上海SNH48第三回リクアワMV『Don’t Touch』フルバージョン公開

昨年2017年のSNH48グループ第三回リクエストアワーで第1位だった上海SNH48二期生Akira(趙粵)ルーリー(曾艷芬)の『Don’t Touch』MVが公開された。約1年かかっての公開だ。

この曲はSNH48チームNII全曲オリジナル公演『専属派対 Exclusive Party』の曲で、本来は3人で踊るユニット曲。第三回リクアワではキクちゃん(鞠婧禕)、ルーリー、Akiraの3人がファン投票の結果第1位になった。

おさらいしておくと、2017/01/07開催のSNH48グループ第三回リクエストアワーBEST50の全ランキングはこちら

キクちゃんはすでにSNH48メンバーからは卒業、運営会社に所属のままソロ活動を開始したため、今回のMVには出演していない。もう少し早く撮影していれば参加できたんだけれど…。

MVのセットは同じだが、共演シーンがなく、明らかに一人ずつ別撮りだと分かる。

理由はルーリーがすでに実質的に退団しているため。このMV撮影が最後の仕事になると思われる。

Akiraは上海SNH48のK-POPスタイルの派生チーム「7SENSES」メンバーとして韓国でダンスの特訓を受けた一人なので、ダンスのレベルはSNH48グループ全体で突出している。そのAkiraとルーリーが2人だけでいっしょに踊るカットは、純粋にMVとしてやや無理があったのかもしれない。

Akiraは「7SENSES」で活躍の幅を広げ、ルーリーは昨年の第四回総選挙で第6位というトップメンバーにもかかわらず、自分の意思で退団した。

ルーリーが退団するきっかけになった様々な「事件」については、このブログで紹介しているので過去の記事をあたって頂きたい。

ひとことで言うと、芸能スキャンダルに首をつっこむくらいは良いのだが、ある時期から中国国内で政治的に危ないツイートをするようになったこと。

決定打は、2017/11/26に北京の幼稚園で園児に対する性的虐待の疑いが持ち上がり、当局は中国ツイッター(新浪微博)やメディアの言論を統制、「体罰はあったが性的虐待はなかった」ということで事態を終息させた。

だがルーリーはその幼稚園まで出かけて行って園長との面会を求め、現地の派出所に連行されて事情聴取をうけた。そのまま解放されて事なきを得たが、危険な行動だったことには違いない。

彼女が求める自分らしくありたい、人の言論に縛られたくない、自由でありたいという考え方には、中国ならではの限界がある。

たまたま2018/01/18に彼女がインスタグラムに下図のようなことを書いていた。中国のネット規制をすり抜けて、トランプ大統領のツイートを画面ショットで引用し、その下にコメントをつけている。

なお、VPNでネット規制をすりぬけてインスタやツイッターをやっているSNH48メンバーは少なくない。

トランプはツイッターのレスですごくたくさんの人に罵倒されてる。トランプは毎日メディアを攻撃して、毎日ネット民に攻撃されてる。世論の環境ってものは本当に国境がない。

筆者はおせっかいながらコメントを残したが、習近平主席が中国ツイッターの公開の場で、毎日ネット民から攻撃されるなんてことは、中国では絶対にありえない。当たり前だが、アメリカと中国では世論の環境は全く違う。

ルーリーは言論の自由、表現の自由をまったく理解していない。

ルーリーが言っている意味は、自分自身が一定の有名人として、浮気スキャンダルのあった薛之謙を擁護するツイートをしたり、上記、北京の幼稚園の責任を追及するツイートをすると、ネット民から大量に批判されるが、トランプも同じような目にあっている、ということだ。

言論の自由や表現の自由をまったく理解していないが、このことは中国国内で生活するぶんには逆に彼女の身を守ることになる。大統領とただの有名人の区別がついていないからだ。

他方、SNH48運営会社の経営層など一定の学歴のある大人たちは、当然、本当の言論の自由が何かを知っていて、一線を踏み越えないように慎重に中国で生活している。一定の知名度があるSNH48が「愛国ポーズ」をとらざるを得ないのも、それが理由だ。

そういう大人たちからすると、「純粋」なルーリーが一線を踏み越えて、本当に当局に身柄を拘束されるようなことになれば、SNH48運営会社はあっという間につぶされる。

なのでいくら彼女が総選挙第6位のトップメンバーでも、自ら退団を決めるまで「放置」せざるを得なかったということだろう。

中国でなければ、ちょっと変わった子、というだけで、引き続き活躍できたかもしれないのに…。

(アイキャッチ画像はルーリー)