上海SNH48公式アプリ「Pocket48」運営チームが二期生カチューシャ(李藝彤)についてよっぽど意見を求められたのか、同アプリ上で意見を表明した。
筆者の理解では同アプリ運営チームは実質的に顧客連絡窓口になっている。以下、「Pocket48 口袋48」運営チームはニックネームで「袋王(ダイワン)」と呼ばれているので、そう呼ぶ。
これは彼女自身の過ちです。彼女自身が時間をかけて証明しなければいけません。どう謝罪しても弱くて無力です。ただ時間だけが彼女が本当に自分の間違いを分かったか証明してくれます。
彼女はウラでいろんな策略をしていたことは全くありません。増長していたのはたしかです。彼女が本当に自分で反省してくれると信じています。この一か月彼女と話しているとき、私たちはそう感じ取れています。
この袋王の発言でおおかたの予想どおり李藝彤ファンが激怒。
実際には同アプリの運営チームのスタッフの一人がこの書き込みをしたようで、他のスタッフが「ダイレクトメッセージの返信が騒動になっています。(今回のことは)スタッフの問題です」と非を認めて窓口を一時的に閉めてしまった。
彼女のファンの激怒の程度は、例えば以下の中国ツイッター(新浪微博)のような感じ。
この程度の罵倒は上品な方だろう。これ以上口汚いと検閲でツイートできないかもしれない。
そして下図、彼女の応援会の形式張った抗議と、一人のファンのコメントも日本語試訳する。
この応援会アカウントとコメントの李藝彤ファンの発言は理性的だが、こういった応援会の公式な発言がまたゴーサインになり、彼女のファンは運営会社に非難の嵐を浴びせかける。
これが彼女のファンのうち一部の攻撃的なファンの行動パターンで、その他の現地ファンは「またか」と思う。「基本操作」のダジャレで同じ発音の「雞本操作」というスラングまである。
このパターンがくり返されるたびに、李藝彤とそのファンは孤立を深めていく。
旧正月前の特別公演で李藝彤は久しぶりに他チームのメンバーと同じ舞台に立ったが、客席から「打擾了」という声が上がり、舞台上も気まずい雰囲気になった。「打擾了」は「おじゃましました」という意味だが、スラングでは反語で「お引き取り下さい」「帰れ」の意味で使われる。
彼女が自己紹介で先回りして「打擾了」と自虐ネタにした一方で、本気で「打擾了」と声を上げる観客がいる。
この公演で彼女は中国で「殺馬特(シャーマート)」と呼ばれる、ビジュアル系ロックバンドのファッションのパロディで自虐ネタをやった。以前なら彼女の自虐ネタは大爆笑になるが、今回の反応は微妙だ。彼女は公演終了後のハイタッチ会にも参加しなかった。
今回「袋王」が彼女について発言する前、彼女の応援会の一つが長文をツイートしていた。元リンクはこちらの「炮打毒唯――我们的一份公开信(1)」(2018/02/06 19:47)という文章。
「毒唯」とは自分が好きなアイドルト以外のアイドルやそのファンを攻撃するファンのこと。「炮打」は大砲で打ち倒すの意味。つまり攻撃的なファンは打ち倒して、理性的に李藝彤を応援しようという呼びかけ。
筆者はこの全文を日本語試訳しようと思ったが、これだけの長文なのに「もっと理性的に」のひとことで要約できる内容しかなくて驚いた。
逆に言えば、攻撃的なファンをなだめるのに、同じ李藝彤ファンもこれだけ苦労しているということだ。ファン内部でも「過激派」と「温和派」が対立している。
李藝彤はファンを批判するわけにはいかないし、謝罪すると自分のファンを裏切ることになる。ファンは「温和派」も「過激派」も李藝彤のためだと信じてお互い譲らない。ファンが熱心に彼女を守ろうとすればするほど、他のファンからからかわれる。
SNH48運営会社が上記の袋王のような発言をすれば、彼女以外のファンは納得するが、彼女のファンは激怒してダイレクトメッセージの嵐になる。
運営会社が彼女のファンに謝罪すれば、今度は他のメンバーのファンから「以前の発言と違うじゃないか」と非難される。運営会社も彼女をどう扱えばいいか困惑しているに違いない。
李藝彤はファンの組織力で今年2018年の総選挙で1位を獲得する可能性が高いが、そうなると特に2位、3位の上位メンバーとの関係が気まずくなり、いっしょに公演や劇場外の営業の仕事がやりづらくなるだろう。不用意な発言で彼女のファンから攻撃されないか、ビクビクしながら仕事をしなければいけない。
ここまでくると事態はほぼ収拾不可能だろう。時間だけが解決するという袋王の発言は、あながち間違いではない。