SNH48元一期生「小青」の控訴棄却判決文が興味深かったので全文試訳

SNH48運営会社と元一期生「小青」の訴訟、「小青」が控訴したけれど、控訴が退けられて2015/01/20に結審していたようなので、上海市第二中級人民法院の公式サイトから、一審の判決内容以降の部分だけを日本語試訳してみる。

上海市第二中級人民法院公式サイトの民事裁判判決原文はこちら

例によって筆者は法律の専門家でも何でもないので、誤訳はご容赦を。また、判決文の原文には「小青」の本名が出ているけれど、ここでは仮名「小青」のままとする。


一審判決後、上訴人小青は不服とし、本院に次のように上訴した:双方は労働契約関係を締結したものであり、ゆえに本件は労働争議案件である。一審が普通民事案件として処理したのは妥当でない。また契約履行の状況を見ると、久尚(訳注:SNH48運営会社の名前)は契約どおりの高品質なレッスンを提供しておらず、星夢劇院のレッスンおよび公演に参加する手配もしておらず、公演の手配もしておらず、上訴人と関係メディアの提携も実現していなかった。

(訳注:「小青」が退団した当時は、たしかにまだ星夢劇院は開業しておらず、定期公演も行われていなかった)

久尚はその他4名のメンバーと台湾へ行く手配をしたことはあるが、そのための衣装費、メイク費用等を支出せず、PVの撮影もせず、商業保険も購入せず、かつ毎月支給されるべき生活費も支給しなかった。

上訴人は上訴人によって先行するとされる違約行為が退団に至った原因であるとし、退団時に上訴人に関わる責任者の同意を得ており、かつ本件は普通民事案件ではない。ゆえに本院に一審の取り消しと、再審を請求した。

(訳注:要するに契約違反をしたのは運営会社が先であるということ、本件は民事訴訟ではなく労働争議であることの2点を理由に、控訴して再審を求めたというわけ)

控訴された久尚の弁明は次のとおり:上訴人との契約締結に委託、マネジメント、仲介、労働等の各種関係を含めており、総合的な性質の契約となっており、純粋な労働関係ではない。故に上訴人が本件を労働争議案件に属するとしているのは、根拠がない。

また契約履行の状況について、上訴人のレッスンを手配し、ホテルの住居と飲食を提供、期日通りに生活費を支給しており、上訴員が私用による休暇の状況があったため、部分的に支給を差し引いたものである。

また上訴人のために毎年830人民元(訳注:約17,000円)の商業保険料を支出している。上訴人のレッスン期間、星夢劇院は改修中で、当然劇場におけるレッスンと公演を手配することは出来なかった。SNH48を結成し、知名度を高めるために、当然各種メディアと接触、提携が必要で、同期間の投資や支出は上訴人の理解しうるところではない。

上訴人もグループが台湾へ行き宣伝と交流に参加することを認めており、その期間に必要な交通費、宿泊費、プロモーション等の費用は全て会社が負担している。

上訴人は苦労に耐えられず、自らグループを去ったものであり、違約行為は重大である。一審法院は違約金額を調整したが、実際にはその損失を補償できるものではないが、その他の要素を考慮し、上司しなかった。被上訴人は上訴人による主張に根拠はなく、本院に上訴の棄却と、一審の維持を要求する。

本院の審理を経て、一審の調査事実を真実とし、本院は確認した。

本院は、久尚が国内大型アイドルグループSNH48のために「小青」をグループのメンバーとして受け入れ、「小青」の独占的マネジメントエージェントの資格を取得し、「小青」を有名タレントとするため、双方が『SNH48専属タレント契約』に署名した。

明らかに一般的な労働者が報酬を受け取り労働を提供する目的と符号せず、上訴人が本件の基礎となる法律関係を労働契約係争とする主張を、本院は採用し難い。上訴人は被上訴人の先行する違約によって退団したとし、被上訴人の同意を得て初めて退団したとするが、証拠によって証明しておらず、かつ上訴人はその権利を先行して主張したことがなく、被上訴人が権利主張を提出した後に、初めて上訴人は抗弁しているため、本院は採用し難い。

一審は違約金の金額を認定するため、上訴人の属する契約履行初期のレッスン期間を十分に考慮しており、被上訴人の資金、資源、ならびに同事業の投資の特殊性等も併せて考慮して相応の調整いるため、本院は妥当でないとは認めない。

以上を総合して、上訴人の上訴請求を、本院は支持し難く、一審の判決を不当とせず、本院は維持する。『中華人民共和国民事訴訟法』第170条第一条第(一)項の規定により、以下のように判決を下す:
上訴を棄却、一審を維持する。
本件二審案件受理費用4,300人民元(訳注:約82,000円)は、上訴人「小青」の負担とする。
本判決により最終審の判決とする。


というか、勝ち目のない控訴(上訴)を誰かにけしかけられて、「小青」が弁護士にムダ金を払わされたのでなければいいと思うけれど…。