昨日2018/09/01(土)上海SNH48九期生中心のTeam Ftが広州GNZ48 Team Gの全曲オリジナル公演『双面偶像』お下がり公演初日を迎えたが、理性的な現地ファンの反響でも評価が低かった。
九期生メンバーのセンターのシャオフアン(王溪源)やまおたん(朱小丹)は公演後の公式アプリ「Pocket48」の生放送で泣いていたほどなので、「酷評」だったと言うべきかもしれない。
衣装、振付け(オリジナルの広州GNZ48 Team Gから一部が大幅に簡略化されている)、照明、全体の構成すべてについて批判的な意見があった。
メンバーではなく公演制作スタッフに問題がありすぎる、ということだ。
振付けについては王溪源が生放送で話していたが、広州GNZ48のオリジナルのダンスコーチが教えてくれるわけでもなく、レッスン用のビデオがあるわけでもなかったとのこと。
広州GNZ48公演の生中継映像で自分たちで覚える必要があったらしい。上海SNH48運営会社のヒドい手抜きと言える。
また衣装は直前のリハーサルで陶鶯CEO(女性)からダメ出しがあり、前日、衣装部が徹夜で作り直したが、それでもこの酷評だ。
どの曲を作り直したのかはっきりしないが、作り直しても衣装は全体的に不評だったので、舞台監督に問題があると言わざるを得ない。
筆者が個人的に思ったのは、いちいち小道具が多すぎること。
これは広州GNZ48全曲オリジナル公演の舞台演出で小道具が上手く使われていることを意識しすぎて、最近の上海SNH48公演が空回りしている部分だ。
それでもSNH48 Team X『命運的X号』や新Team HII『HEADING NEWS』のような、あえて二次元的なテーマの公演なら、小道具を多用するとぴったりはまる。
しかし『双面偶像』のような芸術性を指向した公演だと、単にうるさいだけになる。
いちばん酷評だったのは16人全員曲の『双面偶像』の衣装と仮面の演出。
この公演のタイトル曲で『Gravity』とともにこの公演で最も評価が高い曲のため、期待が高すぎたと思われる。
『双面偶像』という曲のテーマはアイドルの二面性で歌詞では「天使と悪魔」の比喩が使われている。
オリジナルの公演衣装はアイドルの表向きの顔が白い衣装、裏側の顔が黒い衣装で表現されている。
それが今回の上海SNH48 Team Ft版では赤と黒の衣装と仮面が使われている。比較映像をご覧頂ければ分かる。
現地ファンが比較映像を作っていたが、広州GNZ48 Team Gが初日ではなく不公平なので、筆者が初日どうしの比較映像を作った。
振り付けが大幅に簡略化されていることもよく分かる。
↓『双面偶像』初日比較映像
現地ファンが詳細な分析と批判をしていたが、二面性は一人の人間の中の両面だ。
なのに、上海の演出では後半、赤い上着に黒の衣装で仮面をつけて登場した8人が、上着と仮面をとって黒い衣装になる演出になっている。
これでは後半の8人だけで二面性が表現されてしまっており、一つの人格の二面性の表現になっていない。
曲が始まる前のハングドラムも完全に意味不明。
SNH48 Team Ft版には一曲目の『Hot 了 Day』にもドラムソロがあったり、『Gravity』改題の『FlighT』冒頭にもバイオリンがあったり、いちいち小道具が多すぎる。
現地ファンによると、もう一つ舞台演出の効果を低めているのは観客のスティックライト。
広州GNZ48の観客が『双面偶像』の間だけスティックライトを消すのに、上海SNH48の観客がつけたままだ。
照明も重要なこの曲で色とりどりのスティックライトはたしかに邪魔だろう。
たぶん広州GNZ48スタッフは事前に観客に消すように言っていたのだと思う(観客が自分で消していたとしたら観客のすごさに驚くがそんなことはないだろう)。上海SNH48スタッフはそこまで考えていない。
ところで、広州GNZ48 Team Gの上海五期生(旧Team XII)からの移籍組の2人、サマー(陽青穎)、ペイペイ(林嘉佩)が公式アプリ生放送で、録画を観つつコメントしていた。
その内容は以下のとおり。カッコ内は筆者の補足。
全般について
- いくつかの曲のスカートが短すぎて、ひらりと舞う効果が不十分。
- スカートが薄すぎる。シフォンスカートを使うべき。
- 仮面に絵はいらない。真っ白な仮面の方がいい。(仮面の絵柄は現地ファンにも「怖いよ」とかなり不評だった)
- 音響効果は良かった。コンサートみたい。マイクをONにした効果だろう。
- ダンスがすごく揃っているのに、バラバラに見えるのは、上海SNH48劇場の舞台が小さすぎるからだろう。そうするともっとダンスをそろえないと、バラバラに見えてしまう。
- 『双面偶像』の赤と黒は合わない。全員が悪魔みたいに見える。
- なぜ革靴なのか。この公演は制服衣装の革靴は合わない。
- カメラがよりすぎ。(『双面偶像』が典型的でメンバーのアップが多すぎてフォーメーション全体の美しさが見えない)
『9 to 9』
- 脚を蹴り出すときはもっと軽やかな感じで。
- 女性役のスカートはもっと体のラインが出る方がいい。
- 腕はもう少し低い位置のほうがきれいに見える。
『美杜莎的温柔(メドゥーサの優しさ)』
- 蛇の頭がついた浴槽のデザインはすごい。
- スモークの演出も素晴らしい。
- 振付けが変更されたせいで、ぎこちなくなっている。
- 衣装が保守的すぎる。もっと肌を出したほうがいい。肩をもう少し出したほうがいい。
- ダンスはセクシーで良い。
『I’m Not Your Girl』
- 一眼レフで写真を撮影する演出はやりすぎ(オリジナルの広州版は冒頭と間奏部分だけ手持ちカメラの主観映像が入るが、上海版では一眼レフでずっとメンバーや客席の写真をとりつづける演出のため、観客がカメラマン役のメンバーに気を取られてダンスに目が行かない、という現地ファンの意見あり)
- 角度を変えれば正面からの効果がより良くなる。
『I Wanna Be Your Girl』
- 3番ポジションのメンバーが良い。
- お尻をくねらせたり、跳び上がったりするのはちょっとヘン。
- 吹っ切れていない感じがする。
- もっと自由に、もっとハイに。
- 衣装の色が暗すぎるから、リラックスした感じにならない。
『MC Queen』
- 緊張しすぎで力が抜けていない。(この曲でソロの歌唱を担当した朱小丹が公式アプリ生放送で泣いていたのはプレッシャーがあまりに大きかったため。筆者個人的になぜスタッフがあえて彼女を選んだのか不明。前の『夢想的旗幟』公演を見れば楊令儀が妥当なのは当然。彼女の責任ではなくスタッフの責任)
『双面偶像』
- ソロの静止画がない。1ポジ、3ポジ、5ポジの静止画しかない(このコメントは意味がはっきりしない)
- この人、髪の毛が少ない(王溪源のこと(笑))
- 視線がはっきり撮れてて良い。
- 現実と虚構の対比はもっとパワフルに。
- 靴が合ってない。
- 仮面の絵柄はちょっと笑ってしまう。
- 振付けを間違ってる人がいた。
『合理失控』
- 衣装が保守的すぎる。
- 肩パットが厚すぎ。
- ポジションがぎゅうぎゅうすぎる。(上海の舞台が小さいので仕方ない)
- 照明が冷たすぎる。黄緑色の方が良い。
- お尻をくねらせるときは蹴りはいらない。蹴るとセクシーじゃなくなる。
- 跳び上がらずに、正しく踊っている人が一人いる。後ろから二番目でSNHの文字の下の人(李美琪のことらしい)
↓『合理失控』初日比較映像
『Gravity』改題『FlighT』
- いくつか振付けがカットされているせいで、勢いが足りない。
- 寝転がったときはマイクの処理をもう少し気をつけて。(床に当たって雑音が入るため)
- 振付けがちょっと小さくまとまりすぎている。
- 歌詞はすごく良い。(メンバーの李星羽が原曲の作詞家・甘世佳にアドバイスを受けつつ上海用に書き直したもの)
- 脚韻は広州の歌詞と違う。
- 歌詞を書いたのは李星羽と甘世佳なんだ。(サマーとペイペイはファンからのコメントを見て知ったらしい)
↓『Gravity』改題『FlighT』初日比較映像
以上、現地ファンの意見は他にも山ほどあるが、理性的なものはほぼすべて衣装や舞台演出スタッフに対する批判。
あえてメンバーに対する批判を取り上げると、上海SNH48 Team Ftの九期生をこころよく思っていないSNH48ファンはやっぱり一定数いるようだ。
今回のお下がり公演冒頭には、舞台演出としてあえてそういったSNH48九期生へのネットでのディスりを字幕にしているが、メンバーにとってはあまりシャレになっていない。
九期生メインのSNH48 Team Ftは2018/02/03のSNH48グループ第四回リクエストアワーで、Team XIIの解散とともに発表された。
それ以降ずっと、Team XIIメンバーのファンの九期生の「優遇」に対する「恨み」はなかなか消えない。
またSNH48六期生の大半は姉妹グループの北京BEJ48、広州GNZ48のチームE、チームNIIIとして単独のチームを作ってもらったが、SNH48七期生、SNH48八期生は単独のチームを結成してもらえず、当初、既存チームの補欠要員にされていた。
さらに、リクエストアワーのとき運営会社の判断で「予備生」に降格されたメンバーのファンの「恨み」はさらに強いようだ。
そういった事情から、今回のお下がり公演はオリジナルを上演した広州GNZ48の一部のファンからディスられているだけでなく、上海SNH48の(ごく)一部のファンからもディスられている。
いろんな意味で上海SNH48九期生は運営会社の方針の「犠牲」になっている。
今回のお下がり公演も明らかに衣装、振付け、舞台演出などスタッフの失態だが、批判の矢面に立つのは九期生メンバーだ。
何だかやりきれない気持ちになる。