中国アイドルグループの運営リスク:退団メンバーの恐喝

アイドルグループ運営に限らず中国ビジネスのリスクとしてありそうな、元契約相手に後から難癖をつけられて金銭を要求されるトラブル。部外者は真偽を確かめようがないので、評判を気にしてお金を払ってしまう場合もあるかも。

先日ご紹介した元メンバーが、まだ運営会社を恐喝しつづけている。デマを流しまくり、デマを取り下げる代わりに見返りを要求する「当たり屋」の手法だ。運営会社がいくら正当性を主張しても、部外者にはスキャンダルとしかうつらないので交渉が難しい。

いったん運営会社と元メンバーは、同じ主旨の声明を出すことで合意して今回の件を終わらせたが、元メンバーはその合意を一方的に破り、下記ツイートで運営会社をゆすり続けている。

「未成年メンバーが偉い人の酒宴でセクハラされた」というデマを「真相だ」と主張し続けている上に、運営会社との交渉経緯のチャット画面まで偽造している。

前日の声明は運営会社に強制的に書かされたもので、さらに酒席で未成年メンバーがセクハラにあったことを、運営会社が握りつぶそうとしたと、チャットの履歴画面までねつ造している。

運営会社側の責任者が、こちらで文案を作ると言っている画面。これもねつ造。

運営会社の文案に対して、トップメンバーとの待遇の違いで反論、その結果、運営会社は自分に文案を書かせてくれたという経緯をねつ造。

しかし運営会社は自分の文案を採用せず、真相を隠した文案のまま発表したという経緯をねつ造。以上のチャットの経緯をねつ造することで、運営会社の声明の方がデマだとしている。

まだチャット履歴のねつ造は続く。元メンバーが中国2ちゃんねるの自分に不利な書き込みを削除するよう求めたところ、運営会社が中国2ちゃんねるのネット民を罵倒した、しかも運営会社が自分の中国ツイッターの個人アカウントまで規制しようとした、というウソのチャット履歴。

このウソのチャット履歴で、中国2ちゃんねるのネット民が彼女の味方になるように誘導している。

ここまでのチャット履歴のねつ造で、元メンバーは運営会社を悪者に仕立て上げ、中国2ちゃんねるやネット民の同情をかっている。さらにこれらツイートのコメント欄で、直接ネット民にウソの回答をし続けて味方につけようとしている。

彼女がツイートした声明はすべて運営会社が勝手に書いたものだと主張。

同じく運営会社に書かされたと主張して同情をかっている。

運営会社はあなたたちネット民を罵倒していたと書き、ネット民を自分の味方にしている。

「もう運営会社の言うことは聞かない」と書き、事実上、つまり今後もデマを流し続ける宣言をしている。

そしてタレントマネジメント責任者個人を糾弾し、運営会社に解雇を要求。

翌朝のツイートでも、交渉にあたったタレントマネジメント責任者に攻撃をつづけている。非常に執拗だ。

大部分のネット民に自分がデマを言っていると誤解されたと、運営会社を批判したところ、運営会社は彼女が在籍中の行いは良かったと、いったんは褒めてくれた、というチャットの経緯をねつ造。

しかし運営会社がタレント契約にある秘密保持条項は退団後も有効だと主張、さっきまで自分をほめていたのに、突然、秘密保持条項を持ち出したというチャット履歴をねつ造。運営会社の発言に一貫性がないことを印象付けている。

部外者は真偽を判断できないことを利用し、ねつ造したチャット履歴でネット民の同情を買うと同時に、運営会社の発言の一貫性のなさを印象付け、デマは運営会社の方だと印象操作している。

以上、これだけタチの悪い恐喝への対応も必要で、中国でのタレントマネジメントがいかに大変かが分かる。おそらく運営会社は今度はさすがに訴訟に踏み切るだろう。

ただ、強いて運営会社側の問題点をあげれば、メンバー間の待遇差をつけすぎていること。

運営会社がこの元メンバーを退団させたのは、中国2ちゃんねるが彼女の入団前の恋愛関係を暴き(真偽不明)、その内容が企業イメージを毀損するという理由で、公式発表もした。

しかし今回の件では、運営会社は自身に不利な中国2ちゃんねるの書き込みをデマだとし、他の場合では総選挙上位メンバーに不利な書き込みも対外的にデマだと発表してメンバーを守る。しかし不人気なメンバーはデマを書かれても放置する。

メンバーの名誉を守るかどうかについて、メンバー間の対応の差が大きすぎる。もちろん企業として大きな収入源であるトップメンバーを守り、収益にならないメンバーを放置するのは経済合理性がある。

ただメンバーには「感情」がある。格差が大きすぎると、今回のようにメンバーの恨みを買って脅迫をうけるリスクが高まる。

なお、上海SNH48以外の姉妹グループ(北京BEJ48、広州GNZ48、瀋陽SHY48、重慶CKG48)で同様のことが起こらないのは、そもそもグループの人気が低く、メンバー間の格差も小さいためだろう。

上海SNH48の知名度が高まり、メンバー間の格差が広がれば広がるほど、タレントマネジメントは難しくなるようだ。