広州GNZ48初の全曲オリジナル公演チームNIII『第一人称』に好き勝手コメントしてみる(1)

ついに広州GNZ48星夢劇院のオンライン生放送の音響設備が、驚くほど劇的に改善された。

2017/04/01の広州GNZ48チームNIII全曲オリジナル公演『第一人称』エイプリルフール特別公演で、生放送の音響が初めて、ほぼサラウンド音質になり、全曲バッキングが隅々までハッキリ聴き取れるようになった。

広州GNZ48のオンライン生放送は、いままでほとんどモノラルに聴こえるほどヒドかったので、感動して泣きそうになった(笑)。

そういうわけで、ようやく広州GNZ48初の全曲オリジナル公演『第一人称』の各曲に、好き勝手ツッコミを入れてみる。

ただ、この公演はすごい!北京BEJ48チームEの全曲オリジナル公演『ティアラ・ファンタジー(奇幻加冕礼)』よりもさらにレベルが上っているかもしれないくらい、クオリティが高い。

広州GNZ48公式サイトのこちらの『第一人称』公演紹介ページをご覧になって分かるように、この公演全体は、8ビット・テレビゲームがテーマになっているらしい。

中国の1980年代には、当然ファミコンなどなくて、いま30歳前後のGNZ48ファンの一部の男性の「子供の頃の想い出シリーズ(童年回憶系列)」なのかもしれない。

動画はエイプリルフール公演のものを使うが、この公演はハイタッチ会から始まって、最後の曲から最初の曲に逆順に歌い、Overtureが最後に来て、その後「影アナ」の注意事項の読み上げがあるという、すべてが逆転の公演になっている。

一曲目でメンバーがいちばん汗だくになっているのは、そういう理由。

M01.Wake Me Up

最初のレーザーの演出は北京BEJ48チームE『ティアラ・ファンタジー』のパクりだが、同じ姉妹グループ内でのパクりはOK(笑)。

よく聴くとイントロからいきなりDUB STEPのワブルベースが聴こえる。ふつうの16ビートのアイドル曲のようで、じつはメロディーのつなぎの伴奏に必ずDUB STEPが入るという、凝った編曲。

個人的に思うのは、48系アイドルに直接DUB STEPを踊らせるのはすでに時代遅れで田舎くさくて、アイドル曲を何気にDUB STEPで編曲する方が、はるかに技術的に洗練されていると思う。

あらゆるスタイルの音楽を取り込みつつも、いかにアイドルポップとして成立させるかが、編曲者の腕の見せどころだと思うからだ。

Aメロは反復なし、Bメロへのつなぎにワブルベースが入って、Bメロはアイドルポップの定番の「パーンパパン」のリズムだが、ワブルベースがしっかり入っている。

Bメロも反復なし。サビの転調はないが、サビのCメロの最初で「wake me up」の三拍単位の反復が自然なフックになっている。

さらにサビの後半の「愛愛愛」「kiss kiss kiss」の付点8分音符も、偶数拍のリズムに16分音符3つ単位のメロディーが乗ることでスムーズなフックになっている。このあたりのメロディーの作り方は素晴らしい。

そしてサビにもう一つDメロが続いて、「wake me up」が再び登場し、ここで伴奏のワブルベースがさらにハッキリする。

間奏なしでツーコーラス目のAメロへの流れも非常にスムーズ。

ツーコーラス目の後の間奏はアイドル曲の定番、ディストーションギターのソロ。間奏の最後の部分も、レーザー光線の演出も含めて、北京BEJ48チームE『ティアラ・ファンタジー(奇幻加冕礼)』を参考にしている。

サビの最後のリフレインの伴奏、シャキシャキのシンセサイザーの和音が素晴らしい。そこへ色とりどりの音色のワブルベースが入り込んできてアウトロなしで終曲。

個人的には「7 SENSES」の『Girl Crush』よりも、こういうDUB STEPの使い方のほうがはるかにセンスがあって都会的で洗練されていると思う。

(所詮米国のストリートなんて西海岸のホワイトカラー居住区と違って、日本で言う地方都市のヤンキーのようなジモティーの集団にすぎないのだから)

M02.到着まであと5秒(还有5秒到達)

SNH48グループの全曲オリジナル公演はどれもそうだが(北京BEJ48チームE『ティアラ・ファンタジー(奇幻加冕礼)』はちょっと違うかもしれないが)、最初の4曲はどれも典型的なアイドルポップ。この曲もそう。

Aメロはきっちりほぼ同じメロディーの反復、Bメロは例の「パーンパパン」リズム。サビのCメロに入る前に2小節追加されているのも定番。純粋に客席のファンがコールするためだけに存在するかのようなメロディー構成。

サビのCメロもほぼ同じメロディーを2回繰り返し。最後の「还有五秒就会到达」の部分でC#m7⇒F#7⇒Bの代わりにC#m7⇒C⇒Bとなっているのも定番。間奏でBからF#へ経過点転調。

Aメロとサビの伴奏で細かく32分音符くらいで鳴っているシンセもポイント。サビの「出発」「害怕」の部分のフックも、とっても分かりやすくて良い。

M03.ドリームアドベンチャー

イントロのギターですでにEメジャーからFメジャーに半音上昇の転調。このイントロの後にブレイクがあって、まるで別の曲が始まるかのようにまたEメジャーでイントロが始まる構成が斬新。

この公演の初日では、弾幕コメントに「調整室のスタッフが失敗した」と流れてきて、筆者もそう思ったけれど違った。こういう編曲だったのだ。

最初の「Wow wow」でEメジャーのイントロが戻ってきて、Aメロでいきなり三度転調でC#メジャーに。冒頭からかなり凝った作曲。

BメロでF#⇒D#7⇒G#の流れから、同主調のC#マイナーのコード進行で雰囲気が変わり、サビ前にG#7というC#マイナーのドミナントコードで、ピーンという音のブレイク。

サビのCメロでイントロのEに再度三度転調で戻る。平行調のマイナーコード経由で元の調に戻って来るという、三度転調のお手本のような曲。

サビの後半はイントロの「Wow wow」で、これがフックのメロディーになっている。

ツーコーラス目のAメロは、ワンコーラス目のAメロが、バスドラムがオンビートをバス、バスと打っていたのに対して、より静かなビートでさらに雰囲気が穏やかに。

ツーコーラス目のEメジャーのサビ終わりの間奏が、同主調のEマイナーの進行になり、C⇒D⇒Em⇒G⇒C⇒D⇒D/E⇒Eで、最後にまたEメジャーに戻って来る。このあたりクリシェではあるけれど、よく出来た曲。

サビの最後のリフレインで半音上がってFメジャーに転調。ここでイントロの調まで戻る。ラストはフックの「Wow Wow」で終わり。

ここまで捨て曲なしです。

M04.第一人称

公演のタイトル曲。ここでファンキーなディスコ曲。公演全体の曲構成もとても良い。マイナーコードのコテコテのメロディーなので、日本人的には1980年代の雰囲気でとても懐かしい感じ。

間奏のトランペットが突然ムーディーな感じをかもしだしているが、これは人の演奏ではなくて、よく調教されたトランペット音源。

その後のブレイクも定番だけれど、C#マイナーからEbマイナーに長二度転調するために、ここでちゃんと入れてくれるところが良い。

とりあえずここまで。この続きのユニット曲は、特に『妖精(精霊)』など、書きたいことがあり過ぎるけれど、書く時間がとれないので。