SNH48中国語訳詞を2年間手がけてきた顧瑞(グー・ルェイ)さん卒業

SNH48研究生が今日、また一人卒業した。

しつこいと言われそうだが、ウソ。写真の彼女は顧瑞(グー・ルェイ)さん。

SNH48の一期生が選出される前、SNH48立ち上げ準備の時期から、AKB48楽曲の秋元康の詞を約2年間にわたって中国語訳してきた、スタッフの顧瑞(グー・ルェイ)さん、通称SAKIさんが、今日でSNH48のスタッフを卒業、新しい道に進むことになったらしい。

日本に移住してAKB48の研究生になるんでしょ、という冗談をかましている現地SNH48ファンもいるが、具体的にこれから何をされるのかは不明。

黒のロングヘアをばっさり短くして明るめの色に染めて、写真の右側に写っているのは現地SNH48ファンが卒業記念に贈った花輪。

こうして現地のSNH48ファンが、半分冗談で「運営一生黒(運営を一生ディスってやる)」と言いながらも、いい関係性なのは、AKB48系グループの「伝統」でもあるね。

SNH48二期生の『シアターの女神』公演曲の中国語訳と、2013/11/16広州一万人コンサートで初披露となる『風は吹いている』などの楽曲の中国語訳が、顧瑞(グー・ルェイ)さんのSNH48スタッフとしての最後の仕事になった。

じつは彼女の中国語訳詞は、最初からずっと現地ファンに評判が悪かった。

できるだけ日本語の歌詞の意味を変えずにという意向があるとかないとかで、中国語の韻文としての音の美しさや対句表現は、ほぼ無視されているからだ。

ただ個人的には、文語的でもなく、詩語でもなく、雅語もなく、平坦な彼女の訳詞が、中華圏ポップスに異質な個性を導入する「実験」になったのではないかと、評価したい。

さて、問題は彼女の後、いったい誰が秋元康の歌詞を中国語に翻訳するのかということだ。

僕が個人的に恐れているのは、現地AKB48ファンが、SNH48登場前からAKB48コピーのコスプレグループとして、勝手に中国語訳してきたような、美しくまとまり過ぎている中国語詞になりはしないか、ということ。

例えば顧瑞さんが訳した『大声ダイヤモンド』の中国語詞には、最後のリフレインで日本語の「スキ」という単語がそのまま残されているが、中国のAKB48コピーグループの歌詞は原則、日本語が残らないように翻訳している。

また、顧瑞さんの中国語訳詞は、脚韻の母音をわざと日本語の歌詞とシンクロさせるように訳している部分もある。

たとえば、カラオケでAKB48の『RIVER』のPVを見ながら、SNH48版の『RIVER(激流之戦)』を歌うと、2コーラスめのサビで渡辺麻友のアップ「時に溺れても」の「も」が、SNH48版の「就算有時困顿的淹沒」の「沒 mo4」とリップシンクするのが気持ちよかったりする。

もし顧瑞さんが、中国語としての美しさより、こういう細部にこだわって、一曲の歌詞全体として「違和感」を引き起こしていたとしたら、それはマイナスではなく、プラスだと思う。

もとの秋元康の歌詞自体、「違和感」が重要な要素になっているのだから、中国語訳詞も「違和感」のある仕上がりになっている必要がある。

新しい訳詞者の中国語訳が、中国2ちゃんねるのSNH48掲示板でどういう評価をされるか、楽しみだ。