AKS中国再上陸AKB48 Team SH出演の中国中央テレビ『Global Chinese Music』2019/07/06放送分をじっくり観てみた

AKS中国再上陸の上海AKB48 Team SHが、中国中央テレビの音楽ランキング生番組『Global Chinese Music 全球中文音楽榜上榜』2019/07/06放送分に出演した。SNH48はK-POPスタイルのサブユニット7SENSES含め、何度も出演している番組だ。

歌ったのはシンディー・ワン(王心凌)『愛你』のカバー、AKB48楽曲の『初日』『君について』の3曲。

SNH48が出演したときもそうだが、すべて生歌、1曲は過去のヒット曲をカバーするのが定番の構成になっている。

この番組は放送前から出演者の人気投票が始まり、放送の最後に結果順位が発表される。

↓今回2019/07/06放送分の結果はこちら。

第1位の周深は中国アニメ『大魚海棠』の主題歌『大魚』を大ヒットさせた男性歌手で、男性なのに女性の音域で歌えるカウンターテナー。(こういう画風のファンタジーアニメにカウンターテナー歌手をあてる点に、若干『もののけ姫』に似たものを感じないわけではない)

第2位の張遠は中国のオーディション番組『快楽男声』参加をきっかけにデビューしたが、今年2019/04テンセント動画(騰訊)放送の『Produce101』男性版『創造営2019』に参加した。

おそらくこの第2位というランキングは『創造営2019』の女性視聴者の組織票だと思う。

この2人だけ票数がとびぬけていて、第3~9位はだんご状態。

その中でAKB48 Team SHは第3位を獲得している。劇場公演さえ始まっていないAKB48 Team SHがここまで組織票を集められるのはすごいと思う。

ポイントはアーティスト名が「AKB48 Team SH」ではなく「AKB48」になっているところ。スペースが足りないので省略したわけではない。それは第9位を見れば分かる。

やはり国営中国中央テレビから見れば、AKB48 Team SHは「中国の」アイドルグループではなく、あくまで「日本企業の中国支店」ということだ。

「中国の」育成系大型女性アイドルグループはSNH48だけで、AKB48 Team SHは日本企業の中国支店として扱わないと、両者のつじつまが合わないので、当然と言えば当然。

AKB48 Team SHがSNH48を偽物だと公言すると、SNH48を正当なアイドルグループとして表彰までした共産主義青年団の顔に泥をぬることになるので、それはできない。

この番組は並行してバックステージ版が放送されている。

この22:00あたりからAKB48 Team SHのセンター、劉念がインタビューで登場するが、自己紹介のとき「AKB48・・・」で言葉をつまらせている点が重要。

「Team SH」と言おうとして、あわててやめている。これは番組制作側の指示と考えていい。

もう一つ面白いのは、後半で孫語賽という女性歌手が出てくるが、今日の番組の出演者で誰を応援しますか?という質問に「forty eight」と答えている。たぶんSNH48とAKB48の区別はついていない。

この女性、2013年結成のChinaQueenという女性グループのメンバーらしく、SNH48結成直後から始まる中国女性アイドルグループバブルの産物ということになる。

↓ChinaQueenがどんなグループか、YouTubeにあったこのMVを観てびっくり。

中国女性グループが水着MVを撮るのは、AKB48の輸入と考えて間違いない。そして歌詞に「カワイイ」という日本語が出て来たり、明らかに整形しているメンバー、タトゥーの入ったメンバーと、いったい何が狙いなのかまったく分からない、まさに中国B級アイドルグループ(爆)。

こういうグループ出身の人が48を応援してくれるのは納得できる。

ところで、筆者がいちばん驚いたのは、第9位、中国正規版『Produce101』からデビューした「ロケットガールズ(火箭少女101)」のマニッシュなメンバー、Sunneeの票数の低さだ。第9位で75,060票しかない。

これを見ると「ロケットガールズ」のグループとしての人気は下降線で、宇宙少女のミギ(孟美岐)、ソニ(吳宣儀)、そして楊超越だけが大成功したことが分かる。

つまり中国では数名のアイドルグループは長続きせず、すぐにバラバラのソロ活動になってしまう。

グループとして長続きさせるノウハウは日本の48系から初めて学んでおり、その「成果」が中国芸能界では7年目と奇跡的に生き延びているSNH48グループということになる。

数十名~数百名からなる大量のメンバーは次々入れ替わるが、グループは存続するというシステムは、中国になかったからだろう。

いまの中国では今後しばらく、中国で最も成功した大型アイドルグループSNH48と、それをAKB48 Team SHが公式姉妹グループとして追っており、前者は「中国の」グループ、後者は「日本グループの中国支店」というすみ分けになるだろう。

追記:この番組の放送の後、AKB48 Team SH運営がやらかしたらしい。上の結果をうけて中国ツイッターのインフルエンサーにお金を払って以下のようなツイートをさせたのだ。

AKB48 Team SHが今回放送分のGlobal Chinese Musicで何とロケットガールズSunneeを圧倒、現場で3曲連続で歌った。この女性グループの勢いはちょっとすごい!

このツイートが非常にまずい点が3つある。

まず一点目。フォロワー数が少なく、注目度を稼げそうにないインフルエンサーを使い、お金をムダにしていること。

二点目。Sunneeの公式アカウントに直接アットマークでメンションして、完全にケンカを売っていること。

Sunneeはロケットガールズの中で人気は落ち着いているとはいえフォロワー1,160万で、AKB48 Team SHではまったく歯が立たない。

三点目。この日2019/07/07は盧溝橋事件の日で、ロケットガールズの各メンバーの応援会も、SNH48グループのメンバーの応援会も、あまりおちゃらけた内容のツイートや、攻撃的なツイートを自粛している。

たぶんAKB48 Team SH運営はわざとではなく単なるミスだと思うが、わざわざSunnee応援会がツイートを自粛していて反論できない日にケンカを売っているわけだ。

不注意のミスにしても、失礼だし、卑怯だし、最悪だ。AKB48 Team SH運営のレベルがこれではTeam SHメンバーも浮かばれない…。