2018/10/27(土)中国・杭州で開催された「アジア・アイドル・フェスティバル」に、峯岸みなみさんを始めとするAKB48メンバーが大トリで出演。
AKB48中国再上陸の姉妹グループAKB48 Team SHがお披露目され、初のステージでいきなり本部のメンバーと同じ舞台に立った。
ただ、最後の最後に意外な展開になった。
↓AKB48、AKB48 Team SH登場部分の全編はこちら
AKB48は『Overture』に続いて『言い訳Maybe』『大声ダイヤモンド』『ポニーテールとシュシュ』の3曲を歌い、現地の通訳つきで自己紹介とかんたんなMCをした。
続いて「中国のファンの皆さんに紹介したい素敵なゲスト」と、峯岸みなみさんがAKB48 Team SHを紹介。
上海AKB48 Team SHが登場し、劉念(リョウ・ニェン)をセンターに『ヘビーローテーション』を歌ったあとメンバー全員が一人ずつ自己紹介した。
なお、AKB48 Team SHメンバーのうち、毛唯嘉(マオ・ウェイチャー)、劉念(リョウ・ニェン)の2人は他のメンバーより先にAKB48 CHINAに予備生(研究生)として所属、残念ながら途中で敗退したが中国版『Produce101』にも参加していた。
Team SHメンバーの自己紹介のあと劉念がAKB48メンバーを再びステージに呼び、驚いたことにTeam SHメンバーの一人、袁瑞希(ユェン・ルェイシー)が流暢な日本語で通訳を担当してMCコーナーとなった。
MCの最後、AKB48メンバー、Team SHメンバーがハグしあって終わりかと思ったら、最後に毛唯嘉がいきなり形式ばったコメントをしゃべり始めた。
「今年は日中平和友好条約締結四十周年、つい先日、日本の国家のリーダーが中国を訪問したこともあり、これから日中のより良い交流ができるよう願っています」
この後Team SHは退場して、最後の一曲はAKB48メンバーだけで『恋するフォーチュンクッキー』を歌った。日本では「おにぎり」だがこの日は杭州市ということで地元特産の「龍井茶(ロンジンチャ)」。
結局AKB48メンバーとTeam SHがいっしょにパフォーマンスすることはなかった。2018/08/27、台北AKB48 Team TP一期生のお披露目でAKB48といっしょに踊ったのとは対照的で、すでに差がついている。
今回AKB48 CHINAはリスキーな賭けに出たと思う。
AKB48運営はこのブログでもご紹介したように、3日前の2018/10/24、上海で前民主党最高顧問・江田五月氏とAKB48 CHINA、AKB48 Team SHの懇談会をもった。
この懇親会ですでにAKB48 Team SHを日中親善大使的な位置づけでスタートさせるAKB48運営の意図ははっきりしていた。
しかし皆さんもお分かりのように今の日中関係の改善は米国の対中政策の「棚ぼた」だ。
安倍首相は中国に懐柔されるつもりはなく、あくまで経済的な友好関係にとどめ、自由や人権といった普遍的価値観で譲歩することはない。
いまの日中の友好関係はすでにピークにあり、これから外交問題がひとつでも起これば一気に悪化するおそれは十分にある。
それでも日本のAKB48ファンで「中国大好き」と言える人がどれだけいるか。
しかも台湾ではAKB48 Team TPが活動を始めている。
ふつうの日本人は台湾が独立国なのは当たり前だと思っているが、中国のAKB48ファンは台湾が中国の一部なのが当然だと思っている。
日本側は日中友好をバネに上海AKB48 Team SHをスタートさせ、台湾では「台湾は国家」というふつうの日本人感覚でTeam TPをスタートさせた。
日中関係が悪化すれば上海Team SHの方を姉妹グループからいったん遮断せざるを得なくなる。
AKB48 Team SHがAKB48と交流することは難しくなり、ましてTeam SHとTPが総選挙などAKB48本部のイベントで共演することはありえない。
Team TPメンバーが台湾は国家だと少しでも誤解される失言をすれば、中国のネット民(いわゆるの「自媒体」)に吊るし上げられる。Team SHやSNH48も巻きぞえをくらうかもしれない。
日中関係は今をピークに徐々に悪化するはずで、日本人の中国に対する好感度はそう簡単に改善しない。
上海AKB48 Team SHがお披露目初日から日中友好に頼ったことは、危険すぎる賭けだったかもしれない。