アメリカ西海岸のバーチャルリアリティ専業ベンチャー企業ジョーント(Jaunt)が、中国で上海メディアグループ、華人文化産業投資基金と共同で、中国にバーチャルリアリティ企業を設立したらしい。
このニュースのどこがSNH48と関係があるのかというと、このバーチャルリアリティ企業の重要なコンテンツの一つがSNH48のパフォーマンス映像になるという点だ。
ジョーント社公式サイトのニュースページの記事はこちら。
Jaunt, SMG and CMC Officially Launch Jaunt China (2016/05/31 Jaunt official web site)
このニュースはちょっとマニアックな米IT業界ニュースサイト「TechCrunch」にも取り上げられている。
Jaunt launches a new virtual reality content company in China (2016/06/01 Tech Crunch)
ジョーント社の英語のニュースリリースをざっくり要約すると、ジョーント社が上海メディアグループ(SMG)、華人文化産業投資基金(CTC)という中国最大のメディア企業と共同で中国に新たな企業ジョーント・チャイナを設立。
同社は実績ある仮想現実製品と、上海メディアグループ、華人文化産業投資基金の保有する豊富なコンテンツを活かして、旅行、冒険、ドラマ、音楽、スポーツなどの仮想現実体験を創造する。「中国の声」という上海のバーチャルツアーや、SNH48の音楽などだ。
という具合に、SNH48がジョーント・チャイナの目玉コンテンツになっていることは間違いない。
おそらくこの動きは、2016/04にSNH48運営会社の株式を華人文化の持株会社が取得したことと関係がある。
華人文化ホールディングスには、中国最大のインターネット企業アリババ、テンセントが出資しており、SNH48運営会社は間接的に中国最大のネット起業グループと資本関係を持ったことになる。
米国のベンチャー企業が中国でIT企業を設立しようとしたとき、華人文化と組むのはおそらく妥当な選択肢の一つで、「さて中国国内で観るべき価値のあるエンタメ系のコンテンツは?」となったとき、SNH48の名前があがるチャンスがそれだけ増えていることを意味する。
上海メディアグループは傘下に上海東方衛星テレビがあり、同テレビ局とSNH48はSNH48が設立された当初からつながりがある。今年に入ってからもSNH48の冠バラエティー番組『国民美少女』を共同制作している。
それにしてもSNH48運営会社や、その株式を持っている華人文化は、中国企業らしくものすごいスピード感でビジネスを進めている。
2013年に設立されたばかりの米国西海岸のベンチャーが、中国で仮想現実ビジネスを立ち上げようというチャンスをすばやくつかみ、SNH48運営会社も事前に華人文化と資本関係を持っていたおかげで、コンテンツとして採用されることになった。
このスピード感は、ベンチャー起業家というより芸術家の秋元康にはムリだし、閉鎖的な慣習が根強く残る日本の芸能界には到底できないことだ。