SNH48チームNIIななし(馮薪朵)の妄想小説『ライター売りのトトちゃん』

SNH48チームNII二期生ななし(馮薪朵)がクリスマス・イブの特別公演の後、中国ツイッター(新浪微博)で爆笑の長文ツイートをしていたので日本語試訳する。元ツイートはこちら


『ライター売りのトトちゃん(賣打火機的小朵朵)』

クリスマスという名がなければ、ただのいつもの冬の夜だったでしょう。この寒くて暗い夜に、私はひとり裸足で四川北路をさまよっていました。

(訳註:四川北路は上海市虹口区にある通りの名前で、SNH48専用劇場「星夢劇院」から1km弱の距離)

劇場から出てきたときはまだスリッパを履いていましたが、何の役に立つでしょうか?私の35号の脚ではリサ(陸婷)の36号の大きなスリッパを履けるはずもありませんし、彼女は新しいスリッパも買ってくれません。

さっき道路を渡ったとき、暴走族のお兄さんの車が爆速で私をかすめて走り去り、びっくりして逃げ出したら、スリッパは両方とも脱げてしまいました。

片方はどこにも見つからず、もう片方はポニーテールの女の子が拾って行ってしまいました。その女の子はずっと「帰って浪浪(ランラン)のホッカイロがわりにしてあげよう」とか何とか、ぶつぶつつぶやいていましたが、はっきり聞こえませんでした。

(訳註:「浪浪(ランラン)」はSNH48メンバーの宿舎で飼われている猫の名前。つまりこのポニーテールの女の子はSNH48メンバーの誰か)

それで私は裸足で歩くしかなく、たまたま犬の糞を何度か踏んでしまいました。私は服のポケットいっぱいにライターを持っていて、手のひらにもいくつか持っていました。ここ数日だれも私のライターを買ってくれず、劇場のファンに出くわしても、私には一銭もくれません。


私は家に帰る勇気がありませんでした。IQ140が何の役に立つだろう、私はそう考えながら、魯迅公園の入口にしゃがみこんで丸く縮こまりました。だんだん寒くなってくる感じがしました。

(訳註:星夢劇院から大通りの四平路を渡るときにスリッパが脱げて、そのまま西へ四川北路まで歩き、北へさらに歩くと魯迅公園の南二門に着く)

ライターも売りさばけない、リサ(陸婷)が故郷のタイへ帰るお金を稼いであげることもできない。もし彼女にバレたらきっと私をぶつでしょう。

(訳註:リサ(陸婷)はタイ生まれのニューハーフで、帰国するための金をななし(馮薪朵)にみつがせているという設定(笑))

それに私たちの家の天井板は剥がれて、暖気があちこちから逃げてしまうので、二千枚あまりの下着ですき間を埋めてもまだ風がもれる始末。しかもナナちゃん(萬麗娜)は警察を呼んで私を窃盗犯だと言いました。

私は手の中のライターをしげしげと見つめました。まぁ、少しくらい使っても誰にも見つからないだろうから、これで手を暖めよう。私は心を決めて、ライターの打金を押し込みました。

チャッ!明るい炎が立ち上がりました。こんなにも炎が明るかったなんて!ナナちゃん(萬麗娜)のおでこみたい、100ワット電球みたい。

私はまるで自分が快適なエアコンの効いた部屋にいて、リサ(陸婷)が背中をたたいてくれて、スリー(孫芮)がおつまみの辣條(ラーティァオ)を食べさせてくれているような気分になりました。

コーラでもあればいいなと思って、スリー(孫芮)にコーラを買って来てと言おうとした瞬間、炎は消え、エアコンの効いた部屋も見えなくなり、私はやっぱり魯迅公園の入口に座っていました。手の中のライターはもう壊れていました。

ちっ、偽ブランド品か。私は恨みがましく一声つぶやき、またもう一つに火をつけました。ライターは明るく輝いて、炎が燃え上がりました!

その明かりは壁も照らし出し、まるで星夢劇院の入口で輝く広告灯のようでした。そして壁の向こうに劇場が透けて見えて来たのです。

劇場の中では「家庭内暴力反対」特別公演が行われていました。常連ファンはみんな私のファンで、私の名前を叫んでいます。私は舞台に立って、多くの人たちが美味しい食べ物を投げてくれます。トマトやら、たまごやら、えっ?くつ下を投げてくれたのは誰?

その瞬間、ライターはまた壊れ、私はただ厚く冷たい壁の前にいるだけでした。

(訳註:ななし(馮薪朵)は金をみついでいるリサ(陸婷)から、日常的に家庭内暴力を受けているという設定(笑))

私はまた一つ、ライターをつけました。今度の炎は私の身の回りのすべてを明るく照らし出し、人影がひとつ、現れては消え、現れては消えます。

「如来兄さん?」私は小さな声で口ごもりました。彼女の髪はブルー・ローズのように鮮やかで、色っぽく湧き出すようでした。

(訳註:「如来兄さん」についてはこちらのSNHello 第14回でスリー(孫芮)扮する青いパンチパーマの如来を参照)

「如来兄さん!私を連れて行って!リサ(陸婷)は私を死ぬほどいじめるの!あなたの部屋に泊まっていいでしょ!」

私は少し興奮して、手に持っていた偽ブランド品のライターがまた壊れてしまうかもしれないと思い、両手両足まで使って4つのライターをつけました。一瞬で通り全体が昼間のように明るくなりました。

如来兄さんがこんなに気高くて、こんなに美しいとは思いもしませんでした。彼は私に向かってうなずいて言いました。「いいよ、うちに来な。俺といっしょにインスタントラーメンを食べよう、うちには何でもあるさ」。

それから私を麻袋に入れ、担ぎあげると空高く飛んでいきました。空高く、家庭内暴力のない場所まで。

翌朝、私は望みがかなって新聞の一面に載りました。「少女アイドル家庭内暴力で路上死。専門家曰く、胸が小さくてはどこへ行ってもお話にならない」

でも私がもう一つの世界で、如来兄さんと楽しくインスタントラーメンを食べていることは誰も知りません。


というわけで、SNH48チームNIIネタ満載の、ななし(馮薪朵)の妄想小説をご紹介した(笑)。