SNH48についての興味深い中国2ちゃんねるのスレッド(1)

今日は中国の検索エンジン「百度」の、2ちゃんねるに似た掲示板サービス「貼吧(てぃえば)」の「AKB48板」に、かなり興味深いスレッドを見つけたのでご紹介する。

『連載:関于近期対SNH及48系中国化発展的研究報告(最近のSNHおよび48系の中国における発展の研究報告)』 (百度貼吧)

かなり分量が多いので全訳ではなく要約で、かつ複数回に分けてご紹介する。

最初に断っておくと、このスレッドに書かれてあることが全て真実かどうかは、僕にも判断できない。真実と判断するか、このスレッド自体が壮大なネタと判断するかは、読者の皆さんにお任せする。

まずこのスレッドの第一章は、「原石がみんな驚いて逃げ出した!」という題名だ。

SNH48一期生の最終選考は10月13日~14日に行われたが、実はその前日、10月12日の夜に、最終選考に集合した少女たちと両親を集めて、運営会社である上海久尚演芸が突然SNH48メンバーになるための契約書を提示したらしい。

その内容はすでに中国のAKB48ファンには周知の事実らしいが、以下のようなものだ。

・最低8年契約
・違約金500万元
・最初のメンバー50人について久尚は自由に契約延長可能
・久尚の命じた仕事は拒否できない
・久尚は自由にメンバーを入れ替えできる
・恋愛禁止
・自分でスタイルを変えることは禁止
・自分で髪型を変えることは禁止
・公式サイト等には許可無くいかなる文章も発表禁止
・第三者との契約や他の芸能活動は禁止
・毎月2,000元の生活保障金

8年間という縛りは長すぎるように見えるが、中国の芸能界では一般的らしい。無名の若い新人の場合、芸能事務所が育成のための投資に見合う収益を回収する必要があるためだ。

8年以内に辞めると、別の事務所との契約は禁止、芸能活動も禁止されるため、事実上芸能界からは引退を強いられる。またそれまでの活動(CD、写真集等々)の収益はすべて事務所に入り、メンバーの収入は毎月2,000元の生活保障金のみである。

これらも中国の芸能界の新人としては、特別不利な条件というわけではないらしい。

ただこのスレッドの筆者が問題にしているのは、次の二点である。

・上海久尚演芸が、10月12日の夜にいきなり数十ページにわたるこの契約書を提示し、サインしなければ翌日からの最終選考に参加させないとした点。

・AKB48系列グループのメンバーに求められる資質と、中国の芸能界におけるこの一般的な契約内容を受け入れられる少女の生活環境が、全く異なる点。

この二点の問題は、このスレッドの筆者が第一章を「原石がみんな驚いて逃げ出した!」という題名にしていることから推測できるだろう。

つまり、ごく普通の家庭に育った、ごく普通の少女が、いきなり中国の芸能界では一般的だが、普通の少女にとっては不利な契約を示され、この場でサインしろと言われてできるはずがない、ということだ。

そういった少女とご両親は、10月12日の夜の時点で最終選考会場を立ち去った。

ただ現場では、法律の専門家に相談してからサインしたいと申し出た少女たちとご両親もいたらしいが、結局彼女たちは全員、最終選考に落選した。

このスレッドでは、事務所に一方的に有利な契約内容自体の合法性に問題があるとしつつも、こうした契約にサインできる少女だけが残ったSNH48の将来を憂慮している。

つまりAKB48の姉妹グループのメンバーに求められる資質とは異なる少女しか、SNH48一期生になれなかったのではないか、ということだ。

AKB48ファンの方はご存知のように、日本では研修生の期間に人気が出て、本人も芸能界でやって行けると思った少女だけが、事務所と契約し、正式なメンバーとなる。それがSNH48の場合は、最終選考の前夜に、まず契約にサインするかどうかで振り分けられているのだ。

その結果、SNH48一期生には、すでに芸能界での経験のある少女や、モデルとして活躍していた少女、契約期間内に辞退して芸能界に戻れなくても生活できる、そうとう裕福な家庭の少女、両親に頼らなくても自活できる女性が多く、年齢も高めになっている。

僕個人は、このスレッドの筆者の言うほど、合理的な考えの親ばかりだとは思わないので、契約内容をよく理解せず、娘をAKB48のようにしたい一心で契約にサインした、良く言えば「純粋な」、悪く言えば「バカな」親とその娘もいたのではないかと想像する。

ただこのスレッドの筆者は、上述のような契約内容はすでに中国国内では広く知られているため、これから応募してくる二期生にも、ごく普通の家庭の普通の少女という属性は期待できない、としている。

そしてその傍証として、このスレッドの筆者は胡美婷(フー・メイティン)を挙げている。以下が彼女の経歴だ。

四川師範大学電影電視学院

川師影視共縁杯モデル・コンテスト出場
2012年第七回全国モデル・コンテスト出場

ちなみに「川師影視」は「四川師範大学電影電視学院」の略称で、毎年学院生が参加するモデルコンテストを開催しているらしい。つまり胡美婷はもともとモデルか芸能界志望で、この学院に入学していたということだ。

僕はSNH48一期生の中国ツイッターを日本語試訳しながら、なぜ胡美婷がほとんどツイートしないのか不思議に思っていたのだが、実は彼女は公式アカウントではなく、プライベートのアカウントを更新し続けている。

胡美婷olivia(胡美婷のプライベートのアカウント)

彼女はこれから成長するアイドルというより、即戦力になるプロのファッション・モデルというべき人材で、確かに来春に初公演を迎えるAKB48の姉妹グループのメンバー向きではなさそうだ。

例えば下記のリンク先にある、2012/12/10のツイートはなかなかふるっている。「このバカ女、クソの食い過ぎかクスリの飲み過ぎかどっちよ?」で始まるが、僕の中国語力ではほとんど意味は分からない。とにかく「C小姐」なる人物を罵倒していることだけは分かる。

胡美婷olivia 2012/12/10 22:44

スレッドの続きは、そもそも運営会社である久尚にAKB48系列のアイドルグループをマネジメントする能力があるのかという議論になるが、それはまた後日。