上海SNH48三期生チームNIIチャーチャー(張雨鑫)第六回総選挙演説原稿

上海SNH48三期生Team NIIチャーチャー(張雨鑫)の第六回総選挙演説が素晴らしかったので、本人がツイートした原稿を日本語試訳する。

引用元はチャーチャー(張雨鑫)2019/07/13 23:10:44のこちらの長文

演説会の前にタロット占いに行って、今月の運勢がどうか見てもらった。暗くて布団の中みたいな店に座っていたけど、女性占い師が私に聞いた。

「ああ、この道に迷っている子は私を信じてくれる?」

私は言った。「私は断固たる唯物主義者で、いい話だったら信じる。悪い話だったら信じない」

占い師は白目をむいた。私はつづけて占い師に聞いた。

「じゃああなたの占いは当たるの?」

占い師は言った。「私は断固たる商売人で、お金をたくさんくれれば当たる。くれなければ当たらない」

ヘンな話だと思ったけど、せっかく来たんだから占ってもらう。そう思って多めにお金を払った。

占い師は満足して笑いながら言った。「ああ、賢い子ね。今月はとっても順調よ。しかも7月中旬に、同僚とできちゃった婚をするわ」

私は言った。「何ですって?できちゃった婚?ありえないわ。私の同僚はそもそもその…能力がないし」

占い師は気まずくなって言った。「じゃあ、えっと、少なくともその能力のある同僚がいるでしょう」

私が反論しようとしたまさにそのとき、突然葉総(訳注:SNH48運営会社のタレント管理責任者)からWeChatのメッセージがとどいた。とても驚いたけど、よく考えてみると、幸い、彼にもその能力はない。

この事が私たちに教えてくれるのは、アイドルの道で頼れるのは自分だけ、盲目と迷信は人も自分もダメにするということ。

数日前あるファンが私に聞いた。彼女が言うには、「私は自分のファンサークルの中で決まったポジションが見つからないの」

私は言った。「ファンといったらこの数種類しかないでしょ。気づかいのあるファンは生活のちょっとしたこと、食事した?とか何を飲んだ?とかしっかり服をきてる?とか実の母親みたいなファン。

いつもひっそり身を隠していて、大枚をはたく責任を負っている実の父親みたいなファン。すてきな旦那様みたいなアイドルがいれば良いっていうお嫁さん系ファン。それからきれいでslayなお姉さんにあこがれる姉妹系ファン。

自分の条件で好きな陣営に入ればいいよ」

そのファンは私の話を聞き終わって考えるところがあったみたいで、うちに帰ってすぐパソコンを開いた。そしてとってもプロフェッショナルなディスり専門ファンになった。

ほらね。アイドルの圏内は競争のプレッシャーがとても大きいから、アイドルだけじゃなくてアイドルのファンまで、真面目に自分のポジションと存在感を求めてる。

でも私の義理のお兄さんはこういうプレッシャーをあまり理解してないみたい。以前、彼の五歳半の娘を私のグループに入れさせたいと言った。

私は本当にその必要はないって答えた。自分の子供でなくても、その子をこんなふうに傷つけることはないと思ったから。

私のお兄さんは私の言うことを聞いてくれないわけじゃなかった。私は言った。「アイドルにどんな良いことがあって入団させたいっていうの」

お兄さんは突然笑い出した。スマホの画面越しに私をじっと見つめてお兄さんが言った。「そう言うなら聞きたいんだけど、アイドルになって何も良いことがないなら、どうして五年もやってるんだい」

私はどう答えていいか分からなくてあわてて電話を切った。

つなぎ公演の時期に夢を見た。夢の中で私はまだ公演中で、みんなが歌と踊りを終えて、一列に並んでMCを始めた。

MCの話題は、SNH48に入って後悔してる?全員が笑いながら答えた。私は後悔してない。全然後悔してない。

私の番になって、私は急に大声で泣きだした。

「どうしてみんな自分は後悔してないとか言って人をだますの。私は本当に後悔してる。無視されて消されたときに後悔したし、ディスられて罵声を浴びせられたときも後悔したし、同じくらいの年の女の子が青春を楽しんでるのに自分は10平米の部屋で足の裏をかいてるときも後悔した」

でも後悔してもムダ。夢が覚めて顔を洗って、翌日の公演の準備をした。私はそういう沈んだ気持ちで公演を始めた。

私の視線は宙を漂って表情もぼんやりして、どこから歌い始めるか忘れたとき、客席のあちこちからCALLが聞こえてきた。

ある人は私の名前を叫んで、すぐに私が消えてしまうんじゃないかというくらい、全力で叫んだ。

その瞬間私は突然悟った。義理のお兄さんに答えるべきことが見つかった気がした。アイドルをやって何の良いことがあるのか。

私は昨日見た夢に戻って、もう一度MCをやり直したいと思った。大声で言いたいと思った。

「私は後悔してない。だっていちばん重要なものを手に入れたから」(そう、あそこで廊下に立ってこっそり私を見てる馬先生のこと)

振り返ってみると、入団して五年目。わぁ、時間が過ぎるのは早い。みんなと知り合ってこんなに経つんだ。今までの数年間はこう話すとき感慨があった。

今こう話すとまた別の感慨がある。わぁ、時間が過ぎるのは早いね。仲良くできるのもあと何年もない。

今振り返ると、いろんなことがあったこの五年間、本当にみんなに感謝してる。たとえ好きなことを多少失ったとしても、いまこうして舞台に立っている私はなかっただろうから。

いちばん困難だったときに、このチームとみんなが守ってくれた。その後チームがいちばん困難だったときに、私もみんなのために何かしたいと思った。力は弱いけれど、とにかく歯を食いしばって頑張って来た。

もしチームNIIのメンバーのみんなを太陽に例えて、チームNIIを地球に例えるなら、私はどういう役割なんだろう。

太陽は光で地球を照らして、地球が自転して太陽から裏側が見えなくなったときは、月と星が現れる。でも自分から光を放たず、太陽の光を反射して地球に少しだけ明かりを与える。

私はずっと自分を星や月のようなものだと思ってたけど、後になって気づいた。うっかりものの地球人が私の陰で私のために発電してくれて、光を与えてくれてる。

私は街灯みたいなもので、遥か遠くにいるわけではないけど、まぶしすぎるわけでもない。曇りでも雨でも、太陽が雲に隠されても、ずっとここに立って、わずかな光でみんなの歩く道を照らしている。

私はチームNIIを守りたいとか、チームNIIのメンバーのみんなを守る存在になりたいとか言うつもりはない。だって、私はもうそうなってるから。

私はこのチームの未来になりたいと言うつもりもない。だって未来は遠すぎるし、もしなるんだとしたら、今しかない。

私たちはいっしょにこの川を泳いで、岸に上がれなくても川の流れる方向は変えられない。じゃあ水の流れに逆らって前へ泳いで進むのも楽しいでしょ。

前にあるのが臭い泥水でもかまわない。私たちはこの川のために前に進んでるわけじゃなくて、あなたと私の人生はそもそも勇敢に前に進むべきものだから。

もしアイドルが自分の願いをたくす神の像なら、みんなは期待を持って私たちがやって来るのを待ち望む。もしそうなら、私たちはみんなが必要としてくれるからこそ生まれた存在。

だから最後に私たちが神棚に押し上げられるとしても、深淵に落ちていくとしても、私たちの物語、私たちの未来は、あなたにしか決められない。怖がらないで、私は永遠にあなたの前に立ってるから。

みんなの願いがかないますように。

私はチームNIIの張雨鑫です。