上海SNH48運営会社CEO:第六回総選挙後の経営戦略を語る

久しぶりに上海SNH48運営会社のCEO陶鶯のインタビュー記事があったので、日本語試訳する。

第六回総決選後、一期生メンバーが8年の契約満期を迎える問題、オーディション番組『青春有你』への参加を決めたことなどについて。

運営会社の経営層が経営戦略を外向けに語るというのは、投資家の信頼をつなぎとめる意味でも、ファンに対して運営が何を考えているか知ってもらうためにも良いことだ。

たとえツッコミどころ満載で、また大ぼらを吹いて、という感想しかなくても、何も語らず、何を考えているのか分からない運営よりはずっとましだ。

台北のAKB48 Team TPは運営会社の総経理で音楽プロデューサーの陳子鴻が、記者発表のたびに自分の考えを話している。

しかし上海のAKB48 Team SHの経営層は誰も表に出て来ず、何も語らず、これからどこへ向かうのか全く分からない。

元記事はこちら。『ファンの総決選投票で、SNH48の6年間の売上は4億!しかし今タレント契約満期の危機に』(毎日経済新聞 2019/08/01 14:30:34)

先週土曜日(2019/07/27)、アイドルの頂点をかけた華やかな対決が始まった。

SNH48グループ第六回総決選で、数百名の女性が実力バトルをくり広げ、一万に上るファンが会場でコールする中、李藝彤が二年連続第1位の獲得に成功、”4000年の美少女”鞠婧禕の後、上海絲芭文化伝媒有限公司(以下”丝芭伝媒”と略)に続き、また一人スター殿堂クラスのアイドルとなり、今後自身の個人事務所を開く。

しかし、一片の輝く星と、ファンの熱狂の背後で、SNH48総決選の投票ルールは変更され、”票を10倍に水増しした”、”黃婷婷などのタレントは参加に消極的だった”、”トップタレントが8年の契約満期をむかえる”など、外部でさまざまな憶測を呼んだ。

“アイドルスター製造工場”の誉高い絲芭伝媒は”晩年”に入ったのだろうか?中国の”アイドルの始祖”として、2019年の中国アイドルレースをどう見るのか?同社の次の発展の重点は何なのか?『毎日経済新聞』の記者が絲芭伝媒CEO陶鶯にインタビューした。

“総決選票数だけで絲芭伝媒の生死を決めるのは、視野がやや狭すぎる”

SNH48成立後七年が経ち、運営方の絲芭伝媒の実力は強大で、現時点でシリーズCの数億人民元単位の投資を得ており、エンタメ業界の投資の巨頭の一つ、華人文化も株主になっている。

人気バラエティー『Produce101』から”ロケットガールズ101(火箭少女101)”が誕生する以前から、絲芭伝媒は工業化されたアイドル育成システムをすでに模索しており、十数組の女性ユニットを生み出した他、北京、広州に姉妹グループBEJ48、GNZ48を設立、さらに”四千年に一人の美少女”鞠婧禕を人気タレントに押し上げた。

年に一度のSNH48グループ総決選は、ファンのためにアイドルの華やかなコンサートを提供すると同時に、絲芭伝媒が大きな売上高を稼ぐイベントでもある。

毎日経済新聞の記者の統計で分かったのは、2014年から2018年まで絲芭伝媒の”総決選”投票の収入は各年それぞれ:417.8万元、2438.1万元、6155.45万元、9695.35万元、1.04億元だ。”当年度の総決選投票EPの売上げ規模全体は依然として億を突破しています”、陶鶯は記者にそう語った。

このことが意味するのは、6年間で、ファンの”総決選”の投票専用CDによる投票だけで、SNH48グループは絲芭伝媒に累計4億円の収入をあげたということだ。

しかし、今年SNH48総決選の投票制度に変化が起こった。以前は一枚一回の投票の権利だったものが、一枚十回の権利になった。したがって以前は投票券一枚の価格は35元だったが、現在は10枚で35元となった。10倍の水増しとなり、多くの反響を呼んだ。

“10倍の水増し”分を除外すると、昨年比で、2019年SNH48グループ総決選の投票用EPの票数は、実際には228.67万枚となり、2018年の297.26万枚より少ない。

“今年の総決選は中堅パワーを掘り起こす時代となり、昨年のトップ数名のメンバーの票数を除いたものと比べると、その他メンバーの順位は昨年より明らかに上昇しています。ルール上、二年連覇(第一位)は即、ソロデビューできるため、ファンも冷静になっていました。莫寒のファンは目標を’第二位’と定め、投票の過程で’勝てないケンカはしない’としたため、安定して勝利することに重点を置いていました。”

陶鶯はさらに解釈を加え、去年と比べて、今年の圏内の人数は18人少なく、48人のみで、それも投票数がいくらか減少する原因となったとした。”もし皆さんが総決選の票数だけで絲芭伝媒の生死を判断するなら、ご覧になっている範囲がやや小さすぎると言えるかもしれません。”

SNH48が7年目に入るのにしたがって、外部では絲芭伝媒が”トップタレント8年契約満期”の危機に入ると認識し始めた。これに対して、陶鶯はまったく心配していないようだ。”みなさん心配しすぎです、多くの一期生メンバーはすでに契約継続しています。二期生契約期限は決して外部のみなさんが言うように’すぐに期限が来る’というものではありません。”

“SNH48メンバーのイメージをバーチャルアイドルに使うかもしれません”

2018年の”アイドル元年”の始まりに続いて、『以団之名』『青春有你』『創造営2019』など続々と2019年のアイドル争奪戦が始まった。しかし残念なことに、今年のアイドルレースはやや冷めている。また『偶像練習生』や『Produce101』のような爆発的人気番組がまだ現れていない。

“同じ種類の番組にはライフサイクルがあり、今年この市場が冷静になったことは私たちの予想どおりです。”、陶鶯は過去2年間、SNH48グループがこの種の番組に一度も参加しなかったことを正直に語った。

“女性アイドルグループの分野で、私たちは商業収入とブランド構築で比較的大きな成功を収めました。そのため急いでこれら成熟したモデルを破壊する必要はありませんでした。”

“また、クローズドループ効果により、自信のシステムの均衡を保つため、またファンのエクスペリエンスを考慮して、私たちは改革の歩みを速めるのを控えていました。しかし決して観察や準備をしていなかったわけではありません”

そこで、今年の総決選の夜、絲芭伝媒はSNH48グループがクローズドループを開いて、『青春有你』など一連のオーディションバラエティー番組に参加すると宣言し、直後にウェイボーで熱い議論を呼び、ホット検索ワードにも入った。

“今はいいタイミングです。現時点でオーディション番組は数が多すぎるため’使える人材がいない’という困難な状況にあり、私たちが参加することで、番組プラットフォームと相乗効果を生み出せます。もちろん番組にとってもメンバーにとっても、新たな成長点となることができます。”

陶鶯は少し考えたあと、毎日経済新聞の記者に語った。一期生メンバーの契約継続によって、絲芭伝媒も彼女たちがソロで活躍するためにさらに詳細なプランを作っている。”『青春有你2』はちょうど一部のメンバーの将来の方向を引き継ぐことができます。他にも、一部の一期生以外の優秀なメンバーも番組に参加し、より良い経験が得られます。”

動画サイトとのコラボ以外に、”アイドルの始祖”である絲芭伝媒はいま熱い”二次元”市場にも照準を定めている。

“SNH48の知財をアニメに改変することが、いま私たちが試している一種の発展モデルです。すでにテンセント動画等と共同で中国産アイドルアニメ『無限少女48』を出品し、今年末に公開予定です。”陶鶯はそう明かした。

その他に、洛天依、葉修など、バーチャルアイドルの勃興と、スターの話題がネットの注目の奪い合いをしていることに話が及ぶと、陶鶯は笑いながら言った。”将来はSNH48メンバーのイメージをバーチャルアイドルに使う可能性がないとは言えませんよ。”