広州GNZ48チームG全曲オリジナル新公演『Victoria.G』に好き勝手コメントしてみる

広州GNZ48 Team G全曲オリジナル新公演『Victoria.G』が2019/07/05(金)初日を迎えた。ということで例によって独断と偏見でツッコミを入れてみたい。

「Miss三部作」ということでM13~M15の3曲はTeam NIII『Fiona.N』公演と同じ楽曲の歌詞と編曲だけを換えた曲になっている。

『Fiona.N』の方はM12.がファンのリクエストで毎回3曲のうち1曲が選ばれ、実質18曲もある異例の公演になっていた。

『Fiona.N』とシリーズもので同じ曲を3曲も使うなら、後半にまとめるのではなく自己紹介MC前と、アンコール前後に分散した方が良かったのではないか。

全体としては16人全員で踊る曲より、ユニット曲の方がはるかにクオリティが高いと思った。またRAPが入る曲が多すぎなのは賛否が分かれるかも。

振り付けはすべて一人のダンスの先生が担当したらしい。Team G初の全曲オリジナル公演『双面偶像』と比べると、こういう点に地味に経費節減のあとが見える。

この公演で全く手抜きなしで、むしろコストが増えているのではと思わせるのは衣装だろう。広州は昔からコンサバな衣装が一級品だが、この公演はとくに素晴らしいと思った。

以下、一曲ずつ好き勝手コメントする。

M01. 城堡的秘密(シークレット・オブ・キャッスル)

なぜイントロがアフリカ風なのかは不明。イントロ以降を聴いてもアフリカである必要性はなく、普通に良い曲なんだけど。

この公演の曲はあまり上下に音程が動かない抑制のきいたメロディーラインが多く、甘ったるくならず、しつこくなり過ぎず、クールなのが良い。

Dメロ部分はRAPになっている。この公演、本当にRAPつきの曲が多い。

M02. 盛装打扮(ドレスアップ)

アイドルポップスのお手本のような曲。Bメロのリズムが「パーンパパン」になる点、素直につながるDメロも含めて、ヲタの皆さんもMIXを打ちやすく、コメントしようがないほど典型的なアイドルポップス。

M03. 101米便利店(101メートルコンビニ)

Team Gの一つ前の全曲オリジナル新公演『双面偶像』の『Fly』と同じく衣装の速替えがある。

『Fly』が肩はずすとスカートが降りてくる一発転換なのに対して、こちらは重ね着のワンピースを脱ぐスタイルでややもたつく感じ。

この曲、タイトルが似ているので昔からの48ファンはAKB48『100メートルコンビニ』と比較したくなるようだ。

この曲も典型的なアイドルポップスだが、一曲前と違って「Duru Duru Durudu」というフックがある点が少し良い。SNH48グループの中でいちばん正統派アイドルスタイルの広州GNZ48らしい曲。

M04. Luna

雰囲気ががらっと変わる。通常、自己紹介前は4曲ですべて16人全員で踊るが、突然ハナちゃん(謝蕾蕾)のソロ曲、しかもバレエ風のダンス。ハナちゃんは上海SNH48一期生KIKI(許佳琪)と違ってバレエ経験はない。

非常に素朴な曲で、手抜きじゃないかと思うほどコード進行に何のひねりもなく、シンコペーションもほとんどない素直すぎる曲。おそらくわざとディズニーの子供向けアニメのような曲を狙ったと思われる。

ここまでの曲でセンターをつとめるCK(陳珂)とハナちゃん(謝蕾蕾)が同一人物の二つの自我の対話という現地ファンの説を採用すれば、ここでハナちゃん側の人格の純粋さを強調するため、わざと素朴な曲にしていると言える。

M05. Miss Victoria

公演タイトル曲。小道具が凝っているのは言うまでもないが、イントロからバイオリンの同型メロディーが半音ずつ降りていくのが斬新。

『双面偶像』の名曲『Gravity』ではイントロでバイオリンを弾いているような振付けがあるが、ここでは実際に全員がバイオリンの形をした小道具を持って登場する。

内心の二つの人格の対話の悲壮な面が前に出てくることで、曲のコードがマイナーになる。Aメロのベースはクロマティックで下がっていくお決まりのパターン。

BメロでいったんAメジャー(F#マイナー)に転調してサビでC#マイナーに戻る。最後のリフレインの前でもう一度同じ転調をする。

タイトル曲にふさわしいドラマティックな展開だと思う。

ここからユニット曲だが、ユニット曲部分は最初と最後に16人の半分、8人で踊る曲が全体をサンドイッチする構成になっている。

M06. 双行道(ツーウェイ・ストリート)

ダンスや衣装からして完全にK-POPスタイル。Bメロの冒頭「让一让 都让一让」が「round ‘nd round, round ‘nd round」に聞こえるのはわざとだと思う。この公演は中国語の発音を英語とかぶせている歌詞が他にもかなりある。

この曲もサビ後に「Wu wawa wu e-oh~」というフック付きで耳に残る。それに続くAメロが単純なくり返しでないのもK-POPらしい構成。その後、J-POPの構成で言うDメロもきっちり入っている。

大人っぽいK-POPとしてよくできた曲だと思った。

M07. 粗心女孩(うっかりガール)

突然、お子様のおふざけEDMで、サビをしつこくリピートしてこれだけ洗脳する曲は単純にすごいと思う。引用が多すぎるのはやや気になるが、わざとネタとして入れてるのは分かる。

ワンコーラス前はGlenn Millerの『In The Mood』、ツーコーラス目の前はScatman Johnだろうか。その直後にQueen『We Will Rock You』がある。たぶん他にもいろいろ引用があるんだと思う。筆者は見つけきれない。

この曲もRAPが入っている。

この曲のすごいところはツーコーラスを歌い切った後も、『In The Mood』の引用をはさみながら延々とサビのリフレインが続くところ。

M08. 低烧(微熱)

最初観たときはとにかく衣装が美しすぎると思った。GNZ48衣装部の本領発揮。黃楚茵の着ている衣装は腰がコルセットのように絞ってあるが、このままこの衣装を着られるメンバーは他にいないかも。

サビ始まりでDメロもあり、全体にメロディーがとても美しい曲。この曲もRAPが入る。アウトロでボーカルのアドリブ(録音だけど)があり、トニックで終わらないのもクール。

M09. 要你説愛我(愛してると言って)

『双面偶像』公演でいうと『I Wanna Be Your Girl』の位置づけだろう。衣装の背中にポイントがあるのは言わなくていいと思う。ほんとにGNZ48衣装部は気が利いている。

キツネちゃん(高源婧)の「GYJ 76」は中国語の発音記号ピンイン「Gao Yuan Jing」の頭文字と誕生日。

サマー(陽青穎)の「YQY 86」はピンイン「Yang Qing Ying」の頭文字と、「86」は分かる方、教えてください(汗)。

サツコ(李姗姗)の「LSS 33」はピンイン「Li Shan Shan」の頭文字と「Shan Shan」と音が似ている「33 San San」。

Dメロもちゃんとついていて、アレンジも適度に変化があるJ-POP。

M10. Jelly

この公演ではこの曲がいちばんクオリティが高いと思った。EDMでサビ前にドロップがあるK-POPスタイルで、サビの「Jelly」と「借你(Jie Ni)」が脚韻になったフックがすごい。

他にもまだ「Du Du du ru du du」というフックがある。この曲も最後のリフレイン前にRAPが入る。

ボーカルのレベルがこのクールな曲に付いてきていないのは残念だけれど、それをGNZ48に求めるのはムリがある。

この曲を観てGNZ48でいちばん後輩の六期生Soki(葉舒淇)の実力のすごさを改めて感じた。上海SNH48五期生から移籍した林嘉佩といっしょに踊っても全く遜色ない。

M11. 佔據(占拠)

この曲は個人的に『Jelly』の次に良いと思った。腐女子向け曲(笑)。

イントロの「OH MY BABY」のリバーブだけで鳥肌モノ。ELOとか1980年代の古き良き(?)エレクトロポップを聴いている感じにさせてくれる。

Bメロの「DA DI DA」のフックや、サビの後にイントロの「OH MY BABY」が戻って来るところなど、構成も素晴らしい。

リズムのグループも良いし、サビもあまり上下に動かないメロディーでDメロもある。アウトロ前にまた別のメロディーがあって、結構ぜいたくな曲。

女性ファン的にはDメロで3人がジャケットを脱ぐ振付けがたまらないんだろうと思う。最後はイントロのメロディーが途中でぷつっと切れてこれもカッコいい。

個人的にはこの公演でベストが『Jelly』、第2位がこの『佔據』。

M12. 凛

J-POPスタイルではこの公演でこの曲がベスト。広州GNZ48鉄板のJ-POP曲なら、転調とDメロは必須。サビでF#メジャーからG#メジャーに転調。

ツーコーラス目のAメロが単純な反復になっていない構成も良い。

ここからはすべて既存曲とその改編。

M13. 内心遊戯

これはTeam NIII『Fiona.N』の『内心戯』の改編版。イントロとAメロの中東風は意味不明。M01.城堡的秘密のイントロのアフリカ風よりはましだが、衣装も中東風ではないし、歌詞も中東と無関係だし、何がしたいのか分からない。

わざと意味不明のエキゾチシズムのEDMにしたいのなら、サビをフツーの8ビートのロックにすべきではない。

M14. Fiona没有秘密(Fionaに秘密はない)

これもTeam NIII『Fiona.N』の『給Victoria的秘密』の改編版。伴奏は全く同じだと思う。歌詞は反対の意味になっているらしく、こちらはバッドエンド。

M15. Talking to Mia

これもTeam NIII『Fiona.N』の『Listen to Mia』の改編版。テンポが速くなったディスコ編曲。個人的にはこちらの編曲の方が好き。そしてまたRAP入り。

M16. I Know

2017年リリースGNZ48 EP『SAY NO』収録曲そのまま。後ろの大型液晶にこれまでのTeam Gの歩みが流れていて、昔のメンバーの映像に観客が笑っているが、センターのハナちゃん(謝蕾蕾)は涙を流している。

どうやらこの曲は彼女の涙のツボらしい。この公演の準備でなかなかメンバーが全員そろわず、苦労したらしいので、そういう感慨もあったのかも。

名曲であることには違いないけれど、これからこの公演のラストで毎回この曲となると、ちょっとどうだろうか。

以上、好き勝手書いたが、個人的にはユニット曲がとにかく素晴らしいと思った。

『双面偶像』のクオリティに比べると、かなり失望させられるんだろうなぁと心配していたが、同じ「Missシリーズ」のTeam NIII『Fiona.N』公演よりもこっちの『Victoria.G』の方が好きです(汗)。

理由の半分は『Fiona.N』公演が曲間にセリフが入って舞台劇風の演出になっているが、中国語の聴き取りができない自分としては、それだけで公演に入っていけなくなるので(汗)。