北京BEJ48チームEサンサン(蘇杉杉)の予想外に良質なショートムービー

北京BEJ48チームE サンサン(蘇杉杉)が自主制作したショートムービーの出来があまりに素晴らしかったのでご紹介。

脚本は退屈で、セリフの音がなぜか左右に振られているのが意味不明だが、各カットのカメラポジション、フレーミング、モンタージュがほぼ完璧。

彼女の大学の専攻は「电子商务(電子商取引)」で、映画とは全く無関係。これだけの技術を独学してしまうのが本当にすごすぎる。

最初、空からゆっくりティルトダウンする引きの絵は「これから物語が始まります」の合図。三脚。

カットして歩いているサンサンのバストショットは望遠で背景をボカシている。

その次は、画面を横切るサンサンの向こう側からまゆりん(馬玉靈)がスケボーでやって来て、2人がこれから出会うことをワンカットで説明。奥のまゆりんにもピントが合うようにパンフォーカス気味。

サンサンがスーツケースを重そうに持ちながら階段を上がるカットは、画面に対して階段部分の比率を多くすることで「まだ何段も登る必要がある」ことを強調。

屋内のカットは照明機材を用意できなかったと思われ、暗くなってしまっているけれど、ていねいなカット割りとモンタージュで、そつなく見せている。

本を落とした次のカットで、カメラがいきなり床面のローポジションになり、次の本を拾う、同じくローポジションのカットに自然につながっている。

まゆりんとシェリー(羅雪麗)が階段を上って来るところは手持ちカメラでも、人物の斜め前からなので自然。

サンサンがカフェにいるシーンの冒頭のカットはさりげないパン。ここも細かめにカット割り。財布が卓上ランプやバッグの後ろに隠れていて、財布を忘れたことが分かりづらいのが、やや残念。

エスカレーターですれ違うシーンは、本当はサンサンの主観ショットが入るのはおかしい。まゆりんがサンサンに気づいて振り返ったところを、まゆりんの肩なめでサンサンがエスカレーターを上がっていくのが正しいと思う。

次、脚本的に、まゆりんがテーブルにある財布をサンサンのものだと気付くのはおかしい。せめて財布を取り上げてから、「えっ?この財布って彼女のじゃない?」ということを示すカットを、財布を持っているまゆりんのローアングルのバストショットで見せ、そのカットからまゆりんが右へフレームアウトするのが正しいと思う。

で、右へフレームアウトするので、次のカットで左からまゆりんがフレームインして、サンサンの後ろ姿に追いつくカットへ自然につながる。

まゆりんがサンサンに財布を渡すシーンの切り替えしも、まゆりんの肩なめで良く撮れている。

このあたり、つながっていないカットがないか「あらさがし」してみたが、全部つながっていた。切り返しの部分も、財布とスマホを左手、右手が正しくつながっている。

カメラ1台で撮っているので、この対話部分は、まゆりんの肩なめだけを撮って、サンサンが後ろ姿の2人だけを撮って、モンタージュしているということ。

最後の食堂?のシーンは、やや粗が目立つ。シェリーがまゆりんと分かれてどこかへ行ってしまうカットと、まゆりんがサンサンを見つけるカットがない。ただ、カメラの高さは正しい。まゆりんとサンサンの対話では、お手本どおりの切り替えし。

以上、これだけの映画撮影の基本技術を、すべて独学で習得したんだろうから、サンサンはすごい。