2019/05/04は中国の抗日・反帝国主義大衆運動「五四運動」100周年。AKB48中国再上陸のAKB48 Team SHと、上海SNH48グループそれぞれの対応を見てみる。
上海SNH48グループの五四青年節
上海SNH48グループはAKB48から独立して以降、完全に現地のグループなのでいつもどおり国営メディアをリツイートしている。
元ツイートは中国共産党機関紙「人民日報」だが、ツイートにある画像はすべて上半分が歴史上活躍した青年、下半分がいま活躍中の若者という対比になっている。
画像の中に「抗日」の文字は一つもない。「五四青年節」が青年を激励するプロパガンダに利用されていることに違いはないが、抗日色は消えている。
ところで五四青年節ということで、広州GNZ48 Team Gキツネちゃん(高源婧)の応援会が彼女の地元山東省の中学校に文具を寄贈している。SNH48グループメンバーの応援会はこういった公益活動をすることがたまにある。
運営会社も機会があるたびに障がい者施設にメンバーを訪問させたりする。あちらではこういう「社会貢献」が社会的ステータスになるのかもしれない。
新華字典、ボールペンと替え芯、シャープペンシル、消しゴム。
他にも大学の映画祭に関連づけて五四青年節をお祝いしたりしているが、SNH48グループにとっては定常運転で何の問題もない。
AKB48 Team SHの五四青年節
ではAKB48中国再上陸の上海AKB48 Team SHは「五四青年節」にどう対応したのか。
中国国営放送の『青年中国説』という「青年の主張」的な番組に参加したほか、『青春的力量(青春のパワー)』という番組にも参加したらしい。もちろんどちらも共産党宣伝部関連だ。
放送日はまだ発表されていない。放送されたらこのブログでご紹介する。
(例によってAKSからクレームが入らないようにメンバーにはモザイクをかけた)
秋元康氏も『初日』が五四運動100周年記念ソングとして歌われたのを知ればきっと喜ぶだろう(汗)。
さらにAKB48 Team SHの各メンバーは五四青年節を祝う短いメッセージ動画をツイートしている。
政治的な内容はなく、自分にとって青春は何かを語り、青春に関連するC-POP楽曲やAKB48楽曲を歌うという、無難なところでおさめている。
ただしそれらの動画はYouTubeのAKB48 Team SH公式チャンネルにはUPされていない。さすがに国外ではまずいと考えているのだろう。
↓それでもYouTubeに転載している方がいた。劉念で、『初日』を歌っている。
さらにAKB48 Team SH各メンバーは上記の『青春的力量』への出演ツイートをリツイートし、ひとこと青春を賛美するメッセージを書いている。
↓その中で明らかに共産党関連ツイートをしているメンバーがいる。リーダーの毛唯嘉だ。
「”五四”的火炬,唤起了民族的觉醒(五四のたいまつが、民族の覚醒を呼び起こす)」とあるが、これは共産主義青年団(共青団)の『光栄啊!』という団歌だ。
↓共青団制作の『光栄啊!』MVはこちら。バリバリのプロパガンダ曲。
それでも、五四青年節は「抗日」に直接かかわる九一八事変(満州事変)などに比べればAKB48 Team SHが乗りやすい記念日と言える。
個人的に、デビュー1年もたたずに共産党の宣伝活動に参加するとは意外に早いと思ったけれど。
ふつうは柔らかい衛星テレビ局、たとえば地元の上海東方衛星テレビの特番や、湖南衛星テレビの特番のひな壇タレントくらいでいいのに、いきなり中国共産党中央だ。
とはいえ気をつかっているAKB48 Team SH運営
とはいえAKB48 Team SH運営は日本側にかなり気をつかっている。
今回の「五四青年節」関連のAKB48 Team SH公式ツイートでいちばん興味深いのはこれ。
先ほどの『青年的力量』出演時に現場にかけつけたファンとの集合写真だ。ツイート本文がポイント。
今回のイベントに参加するしないにかかわらず、AKB48 Team SHの一人ひとりのメンバーはファンの皆さんがずっといっしょにいて下さることに感謝しています!
文字だけでも直接お会いしているのと同じです。みなさん五四青年節おめでとう!明日から仕事、学校ですね。五月も続けていっしょに頑張りましょう!
今年、中国の労働節ゴールデンウィークは2019/05/01~05/04の4日間で、05/05は日曜日だが出勤日、登校日になっている。
このツイートの「无论是否参加这次活动(今回のイベントに参加するしないにかかわらず」という部分に、日中双方への気づかいが見える。
ふつうの中国のタレントならこんなこと書く必要は全くない。共産主義青年団にかかわる五四青年節イベントに参加できるのは光栄だとストレートに書ける(内心そう思ってなくても)。
SNH48はAKB48から独立したおかげで芸能ゴシップだけ気にしていればいいはずだが、それでも「精神的日本人」と叩かれることはいまだにある。
なおさらAKB48 Team SHは独立前のSNH48のように、日中間の政治的「失言」リスクと常に背中合わせだ。
そのせいか、AKB48 Team SH自主制作バラエティーは息苦しくなるほど真面目すぎる。たぶん日本側が中国側以上にリスクに過敏で、無難に無難にと運営しているのだろう。
ただ、お行儀が良すぎる芸能人は中国の一般人には受けない。当局の検閲ギリギリのラインにどこまで迫れるかくらいリスクをとらないと、芸能人はネットで話題にもならない。
AKB48 Team SHは日本軍による中国侵攻の始まった「九一八事変(満州事変)」をどう乗り切るのだろうか。