SNH48新派生チーム「7 SENSES」プロデューサが結成までの経緯を長文ツイート

SNH48の音楽プロデューサ的なポジションの滕少さんが、新派生ユニット「7 SENSES」の結成までの経緯について、中国ツイッター(新浪微博)で長文ツイートしていたので、日本語試訳。

なるほどそういうことか、と思った。原文の2017/04/08 14:12のツイートはこちら

7SENSESがついにデビューした、やっと時間ができたのでみんなに7SENSESのストーリーについて話そうと思う。

まず、最初の構想をしていたとき、4人のチームを作るつもりで、それほどすごいものを作ることは考えていなかった。せいぜい48系の中で少し目立つようなものしか考えていなかった。

2015年はじめになって、確かに4人だと公演のユニット曲と似すぎていると思った。しかも曲のスタイルも48系と同じなら、観客のみなさんがどうしてこの4人のユニットをわざわざ見に来るだろうか、公演を見に来ればいいじゃないか、と思った。

その後、僕の心配を裏づけることがあった。2014年から、会社にいたYさん(訳注:AKB48から派遣されていた顧問)がいつもAKB48のDIVAのCDを僕のところに持ってきて、その後、ある日僕に言った。

DIVAはやらない。これが最後のCD。わかった、OK。それでこのとき、チームを作る企画は僕の頭から完全に捨て去った。

その後に考えた方向は、まず第一に48のスタイルと完全に区別すること、第二に必ず特徴をつけること。何かのタイプの模倣ではダメだということ。他人の影になってはいけない。

それで7人のプロトタイプと、音楽スタイル、全体のイメージ設定にだいたいの方向付けができた。初稿が完成したとき会社の内部で提案して、許可を得てから引き続きさまざまなコンセプトとコンテンツを仕上げていった。

2015年9月、Big-Hit(訳注:韓国のレコードレーベル)の社長が会社に来て僕らと文化交流を行ったとき、深い話をした後、Bang社長のひとことが僕の考えを一気にクリアにしてくれた。

タレントが自分のいちばん好きなスタイルをやる、毎日彼女たちのレッスンをじっと見ている必要はない。彼女たちが自分でレッスンするんだ」「グループのイメージ設定は歌やダンスよりももっと重要

しばらく考えた後、僕らは7SENSESのために中国国内では数少ないGirl Crushのイメージと曲のスタイルを設定して、女性グループを男性グループ化することがキーワードになった。

Hip-Hop文化と音楽は、ずっと実力派アイドルグループの武器で、これはブラックカルチャーが起源になっている。リズムとビートが若者にとても愛されていて、今のところ全世界で主流の音楽のトレンドになっている。

7SENSESがもしこのメインカルチャーに立脚するとすれば、この種の武器を使うのは必然的な結論だった。ただ当時は48系のファンの皆さんのことを考えると、多くはロックを聴いて成長している。

ロックのリズムパターンとメロディーの方向とHip Hopという原案は両極端だ。48系のファンは慣れないし受け入れられないかもしれないと思った(じっさい7SENSESのデビューライブの後、確かにこういう状況が現れた)。

ただ最終的に会社のいろいろな部門の同僚たちと話し合って、みんなも原案がチームの進むべき道だと思っていた。もともとのカルチャーやスタイルにこだわる必要はない。そこで最後にさらに進んで、Hip Hopだけでなく最新のトレンドのTrapの要素も取り入れることにした。

アジアや欧米のいろいろなトップクラスのプロデューサやDJとコラボして、今回の7SENSESの作品を作り出した。
チームの人選については、ずっと「タレントが自分のいちばん好きなスタイルをやる」この言葉を胸に刻んでいた。

SNH48の100人強の少女のうち、本当にこの種のカルチャーが好きで、スタイルを変えたいと思っているメンバーで、かつトータルな人物設定に合うメンバーは決して多くなかった。

2016年12月、二年にわたって選んだこれらのメンバーが同時に僕の目の前に立ったとき、確かにある種の衝撃を感じた。それで僕らは決心した。必ず人前に出せる一大事を成し遂げてみせると

以下、筆者の個人的な考え方なので、読みたくない方は必ず無視して下さい


Hip Hopでさえまだサブカルチャーの域を出ない中国国内で、Trapまでやってしまって、いったい聴衆がどこにいるのだろう。

このチームが韓国や日本でデビューするなら理解できる。活動を続ける採算ベースに乗るだけの十分なファン数が期待できるからだ。

しかし中国国内に欧米の最先端のEDMを理解できる若者がどれくらいいるだろう。このチームを採算ベースに乗せるだけの人数いるとは全く思えない。

その意味で、このチームはマーケットインではなく、完全なプロダクトアウトの考え方に基づく企画だ。

SNH48グループのような日本式アイドルグループでさえ、中国国内ではコンセプト先行の完全なプロダクトアウトだった。

それでも日本のアニメ、漫画、ゲームを愛する若者が、各地の都市に相当数いた。その証拠に各地で定期的にコミケが開催されていた。

コスプレもマイナーではあるけれど一つの趣味として認知されているという基礎があった。もちろんAKB48ファンも、駆け出しのSNH48が何とか採算ベースに乗る程度の数はいた。

しかもAKB48というビジネスモデルは、総選挙、握手会など、利益を継続的に出すために必要なマネタイズの仕組みまで持っていた。

AKB48方式はコンセプトや理想や野心のような形のないものだけで出来ているわけではなく、それを存続させるための現実的な形のある収益モデルとの二本柱で出来ている。

つまり、いまSNH48が何とか中国国内で軌道に乗っているのは、以下の2つの理由がある。

(1)日本のサブカルチャーを愛する若者が全国各地に相当数いたこと
(2)AKB48自体がマネタイズの仕組みを持つビジネスモデルであること

では、7SENSESはどうか。

おそらく中国国内で欧米の最先端のEDMについていける若者は、日本のサブカルチャーを愛する若者よりはるかに少ない。

しかも7SENSESはマネタイズの仕組みとして、たった7人なので総選挙は無意味として、当面、握手会方式を借りてくる必要がある。

しかし欧米の最先端のEDMについていける中国のごく少数の若者が、7SENSESのメンバーとただ握手をするためだけに、CDを何枚も買うような種類の若者だろうか。「恋愛禁止」などという非現実的なコンセプトを理解できる種類の若者だろうか。

最先端のEDMでさえある必要もない。ふつうの欧米の人気歌手は「恋愛禁止」とは正反対に恋愛のゴシップでメディア露出を稼ぐ。

容易に想像できるが、最先端のEDMを楽しむ若者と「恋愛禁止」が建前の日本式アイドルグループには全く接点がない。

だとすれば7SENSESはマネタイズの方式として、イベントやテレビ番組、ネット番組のギャラ、コンサートのチケット収入という、従来どおりの中国国内の歌手の方式を採用するしかない。

中国では楽曲そのものがマネタイズの手段にならないのはご承知のとおり。音源はタダでコピーされてしまう。

欧米や日本、韓国では厳格な著作権保護の仕組みが存在するので、楽曲そのものがマネタイズの手段になる。だからこそマイナーなジャンルの音楽でも、メディア露出のギャラに頼らずに一定の活動を続けられる。

いっぽう従来どおりの歌手の方式を採用して、中国国内で採算ベースにのせるためには、中国国内の第一線の歌手に劣らないメディア露出をする必要がある。

しかしSNH48本体でさえ、全国規模のメディアにもっとも露出しているのは、二期生キクちゃん(鞠婧禕)の水準だ。

彼女のメディア露出の水準は第一線のタレントに程遠い。「四千年に一人の美少女」の看板もすでに話題にならなくなっている。

その理由は、SNH48グループのメンバーが「恋愛禁止」などの日本のアイドルのコンセプトを捨ててしまうと、収入源の大部分を失ってしまうため、メディアに各種のゴシップを提供できないからだ。

筆者の最大の疑問は7SENSESをどうやって採算に乗せるのか、それを考えた上でのプロダクトアウトなのか、ということだ。

仮にプロデューサがビジネスマンではなく、純粋なアーティストだったとすれば、7SENSESの将来の発展にとってそれはあまり良いことではない。