過激派にとってSNH48とAKB48(China)の対立がすでに「どちらがより愛国か」という政治色を持ち始めているためだ。

SNH48など中国のアイドルグループが「愛国ポーズ」をするのはビジネスのためであって、愛国のためにビジネスをしているわけではない。

この結果、日本のAKB48運営にとってSNH48は「敵」だが、AKB48(China)はSNH48を「敵」にできなくなる。AKB48運営、AKB48(China)、SNH48運営は奇妙な三角関係になり、現地のAKB48(China)とSNH48の方が接近せざるをえなくなる可能性は十分ある。

一部の過激化した現地AKB48ファンの行動の一例はこれだ。

これは中国のニコニコ動画クローン動画サイト「ビリビリ動画」のとある動画。アップしたのは「鞠婧祎应援会」、あのSNH48卒業生で「四千年に一人の美少女」キクちゃん(鞠婧禕)応援会とあるが、動画の内容はSNH48グループを口汚く罵倒するものだ。

もちろん本物のキクちゃん応援会がこんな動画を作るはずがなく、このアカウントは過激化した現地AKB48ファンが作成した偽アカウントだ。動画のタイトルにはSNH48は中国女性グループの恥だ、とある。

非常にまずいのは動画の中のキーワードとして「精日(=精神的日本人)」が大々的に使われている点だ。

このキーワードはこちらの日経ビジネスの福島香織女史のコラム『王毅外相が「精日は中国人のクズ」と激怒した訳』(2018/03/14)にあるように、現地ではかなり敏感なキーワードである。

いままで「精日」は一部のSNH48ファンが現地AKB48ファンを罵るために使っていたが、今度は一部の過激化した現地AKB48ファンがSNH48ファンを罵るために使い始めた。

このとばっちりは日本のAKB48運営会社にくるおそれがある。

一部の過激化したAKB48ファンが自分たちこそ「愛国」であり、SNH48の方が「精神的日本人」だと主張し始めた結果、日本のAKB48運営会社はSNH48よりもさらに強い「愛国ポーズ」を取って「共産党バンザイ!」を叫ぶ必要に迫られる。

この種の問題では一歩間違うとSNH48、AKB48 Team SHもろとも中国芸能界から葬り去られる危険性もある。

AKB48 Team SH一期生がお披露目されてたった一週間だが、現地の状況は一気に不安定になってしまった。