広州GNZ48結成三周年投票イベントで起こったハッキング(?)事件

広州GNZ48が2019/05/01~05/04の4日間開催したアイドルフェスティバル(偶像節)で不正投票ギリギリのことがあったらしい。

最終日2019/05/04に広州GNZ48毎年恒例の、ファン投票でゴールドマイク賞、シルバーマイク賞、ブロンズマイク賞の3人のメンバーを決めるイベントがあった。

現場で発表されたのは、第1位ゴールドマイク賞がリカちゃん(唐莉佳)、第2位シルバーマイク賞がツオツオ(左婧媛)、第3位ブロンズマイク賞がミッフィー(劉力菲)。

ところが発表直後、GNZ48運営会社が第1位、第2位を取り消し、くり上げで第1位ミッフィー、第2位CK(陳珂)、第3位ナオナオ(盧靜)に訂正した。

理由は「システムを破壊してルールに反する操作をし、今回のイベントの公平性を破壊したため」とある。

面白いのはこの順位修正が発表されたあと、「システムを破壊」したツオツオとリカちゃんのファン自ら、自分のお金で投票したのに取り消すとは何事かとツイートで抗議したことだ。

ツイートの添付画像にあるのは、投票に使った3,000近いの公式アプリ「Pocket48」アカウントと、それぞれのアカウントで投票に使った金額だ。

当然3,000ものアカウントを登録して投票するのは手作業では無理で、プログラム(スクリプト)を使って自動化する必要がある。

「Pocket48」のURLや通信を解析し(ChromeのDeveloper Toolsとか)、投票システムに使われているWebサーバにスクリプトで直接投票の命令を出したと思われる(たぶんREST API)。

筆者もメンバー情報を取得するために、SNH48公式サイトのソースコードにあるJavaScriptでAPIのURLを調べ、リクエストを投げるスクリプトをPHPで書いたことがある。簡単なことだ。

たぶん今回の投票システムは、生放送のモジュールから投票システムを切り離すために、画面をタップする動作でWebサーバのAPIを呼び出して投票にカウントするシステムになっていたのだろう。

ただ上記のファンは運営会社が投票を取り消したことに抗議するため、自分がスクリプトで投票した事実を自分でネタバレしてしまっている。まさに自爆。そこがこの事件の最大のツッコミどころだ。

ここで微妙なのは大量の捨てアカウントを登録して投票することは、他のメンバーのファンや応援会もやっているという点。

大量の捨てアカウントを手動で登録するのは不可能なので、アカウント登録代行業者を使っている応援会もあるらしい。その後の投票を手動でやるか、自動でやるかの違いになる。

すると、そもそも代行業者に依頼して数千単位のアカウントを作ること自体が問題なのでは、という気がしてくる。

SNH48グループは総選挙などの投票イベントをIT化し、効率化している点は、はっきり言って日本の48系グループより進んでいる。しかしIT化すると必ず上記のような副作用が出てくる。

不正リスクを避けるためにアナログな紙の投票券を使い続けるのか、ITで効率化した上で同じITを使って不正リスクに対処していくか。

日本と中国のタレントマネジメント会社のITに対する基本的な考え方の違いが表れているようで面白い。日本のAKB48総選挙はなくなってしまったけれど…。

ところで、広州GNZ48の内輪の投票イベントでさえこれだけお金と「知恵」を使うファンや応援会がいるなら、SNH48グループが倒産することはしばらくなさそうな気がする。