SNH48運営会社の応援会公認制への移行は完全に正しい

いまSNH48運営会社が応援会を公認制にしようとしていて、各応援会が「不平等条約」をのむくらいなら野良応援会になってやる!と猛反発している。

筆者は「はぁ?応援会ってそもそも野良が正しいんじゃないの?」と思う。

日本で歌手やタレントの所属事務所がファンが勝手に作った応援会を公認することはない。組織と組織の関係ではなく事務所がファンクラブを作って組織と個人の関係で、あくまでファンは個人としてファンクラブに加入する。

芸能事務所はほとんどが株式会社なので、法人対法人の関係で応援会にサービスを提供するなら、債権債務関係が発生して、経理処理も必要になったり等々、最低でも日本の法律でいちばんゆるいNPOとして法人化する必要があるはず(間違ってたらご指摘を)。

NPOであっても登記が必要だったりで運営が面倒なので、そんなことをしてまで応援会の人たちも法人格になろうと思わない。結果、ファンはファンクラブに個人として加入する形式に落ち着く。

ではSNH48は?

SNH48にも公式ファンクラブがあって個人会員にいろいろな特典がある。単に企業と消費者との関係なので、会員規約が明文化されていて、一定条件でいつでも解約できるようになっていれば、中国でも日本と同じく法的な裏付けがあるはず。

他方、運営会社が今まで応援会に与えていた特典には、おそらく法的な裏付けがなかったのではないかと思う。

応援会代表者にファンクラブ会員と同じくあくまで個人として特典を与えるが、それを応援会内でシェアする部分は感知しないという、かなりグレーな運用をやっていたのではないか。

グレーなことをしてまで応援会に特典を与えていたのは、高度に組織化された応援会は、気まぐれな個人消費者より安定した収益源になるからだろう。

しかし応援会でいろいろな問題が出てきた。

とくに応援会の代表者が、メンバーの誕生日記念公演や総選挙投票のために応援会会員から集めた費用を持ち逃げするなど、応援会会員が経済的な被害を受ける問題が目立つようになった。

SNH48運営会社はいままで、応援会は法人じゃないから応援会の内部で何があっても知りません、という法的に正しい対応をとってきた。

ところが法的根拠のない組織がたびたび問題を起こすようになると、そんな組織に特典を提供することは、債権者や株主からすると「俺らの利益が毀損されないか?」となる。

SNH48運営会社はご承知のように投資ラウンドのシリーズCを終えたれっきとした株式会社なので、今回の応援会公認制度の背景には、そろそろ利害関係者にまともな説明責任を果たせるようにならないとダメ、ということがあるはず。

「野良」がイヤで、ちゃんと法的根拠が欲しいなら、法人格として運営会社と何らかの契約を結ぶ必要がある。その契約手続きが今回SNH48運営会社が出してきた「公認応援会申請細則」だろう。

SNH48運営会社が応援会を公認制にして、公認応援会と「野良」応援会をはっきり分ける方針を打ち出したのは、法治国家においては極めてまっとうな対応。

むしろ今までの方が「正体不明の組織に利益供与をしていた」という不適切な状態だったのだ。

でも、ここでこんなことを書いてもSNH48の各応援会は猛反発をつづけるだろう。日本も法治国家と言えるか微妙だけれど、中国は日本よりは法治国家じゃないので。

もし現地応援会の猛反発に同調している日本人SNH48ファンがいるとしたら、自分の遵法意識のなさを反省したほうがいい。