上海SNH48「大組閣」で結成の降格生チーム「IDOLS Ft」、月末までに補足契約にサインを迫られる

2019/01/19(土)上海SNH48第五回リクエストアワーで、姉妹グループ瀋陽SHY48、重慶CKG48が解散、上海SNH48九期生の予備生がメインのSNH48 Team Ftも同時に解散された。

一部メンバーは上海SNH48、北京BEJ48、広州GNZ48に移籍し、正規メンバーに昇格したが、過半数は「IDOLS Ft」という新チームに降格された。

「IDOLS Ft」のメンバーは劇場公演や営業のお仕事がすべてなくなり、SNH48公式アプリ「Pocket48」の生放送だけが収入源、かつファンとの接点になった。

そして数日前からSNH48運営会社は「IDOLS Ft」メンバーに対し、今月2019/02末までに補足契約に署名するか「暫休」扱いになるか、どちらかを選ぶように要求しはじめたらしい。

下図が「IDOLS Ft」のとあるメンバーが公開した、運営会社からの通知

IDOLS FTについて補足契約への署名が必要です。その他にあなたが年明け前に話していた、どうやったら正規チームやグループにもどれるのかについては、IDOLS FTメンバーというシステムを通じて自分を表現し、チームに戻ることを勝ち取れるか次第です。

「暫休」扱いになると、生放送の活動も禁止、おそらく中国ツイッター(新浪微博)の公式アカウントも取り上げられ、すべてのタレント活動が停止される。

その結果、SNH48運営会社とのタレントマネジメント契約を解約できないままタレント活動が全くできず、他の芸能事務所とも契約できない状態になる。

補足契約の方は、タレントマネジメント契約より待遇面の条件が悪くなる内容になっていることは間違いない。

それでも「IDOLS FT」に残って正規メンバーへの復帰に望みをかけるか、違約金を払わないですむ代わりに芸能活動をあきらめて普通の人になるかのどちらかの選択だ。

合理的に考えれば後者を選ぶだろうから、運営会社はやはり「IDOLS Ft」を「新しい形のインターネット・プラットフォームを活用したアイドル育成システム」でも何でもなく、単に「首切り予備軍」として結成したことが分かる。

この件について現地ファンの法律の専門家が、今回運営が署名を求めている補足契約が法律違反の可能性があると書いている

このQ&Aを日本語試訳する。

Q1:SNH48運営がメンバーを「IDOLS Ft」に降格した行為は契約違反にあたるでしょうか。
A1:契約違反にあたります。

Q2:運営はすでに契約違反をしているのに、メンバーは解約できないのでしょうか。
A2:メンバーは契約を解約できます。法に基づいた訴訟によっても解約できます。

Q3:「IDOLS Ft」メンバーの問題は、以前のメンバーの問題と同じでしょうか?訴訟を起こしても勝てるでしょうか?
A3:大きな違いがあります。以前はメンバーが先に契約違反をしました。今回はSNH48運営が先に契約違反をしています。以前より勝訴の確率は相当高いです。

Q4:契約を解除するのは、違約金を支払うのと同じことでしょうか?
A4:大きな違いがあります。(今回は運営側からの)契約解除と理解してよいので、メンバーは金銭の支払いをしなくてもよいばかりか、運営会社があなたの損失を賠償することになります。

Q5:運営会社がメンバーと(新たな補足の)契約をしない場合はどうすればいいですか?
A5:単純に契約したければ確認の訴訟を起こせばいいです。解約したければ直接契約変更の訴訟を起こせばいいです。

Q6:「IDOLS Ft」メンバーと運営会社の契約を解約が、50万人民元の違約金になるのは合理的でしょうか?最低の金額はいくらでしょうか?
A6:明らかに不合理です。以前にも言いましたが、訴訟を起こせば大幅に減らせます。運営会社に支払いをさせることさえできます。

Q7:「IDOLS Ft」が契約変更とは、いったいどういうことでしょうか?
A7:決して変更契約しないでください。もともと運営会社がメンバーを「IDOLS Ft」に降格したこと自体、合法ではありませんが、変更契約に署名すると合法になってしまいます。

個人的にはとてもクリアな解釈だと思う。

ただ民事訴訟には費用が必要で、勝訴すれば訴訟費用は被告(SNH48運営会社)から取り戻せるものの、実際に訴えを起こすメンバーはいないだろう。

そういうメンバーは補足契約にサインしなければいい、というシンプルなアドバイスだ。

「IDOLS Ft」の結成と今回の解約勧奨は、SNH48運営会社として株主向けの経営判断としては合理的だが、そもそもアイドルグループは合理性を超えた「夢」を商品にしている。

今回のことが中国ツイッターで芸能関連のインフルエンサーに取り上げられれば、SNH48の新規メンバー募集は打撃をうけるだろう。

注意したいのは、AKB48中国再上陸のAKB48 Team SHも状況は同じということ。

最後の最後でメンバーの「夢」より、会社存続のための策を取らざるを得ない点で何ら変わりはない。そうしないと中国の他の女性アイドルグループのように、運営会社が倒産したり、グループ全体が活動停止や解散ということになる。

何とか事業の大部分を存続させようと努力しているだけ、SNH48運営会社はよくやっていると言えるかもしれない。