広州GNZ48が厦門の「全球華語金曲獎」授賞式に出席、最優秀グループ賞受賞

広州GNZ48が2018/11/14アモイで開催された「全球華語金曲獎」というハッキリ言って正体不明の音楽賞の授賞式に参加した。

すでに受賞者名簿は2018/11/02に発表されていて、広州GNZ48は「最優秀グループ賞」を受賞した。

同じ賞を受賞したのが上海彩虹室内合唱団というコーラスグループ(?)や、先日上海の劇場を取り壊して規模縮小した蜜蜂少女隊なので、そういうレベルの賞ということだ。

中国版『Produce101』からデビューしたロケットガールズは、さすが今年いちばん話題の女性アイドルグループということで、単独で「全世界で最も注目を集めたグループ賞」を受賞している。もちろん中華圏以外でロケットガールズを知っているのは宇宙少女ファンくらいなのだが。

広州GNZ48にとっては正体不明の賞であっても、上海SNH48本部から独立して存在感を示せる場として一定の意味はあったはず。

↓左からGGB(朱怡欣)、あーみゃお(杜秋霖)、チェンチェン(劉倩倩)、Kimmy(鄭丹妮)、ナオナオ(盧靜)、soso(張瓊予)、サークル(楊媛媛)、Ailsa(梁婉琳)

↓ヒット曲『那些年』のある胡夏も参加していたようだ。

ところでこの授賞式でVavaという中国大陸の女性ラッパーが、受賞スピーチで突然受賞を拒否すると言い出し、舞台にトロフィーを置いて立ち去った騒ぎがあったらしい。この授賞式を中国ツイッター(新浪微博)で調べているときにホットワードになっていたので気づいた。

彼女のアカウントは炎上し、本人が受賞拒否の理由を長文ツイートで釈明していたが、その理由がホテルのアレンジや会場の座席指定などでスタッフの対応が悪かったという実に下らない理由だった。

中国大陸のラッパーなんてそもそも体制批判ができないので、受賞を拒否する理由もこの程度だろう。中国国内のラップ受容と、中国国外の米国黒人音楽の受容の落差は大きい。

最近、元EXOメンバーのクリス・ウー(吳亦凡)のファンが彼のソロ1stアルバム『Antares』をiTunesで大量購入して、米iTunes売上上位8曲のうち7曲が彼の楽曲になったことが話題になっていた。たまたまアリアナ・グランデの新曲リリースと重なったこともある。

‘Kris Wu’s iTunes-Topping Sales Are Under Review’ (2018/11/08 Billboard公式サイト)

‘Kris Wu’s ‘Antares’ Album Debuts on Billboard 200 Chart After Sales Audit’ (2018/11/13 Billboard公式サイト)

所属レーベルのユニバーサルは不正を否定、彼の公式発表もプログラムによる不正ではなくファンが正規で購入したものだと主張した。不正がなかったとしても米ビルボードはいわゆる「中華砲」を被弾したことになる。

その後、ニールセンとビルボードが数値を精査し、結局クリス・ウーのアルバムはアルバムランキングでは第100位まで落ちた。

これは中国国内のネット民からも海外で中国人に恥をかかせるなと批判され、ファンは彼を擁護するというお決まりの展開になった。上述のVavaも同じだ。Vavaは中国国内だけなのでまだ良いとして、クリス・ウーは結果的に作品と関係ないところで海外での評価を落とした。

中国国内でタレントやアーティストのファンが大量投票で各種ランキングの順位を押し上げるのは普通で、「刷榜(シュワーバン)」と呼ばれる。上海SNH48グループのトップメンバーのファンもよくやることで、中国ネット民の評判は悪いが、いつものことで大きな問題にはならない。

しかし海外で同じことをやるとアーティストの評価を下げることを、クリス・ウーのファンは理解していなかったらしい。米国側は今回の件をあまり非難しすぎると、黄色人種に対する差別だと逆に批判されることを恐れて慎重に扱っているようだ。

中国大陸アーティストの作品のクオリティが高まっても、ファンの行動が足を引っ張るのは非常にもったいない気がした。

広州GNZ48の受賞とぜんぜん関係ない話になったけれど。