BNK48運営、タイ大手メディア企業傘下で香港に会社設立目指す

中国クラスターはいざアイドルグループの話になるとヘタレになる。

普段は的外れな中国関連記事に噛み付くくせに、今日2018/07/14に朝日新聞社withnewsがBNK48を取り上げた『タイ王女も踊る「恋チュン」 BNK人気、理由が「指原ばり」だった』(withnews 2018/07/14)のような的外れな記事にいとも簡単に食いつく。

アイドルグループとなるとその背後に電子決済と同じように運営企業が存在することを忘れてしまう。議論の対象としてアイドルグループを軽視している証拠だ。

TPE48の運営会社である熙曜娯楽が「夜逃げ」状態となり、AKB48から移籍した阿部マリアさんも帰国、香港出身メンバー・スティッチ(冼迪琦)も香港に帰っている。

TPE48として初の日本での舞台「Tokyo Girls Collection富山2018」への参加も中止になったことはこちらのAKB48公式Facebookの2018/07/11の記事で発表されている画面ショットはこちら)。

TPE48のファンは自分の好きなメンバーをこのイベントに送り出そうと、生放送サイトShowroomで仮想アイテムを購入してプレゼントしたわけだが、AKB48運営会社はその返金から何から熙曜娯楽に丸投げしている。

TPE48メンバーはアイドルになりたいという夢を大人の都合で中断された。中国クラスターはBNK48の成功よりもこちらに噛み付くべきではないのか。

熙曜娛樂のフルネームは熙曜娛樂科技股份有限公司で、ネットゲームの運営会社だったSNH48と同じくAKSがIT系企業とコラボして展開しようとしたことがわかる(TPE48公式サイト・プライバシーページのGoogleキャッシュ)

一方BNK48の運営会社についてはこちらのジラットCEOについての記事『BNK48 CEO ジラット氏が語るBNK48ビジネス』(2018/04/05 BNK TYO)を、同氏の話半分に聞けばちょうどいい感じで理解できそうだ。

オンラインとオフラインの循環で固定ファンを増やすビジネスモデルを語るのはSNH48社長と全く同じで、48系グループの立ち上げ後の成長期には全国的に『恋するフォーチュンクッキー』のようなヒットが出ることより、持続的にお金を落としてくれる「ヲタ」を増やすことの方が運営会社にとって重要だということだ。

そうして初めて安定的、長期的に利用が見込めるコンテンツになり、下記ニュースのように電通のような大手メディア企業がBNK48に大規模な出資をするという流れが生まれる。

‘Plan B gives BNK48 bigger stage’ (Bangkok Post 2018/05/25)

この記事で興味深いのはベトナムで結成された姉妹グループSGO48運営会社と同じようにBNK48がすでに海外展開を目指していることだ。

BNK48に出資したPlan B Mediaは上場しているためタイ証券取引所のこちらのページで企業情報を確認できる

2018/05/23、06/19、06/25と立て続けにBNK48運営会社への投資を増やしている。上記2018/05/25のニュースの時点で同社はBNK48 Officeの株式35%を取得、社長のジラット氏が55%、AKSが10%という出資比率になっているが、その後Plan B Mediaの支配はさらに強まっていることになる。

Plan B Media社はタイ国内の100億バーツ規模のOOH(out-of-home)、つまり屋外広告・交通広告市場の35~40%のシェアを維持しているとあるが、さらなるシェア拡大にBNK48のような今までにないコンテンツが必要とのことだ。

そしてBNK48 Office社長ジラット氏は海外進出の足がかりとして香港に会社を設立する予定と書いてある。AKSの企業規模ではこれ以上BNK48 Officeへの支配を強められないと思われるため、今後BNK48はPlan B Media社とジラット氏の戦略に従って事業規模を拡大していくことになる。

この記事には重大な間違いが一つある。「ジラット氏はインドネシアのJKT48、中国のSNH48に続いて、タイが日本のAKB48の3つ目の海外姉妹グループだと語る」という部分だ。

SNH48がAKSと決裂して2年が経つにもかかわらずBNK48 Office社長はSNH48をAKB48姉妹グループと勘違いしている。

問題はPlan B Media社とBNK48 Officeが成長を続ける過程で、いつAKB48コンテンツの版権に見切りをつけるかだろう。

BNK48運営会社もおそらくSNH48と同じかそれ以上のスピードで事業規模を拡大するはずだ。タイ国内でBNK48が知名度を高めるにつれて、SNH48同様パフォーマンスする楽曲がAKB48のものかどうかは重要でなくなる。オンライン・トゥー・オフライン、つまり会いに行けるアイドルのビジネスモデルさえあれば固定ファンは付いてくる。

どうやら2018/02/28にBNK48チームBIIIから卒業したJan Chanはすでにソロオリジナル曲『You Make Me』をリリースしているらしい。クレジットによると作曲は日本人DJのTomo Hirata氏とのこと。

↓ファン作成のオリジナルPV

聴きやすくて良い曲。こういうところにアンダーワールド、ケミカルブラザーズ、ファットボーイスリムつながりの日本人DJが出てくるのは、タイのポップスもすでにEDM時代なのかと感慨深いものがあるが、ともかく卒業生だとしてもすでにオリジナル曲展開が始まっている。

SNH48のことをAKB48の姉妹グループと「勘違い」しているBNK48 Office社長が、Plan B Mediaとともに香港に子会社を設立した後、どこまでオリジナル路線に踏み込むかに注目だ。