現地ファンの「AKB48運営年内に北京BJN48結成」が非現実的すぎる件

以下、AKB48運営会社が今年中に北京に姉妹グループを作るとしたらどうなるか、現地48系ファンが書いたシナリオを日本語試訳する。

あくまで妄想にもとづくフィクションだが、そもそも実現の可能性がまったくない理由は後半にたっぷり書く。

最新情報、AKB48が(2017年)12月に北京に姉妹グループを結成する。名前は「BJN48」の可能性がある。(ちなみに上海SNH48運営会社の北京姉妹グループは「BEJ48」)

公演劇場は北京・五棵松付近、早くて2017/12、遅くとも年明けには結成。北京姉妹グループはSNH48初期同様、中国人メンバーと日本からの移籍メンバー。

AKB48の北京姉妹グループの一期生は中国国内の大規模なオーディションは行わない。AKB48運営の経営層が最近、中国国内の非48系女性グループの運営会社や、北京、上海、成都などのタレント養成組織と初期の接触をしており、それらの非48系グループのデビュー前のメンバーや、タレント養成組織の契約練習生などに、現在の契約先と解約させて、新たに契約を結ぶ計画である。

同時に中国方のAKB48運営は中国国内の各芸術科学校でメンバーを募集する。北京姉妹グループ一期生は歌やダンスの実力のあるメンバーで結成される。

中国国内のそれら非48系女性グループの運営会社は、AKB48運営との提携でAKB48グループの音楽プロデューサから楽曲制作を受けるとともに、デビューしたメンバーが日本で無償レッスンを受けるなどを希望している。

北京姉妹グループの一期生は2017/11月末ごろに決定。僕は国内グループファンの通りすがりの人間として、野次馬観戦することにする。

以上が現地ファンの妄想の内容だが、現実に起こり得ない点はいくらでも指摘できる。

以下、いちいち指摘する。最後までお読み頂く必要はない。まったく現実的でないことだけお分かり頂ければよい。

(1)遅くとも年明け2018年に結成とあるが、TPE48の本格始動に何年かかったかを考えると、ありえないスピード感だ。まして台湾より仕事がやりづらい中国ではありえない。

(2)中国の非48系女性グループとなると、すべてK-POPスタイルになる。中国では日本系アイドルはマイナーで、人気のある国内外の女性グループはほぼすべてK-POPスタイルだ。

K-POPスタイルの女性グループは突然48系グループになれない。いちばん抵抗するのはメンバーたち自身。韓国の流行を追う中国人女性は、ほぼ日本嫌いか、日本に無関心だ。

なおSNH48ではK-POPスタイルの女性アイドルグループ「だけ」が好きなメンバーはごくごく少数、ほとんどがAKB48が好き、または、AKB48は知らないがSNH48が好きで入団している。

(3)芸術系の学生が48系グループのメンバーになる可能性は小さい。芸術科の入試は毎年中国のメディアで「芸考」として取り上げられるように競争率が高い。

そこまで努力して芸術科に合格した中国人としての誇り高い女子学生が、日本系のアイドルグループのメンバーになるなどほぼ考えられない。

ただし逆ならありえる。実際、SNH48メンバーだったが、芸術科に合格して退団した初期のトップメンバー趙嘉敏。また、SNH48の仕事をしつつ芸術科に合格してるメンバーは少なくない。

ごく少数、芸術科の学生だが、日本の二次元文化が好きでSNH48に入団したメンバーもいる。そういう女子学生はすでにSNH48など日本系女性グループにすでに入団しているか、オーディションで落選している。

(4)中国人から見ると、日本人が経営の主導権を握る企業より、日本的経営を吸収した中国人が経営する企業の方が、安全な選択肢だ。ましてタレント契約は通常の労働契約と違い、労働者にとって条件が悪い。

また製造業やふつうの第三次産業と異なり、芸能活動は当局の厳しい監視下にある。中国人として安心して契約できるのは、やはり国内状況をよく理解している中国人が経営する運営会社だ。

(5)いわゆる「育成系」ではなく実力があるメンバーで結成するという設定も無理がある。

中国国内では十年前からオーディション番組が大人気で、そこからデビューした全国区の人気女性歌手もいる(たとえば李宇春など)。

しかしオーディション番組から全国区の人気歌手になれる確率はゼロに近く、芸術科の女子学生はより堅実な道を選ぶ。その選択肢の中で、芸能界で一定の知名度で活動できるようになるために、最もありえない選択肢は、日本人主導のアイドルグループのメンバーになることだ。

じっさいにSNH48でも全国区のスターを狙えるのは、現状「四千年に一人の美少女」ことキクちゃん(鞠婧禕)だけ。

(6)さらに、すでに実力のある女子学生が48系のような大人数のグループに埋もれることを選ぶはずがない。個人の実力で這い上がることを選ぶ。

一般論として中国の女性は日本の女性よりも自己主張が強い。まして芸術科で実力のある女子学生は、日本式の集団主義に適応できない。この理由でSNH48に適応できないメンバー、すでに退団したメンバーも少数いる。

SNH48メンバーのほとんどが歌もダンスも基礎のない素人で、入団後の努力の過程でチームメイトとの結束も生まれる。個性よりチームワーク優先の48系は、とくに中国では素人を集めないと成立しない。

(7)中国の非48系グループの運営会社が、日本からの楽曲提供や日本でのレッスンを希望しているという想定もありえない。

中国にはATFというアイドルグループがあり東京のエイベックスでレッスンを受けたが、あくまで日本式のアイドルグループだ。

いま中国の若者に人気のポップスはあくまでK-POPスタイルで、SNH48でさえ一部メンバーをK-POPスタイルに移行しつつある。当然、海外レッスンは韓国になり、実際にSNH48メンバーの一部も最近ではたびたび韓国でダンスレッスンを受けている。

楽曲の面でも48系のようなJ-POPスタイルは中国ではマイナーで、中国の若者に受けるのは、叙情的なC-POPか、キレのあるEDM主体のK-POPかどちらかだ。

SNH48グループも中国中央電視台に出演したり、共産党青年団から優秀青年の表彰を受けたりしつつも、まだまだマイナーなのはJ-POPのダンスや音楽のスタイルだからだ。

以上、最初にご紹介した現地ファンのシナリオは全く現実的でない。

しいて現実になるとすれば、例の「五十六輪の花」的なグループになるかも。

たぶん上の文章を書いた人は日本系アイドルにのめり込みすぎて、中国芸能界の現実が見えていない。自分を客観視できないのは、48系に限らずディープなアイドルファンにはありがちだが…。

最後に、全く考えられないことだが、上の文章がじっさいAKB48運営の計画だとすれば、すでにパートナーの中国企業に裏切られている証拠になる。情報をリークされているのだから。