「ガラパゴス」なAKB48運営がSNH48の「グローバル」な資本の論理に負けたか?

今日2016/06/09(木)いちばんの大ニュースといえば、AKB48運営が正式にSNH48運営サイドに契約違反があると宣言したことだろう。

記念に(笑)AKB48公式サイトのニュースの画面ショットを貼っておく。

まだSNH48運営会社側の公式コメントが出ていないので、まずはそれを待ちたい。

そして、ここからはあくまで個人的な想像(妄想?)に過ぎないけれど、おそらく当初からAKB48運営会社のSNH48運営会社に対するガバナンスについて、契約に「スキ」があったと想像している。

というのは、このブログでもご紹介したように、最近SNH48運営会社は、中国の三大インターネット企業のうちの2社で、米国NASDAQに上場済みのアリババとテンセント(騰訊)が出資するファンド「華人文化ホールディングス」から出資を受けている。

「アリババグループ、テンセント出資の華人文化ホールディングスがSNH48運営会社に相当規模の出資か」 (2016/04/14 SNH48分室)

それまでSNH48の運営会社は、社長である王子傑とその配偶者の運営する会社など、いわば「身内」の出資比率が過半を占めていたと思われる。

↓こちらが華人文化が出資する前の、SNH48運営会社「上海丝芭文化伝媒」の資本関係図。

「SNH48運営会社の株式保有構成図」 (2016/02/20 SNH48分室)

この資本関係図が本当だとすると、驚くべきことにAKB48運営会社は中国国内の合弁会社に直接出資するという、日本企業が中国本土に進出するときの、ガバナンス上の「お決まりの手順」を踏んでいなかったことになる。

AKB48運営会社は香港の版権管理会社に対する間接的な支配権しかなく、中国国内のSNH48運営会社と直接の資本関係がまったくなかったからだ。

この状態で、華人文化がSNH48運営会社に出資すれば、グローバルな資本の理論では、AKB48運営会社がSNH48運営会社に対して発言権がなくなるのは、当たり前すぎるほど当たり前だ。

アイドルグループの運営会社である前に、グローバル展開する株式会社である以上、AKB48運営会社は国際的な資本の理論を無視することはできない。

本当にAKB48がSNH48に対するガバナンスを維持したいのなら、SNH48運営会社と合弁会社を設立するという最低限のガバナンスの基礎を早くから作っておくべきだった。

国際的な資本の理論は、日本の閉鎖的な芸能界のように、義理と人情で動いているわけではなく、出資比率の大小による発言権の強弱で動いている。

それをAKB48は契約違反と呼んでいるが、中国国内に合弁会社を設立さえしていなかったAKB48運営会社が、SNH48運営会社の中国国内の経営戦略を、契約ベースで縛ることは、そもそも不可能なはず。

つまり正しくは、SNH48運営会社は、契約に明記されていなかったことをやっただけで、契約違反をしたわけではないと、個人的には推測している。

そうじゃない!と言うなら、AKB48運営会社は具体的に契約のどの条文に違反したのかを具体的に示し、SNH48運営会社を正式に訴えるべきだろう。

おそらくAKB48運営会社は、「ガラパゴス」な日本市場と、中国ほど資本の理論が徹底されていない新興国インドネシアでしか事業経験がなかったため、中国展開する日本企業としてかなり初歩的なミスを最初からおかしていたのではないか。

著作権が保護できればよく、資本関係は契約で考慮する必要がないという、とんでもない勘違いをしていたのではないか。

SNH48はすでに全曲オリジナル、つまりSNH48運営自身が作詞・作曲・編曲したEPを2枚、全18曲オリジナルの公演『心の旅程』の上演を始めている。

仮にAKB48の中国国内での権利を失っても、独力でコンテンツを制作するところまですでに成長しているわけだ(その品質がどうかは別として)。

今回の件には、最大手のジャニーズでさえ創業者の「個人商店」という、日本のショービジネスの「後進性」と「ガラパゴス性」が露呈してしまっている気がする。