上海SNH48二期生で第三回、第四回総選挙と2年連続で「四千年に一人の美少女」ことキクちゃん(鞠婧禕)に及ばず、第2位となったカチューシャ(李藝彤)。
彼女が中国動画サイト最大手テンセント動画(騰訊視頻)『脱口秀大会(トークショー大会)』第四回にゲスト出演した。一人しゃべりのスタンドアップコメディーで、観客の投票で対戦する番組。
当然、番組内容はすべて日本でいう放送作家が台本を書いている。
テンセント動画のYouTube公式チャンネルからどうぞ。カチューシャのメインの登場22分06秒ごろから。
今回の女性ゲストでカチューシャと「対戦」したのは吳昕(ウー・シン)さんで、湖南衛星テレビのややマンネリ気味の大人気バラエティー番組『快楽大本営』司会陣の一人。
SNH48メンバーも先日、同番組の20周年回に出演した。SNH48は全国的な人気番組の20週年のゲストに呼んでもらえるくらいのステータスにはなっているということ。
この番組のこの放送回のテーマは「第一位じゃなくてごめんなさい」。
というのは、吳昕さんも『快楽大本営』司会陣の女性では謝娜(シエ・ナー)さんにつづく2番めの位置づけだから。
番組冒頭でカチューシャと吳昕さんとのミニコントがある。
出演者の王建国さんが吳昕さんを褒めちぎって自分のチームに引き入れようとしていると、後ろからカチューシャが来るが無視される。
王建国さんがさらに吳昕さんを説得しようとすると、吳昕さんがひとこと「その子があなたと同じチームよ」。
すると王建国さんは態度を180度変えてカチューシャを褒めちぎり始めるが、カチューシャは「もう遅いわ」と怒って帰ってしまう、というミニコント。最後に王建国さんが「来年、投票してあげるから」と言っているのがちょっと笑える。
本編が始まって、司会者の張紹剛さんが吳昕さんを紹介した後、カチューシャを次のように紹介している。
しかも李藝彤はそのグループでどんな存在価値があるか。「万年次女」(訳注:「次女」を第2位の意味で使っている)
年度総決選で毎回負けてるんです。ファンがいう「四千年に一度の美女」鞠婧禕に。
でも藝彤(イートン)、悲しまないで。鞠婧禕が美人なのは何年?四千年。でも君が次女の位置なのは、一万年変わらない。
考えてごらんよ。その差は60世紀だ。歴史は河のごとく長い。だろ?
こういうふうに毒舌ツッコミを入れていく番組。
そしてカチューシャのトーク部分は以下のとおり。こうして内容を紹介するとヒドくつまらなくなるけれど(笑)。
すみません、言い間違えました。無敵じゃありません。第二位でした。
でも今回の総決選で私の発言が(中国ツイッターの)トレンド検索キーワードになりました。
「赤い光はきっと暗闇を突き破る!来年のあの王座は必ず私のものです。しかも私があの王座に座れば、軽々しく手放さない!」
じゃあ来年座れなかったらどうしましょう。じゃあ同じ椅子を買って自分で座ります。
順位がどうなっても、私たちの総決選は公平です。アイドルになるには、すべての面で実力が必要です。
外見、歌唱力、ダンス、個性的な魅力などなど。
とくにダンス。実は、私と第一位には差があります。
私たちのダンスはラジオ体操を同じようなものだと言う人もいます。(訳注:『専属派対』公演からM10. Funky Nightを歌いながら踊っている)こんな感じです。
じゃあ第一位はどこか強いところがあるの?ありますね。
彼女のポジションが、私より良いことです。(訳注:このオチの意味が分からなかった。この後のインサートカットでつまらなそうにしている男性ゲスト2人が映る。たぶんワザとこう編集している)
私たちのグループの競争は激烈です。なのでいつも私たちにこう言う人がいます。「勾心闘角」(訳注:おたがい腹の探り合いをしているということ)
いちばん大げさだったのは、私たちがこっそり靴の中にカミソリを隠してると言ってました。
頼みますよ。私たちはふだん仕事が忙しくて、寝るときも靴を脱げないんですから。カミソリなんて使うチャンスはありません。
かつてこう言った人がいました。「第二位は最大の失敗者だ。なぜなら全員に失敗したと分かるからだ」(訳注:第二位は敗者の中でいちばん目立つという意味)
しかも第二位として、いつもこういうふうに慰められます。
例えば、実は君すごいよ。実力があるよ。でも少し運が足りないだけ。
でも第一位の人はいつも言います。
私がこの成績をとれたのは、実力です。運ではありません。
じゃあ私はいったい何が足りないんでしょうね。
たぶん足りないのは、中分の髪型でしょう。
たくさんの人がネットで私の総決選の受賞スピーチを見て、李藝彤は第一位に今にも食らいつきそうな、恐ろしい目つきだって。
「ファンにたくさん努力をしてもらったのに、ごめんなさい。今年私は第一位じゃありませんでした。でも私の李藝彤の名にかけて保証します。来年は必ず一位をとって、トップの王座に座ります!」
私が事前に考えてあったスピーチはこうです。
「みんなありがとう!すごくうれしいわ!みんなの応援ありがとう!
私は勝ったけど、みんな本当にすごいと思う!第二位もすごく良いわ!
ただちょっと足りなかっただけ。運がね。
みんな来年もがんばろう!」
ありがとうございました。SNH48李藝彤でした。
出演者全員の得点は下図のとおり。彼女が最低の50点。
その後もネタコーナーが続くが、このカチューシャの台本はヒドすぎる。すべてSNH48ファンにしか分からないネタで、普通の観客が笑えるはずがない。
SNH48総選挙で第二位ということに「からめて」、誰にでも分かるような第二位の自虐ネタにすべきだが、番組の放送作家がSNH48のことを知りすぎていたのか、SNH48運営会社が放送作家にネタを提供する時のやり方がマズかったのか…。
この台本と対照的なのが、2017/08/31放送分の王自健の上海東方衛星テレビのスタンドアップコメディー番組『80’s トークショー』。この番組も地元上海の全国放送の人気番組ということで、以前SNH48メンバーが何度か出演したことがある。
上海東方衛星テレビのYouTube公式チャンネルからどうぞ。22分00秒あたりからSNH48ネタが始まる。
この回はこの番組の五周年記念ということで、ファンへの感謝がテーマ。SNH48ネタもファンとスターの関係について。
ほんとに聴いたことだよ。じっさいそんな場面に出くわしたことがないから。(訳注:48系で応援会がメンバーの誕生祝いをするなどという習慣は他のスターにはないので)
スターのファンの中には、スターの誕生祝いをしてあげて、それに誕生日公演とか、誕生パーティーとかいろんなものがあるらしい。
それで僕の友だちがすごく悩んでるんだ。
毎年一回スターの誕生祝いをするので、財産を使い果たしそうだよ。
そこまではないだろって言ったよ。毎年一回だけ誕生祝いをするのに、財産を使い果たすなんてありえないって。
そしたら彼が言ったんだ。
僕が好きなのはSNH48だって。(訳注:ここで王自健が「SNH48」を言い間違えないようにカンペを見ている点に注意)
それじゃあ仕方ないね。でも48人だろ。
一か月に4回ならちょっと節約すれば毎週一回くらいは大丈夫だろって。
そしたら48人じゃないんだって。
300人以上いるんだよ。
一日一人祝ってもまだ足りないくらいだよ。
これも明らかにSNH48のことをよく知っている放送作家が書いたか、SNH48運営会社が書かせた台本だが、さっきの『脫口秀大会』よりははるかにマシ。
とりあえずSNH48が人数の多いグループだということを知っていれば笑えるからだ。
48系グループの難しいところは、ファンの間でしか分からない「しきたり」が多すぎるということ。
地下アイドルなので仕方ないが、普通の人が見る番組で笑いのネタにしてもらうためには、まず48系グループとは何かを理解してもらわないと、ネタにさえならない。
ましていきなりSNH48グループ総選挙でのスピーチの内容、つまり、カチューシャが「今年も第二位になってしまったのはきっと髪型を中分にしなかったからだね」と冗談で話した内容まで知っていないと笑えないネタでは苦しい…。
ところで昨日2017/09/02のニュースによれば、上海東方衛星テレビのスタンドアップコメディーの人気番組二本、『金星ショー』とこの王自健『80’s トークショー』が二本とも放送中止になるらしい。
「特定の人物や時事ネタの毒舌で笑わせる」というスタイルが、当局に目をつけられたのではないかという見方もある。中国が五年に一度の最大の政治イベントを控えているので、本当にそうかもしれない。
中国のバラエティー番組はますますつまらなくなるかも。
そうするとSNH48グループは「学業とタレント活動の両立に努力する模範青年」とか、「汗と努力でスターの道を歩む模範労働者」的な売り方でしか、全国放送の番組に出演できなくなるかもしれないが、今後の動向を見守りたい。