SNH48春の全曲オリジナルEP『お互いの未来(彼此的未来)』に好き勝手コメントしてみる

SNH48の15枚目のEP『彼此的未来(お互いの未来)』の音源がリリースされたのでご紹介。もちろん全曲オリジナル。

01.お互いの未来(彼此的未来)

作詞:甘世佳
作曲:OKBOYS

すでにMVとともにご紹介済みなので省略。SNH48二期生カチューシャ(李藝彤)が初のセンター。

作詞は現地ファンの間で評価の高い甘世佳(ガン・シーチャー)

02.天使と悪魔(天使与悪魔)チームSII

作詞:劉捷
作曲:Wes Koz

この種の「白人が歌うブラック・ミュージック」スタイルの楽曲は、今のビルボード・チャートで耳が腐るほど聴ける。

ブリッジのDメロの伴奏に聴こえてくる、女声の「ハアア」というコーラスが典型的。こういうスタイルの楽曲はハンバーガー屋で何度も聴き飽きている。こういう曲をSNH48に書く必要は全くない。

たぶん最近SNH48メンバーのうち7名が韓国にダンスの短期特訓に行ったこともあり、SNH48のダンス・パフォーマンスの幅を広げるために、あえてこてこてのブラック・ミュージックを収録したんだろうと思う。

ただ、アイドル曲は、アイドル曲という形式的な制約からはみ出さずに、どれだけ多様性のある楽曲を創り出せるか。制作陣がそのことに挑戦するから面白いのであって、この曲のように単純に白人の歌うブラック・ミュージックを創って何の意味があるのか分からない。

生誕祭の特別曲で余興としてTaylor Swiftでもカバーすれば十分だと思うが。昔のカントリー時代のTaylor Swiftではなく、今のTaylor Swiftの。

03.Listen To My Love(傾聴我的愛)チームNII

作詞:劉捷
作曲:Mcflied Chicken

作曲者が「マックフライドチキン」というふざけた名前だが、曲もふざけている。筆者の中国ツイッター(新浪微博)ですでにツイートしたように、サビは完全にORANGE RANGE『以心電信』のパクり。

中華圏ではシンディー・ワン(王心凌)が『心電心』としてカバーしているので、中国のみなさんにはそう言った方がわかりやすいと思う。いずれにせよパクり。

Aメロ、Bメロは悪くないし、ブリッジのDメロまであるし、編曲も悪くないのに、なぜサビをパクったんだろうか。

オマージュやリスペクトのために、途中で少しだけ引用するのは全く問題ないと思うけれど、ここまで完全にパクられると論評のしようがない。

もしかするとSNH48運営はチームNIIメンバーの応援会は、何をやっても総選挙で大量の票を投じてくれるので、普段のコンテンツの品質はどうでもいいと考えているのではないか、と疑いたくなる。

04.Beautiful World(美麗的世界)チームHII

作詞:チームHIIキャプテン 吳燕文
作曲:劉捷

ここまで作詞者だった劉捷という人物がいきなり作曲者になっている。メロディー、Aメロ、Bメロ、Cメロ、ブリッジのDメロという曲構成、細かい転調、編曲の音作り、作詞にチームHIIキャプテンのウサギ(吳燕文)を起用した点。

すべてが最近のSNH48オリジナル曲として十分な水準を満たしている。過去のオリジナルEPにも同じことが言えるが、音楽性ではチームHIIやチームXの楽曲がいちばんまともだと思う。

05.Run for the Dream チームX

作詞:劉捷
作曲:Shaliponte

この曲はチームXのスイスイ(楊冰怡)がいち早く中国ツイッター(新浪微博)で「とっても中二病」と自虐ツイートをしていた。こういうスイスイ(楊冰怡)の機転のきかせ方はさすが。

彼女が言うとおり、アニメのオープニングにピッタリの曲風で、サビ始まりの構成。ディストーション・ギター主体のバッキングに、シンセやピアノの透明な音が重なってくるという編曲も、これぞアニソン!という感じ。

ツーコーラス目終わりのディストーション・ギターの間奏の転調、その後のDメロの途中での転調も素晴らしい。ここまで来るとちょっとしたElements Garden楽曲という感じ。編曲も最後の爆発音まで手抜きなし。

現地ファンとしても、上記のチームSIIの『天使と悪魔』のような曲ではなくて、こういう曲が聴きたいのではないかと思う。

06.To Every Of You(致每個你)チームXII

作詞:甘世佳
作曲:不明

この曲もタイトル曲と同様、作詞は現地ファンの間で評価の高い甘世佳(ガン・シーチャー)。ミドルテンポやバラード系の楽曲は彼の作詞が合うのだろう。

ミドルテンポでゆったりした譜割りのAメロから、細かい譜割りでRAP風のBメロへ移行する対比が良い。サビのCメロは転調なしだが、Bメロ最後からスムーズに流れていくメロディー。サビの後の「ラララ」のスキャットもさり気なくて良い。

そしてブリッジのDメロもある。このDメロはキーがEbメジャーの曲でDb⇒Abの進行で始まるので部分転調と言えなくもない。手抜きのないコード進行。そして最後のサビのリフレインは半音上がってEメジャーというお決まりの転調。

以上、チームSII、チームNIIの2曲はEP全体の単なるアクセントにされてしまった印象。